仕事って厳しい面もあるし、人間関係もむずかしくて、ともすれば、折れてしまいそうな日々ですよね。でも、そんな中、介護の世界で、情熱を持ってキラキラと輝いて生きている方々がいます。それが、「情熱かいごびと」。
もちろん、あなたと同じように、仕事に悩み、ときには挫折(ざせつ)することだってあります。でも、前を向いてまっすぐに歩んで行けるのは、いったいなぜ? さあ、じっくり聞いてください。必ずあなたの仕事や人生のヒントになりますよ!
お話をうかがったカフェの前で。カフェ巡りも趣味の一つとか。
○●○ プロフィール ○●○
高瀬比左子さん
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員
大学卒業後、一般企業を経て、NPO団体で高齢者ボランティア団体設立支援に従事。その後ヘルパー講座の立ち上げや訪問介護事業所の立ち上げに関わる。現在は「未来をつくるkaigoカフェ」を主催し、対話を通じて介護の新しい未来を模索している。
未来をつくるkaigoカフェ
*掲載内容は取材時(2014年)の情報となります。
職場を超えてつながれる場を持ちたくて
Q.高瀬さんが始めた「未来をつくるkaigoカフェ」って、何ですか?
介護や福祉の世界に関わる方々が、職場や仕事のジャンルを超えてつながりあえる場です。介護に関わる様々な人達とコーヒーを飲みながら、リラックスして介護にまつわるテーマをもとに対話し、そこから気づきや学びを共有し、自分らしい行動のきっかけが得られる場として、2012年7月に立ち上げました。
2月に行われた特別イベント版の「未来をつくるkaigoカフェ」
記念すべき最初の「未来をつくるkaigoカフェ」の様子。
――それは、いつでも行けるカフェなんですか?
毎月1回、平日の夜に開催しています。現場の介護職はもちろん、医師や看護師、理学療法士や作業療法士といった現場の専門職の方から、介護事業経営者、介護保険外サービスなど様々な職種、業種で活躍されている方達が集まっています。
――介護施設でケアマネジャーとして活躍しているのに、あえてkaigoカフェを立ち上げたのはなぜですか?
私自身、本当に仕事のことでいろいろな悩みを抱えていました。介護福祉士の資格をとって、ケアマネジャーになって、その先の将来のことを考えると、自分の思い描く未来が想像できなくて。このまま組織で管理職になるのか、ケアマネとして専門家になるのか、どちらかの選択肢がないような気がして。
これが自分のやりたい介護ではないな、とずっと思い続けていました。
それに、介護業界って、どうしても人間関係が狭くなりがちですよね? 忙しいこともあるけれど、仕事も人間関係も、自分がいる事業所や施設の中で完結してしまって、あとは家に帰ってご飯を食べて眠るだけというような生活になってしまいがちではないかと。
自分の気持ちを素直に語ったら、何かが変わると思う
――あ、わかります。毎日が同じ繰り返しで、将来も行き詰まっちゃうかなと、不安です。
そうですよね。先が見えなくて、同じところをぐるぐる回っているみたいで、仕事のちょっとした悩みも解決しないし、刺激も少ないですよね。 もっと介護について話ができる人がほしい、いろんな人と話すことで刺激をもらいたい、そして、自分らしく介護の仕事に関わっていくヒントがほしい――。その思いがつのって、アクションを起こしたんです。
――積極的ですね。
いえ、私はすごく人見知りで、引っ込み思案なんです。この業界、私みたいな人が多いと思うんです。でも、だからこそ、横のつながりを持つ必要があるのではと思ったのです。
自分の心の中にある仕事上の悩みやモヤモヤした部分は、いつも顔を合わせている先輩や同僚には言いにくいものです。仕事場を離れて出会う人のほうが打ち明けやすい。素直に打ち明けたら、きっと何かが変わる、そう思えてきて……。未来をつくるkaigoカフェの立ち上げは、自分を助けるためでもあったんですよね。
第2回に続きます。