介護の仕事をする上で、決して忘れてはいけないのが「おもてなし」の心。
実際に介護を行うための知識・経験・テクニックはもちろん大切ですが、その根底に“もてなし”の気持ちがなければ、利用者からの信頼を得るのは難しいかもしれません。
そこで今回は、介護士が知っておきたい「接遇マナー」と「言葉遣い」についてご紹介!
明日から実践できるマナーを早速チェックしてみましょう。
マナーの基本「接遇マナー5原則」を知っていますか?
「接遇マナー5原則」は、「表情」「挨拶」「身だしなみ」「話し方」「態度」のこと。
介護の仕事では、偶発的なアクシデントが多々発生するだけに、臨機応変な対応が重要ですが、まずはこの5原則を知ることで、利用者さんの満足や笑顔に一歩近づけること間違いなし!
●表情
「表情」は介護におけるコミュニケーションの基本。
介護は、介護士と利用者さんの物理的な距離が近いだけに、表情で利用者の緊張をほぐすことも大切です。利用者さんの表情が和らげば、精神的な距離も近くなります。
表情は時に、言葉以上に物語るものが多いだけに、どれだけ気を使っても、使いすぎということはありません。笑顔が苦手なら、鏡の前で口角を上げる練習をしましょう。
介護士としてさらにレベルアップするには、笑顔が大切なのは言うまでもないですが、それ以上に、相手の不安を取り除く努力もしてみましょう。
共感、安心感を与える余裕、落ち着き……利用者さんは表情から色々な情報を読み取るもの。
自分の表情に気を使うのと同じように、相手の表情を読み取り、「何をして欲しいのか?」を知る姿勢を心がけてみてください。
●挨拶
「挨拶」のポイントは、表情よりもカンタン!
「明るく」「元気な声で」、そして「ゆっくりと」挨拶すればOKです。
ポイントは「目を見てハッキリと挨拶すること」「相手よりも先に自分から挨拶すること」の2つ。相手が座っていたり、寝ていたりする場合には、相手と同じ目線になって屈む。逆に自分が座っていて、相手が立っている場合には、自分も立ち上がって挨拶しましょう。
なお、一度挨拶した利用者さんがまた挨拶してきた場合、「さっき挨拶したでしょ」とあしらったり、無視したりするのは絶対にダメ!
何度でも明るく元気に挨拶を返すようにしましょう。
●身だしなみ
「身だしなみ」でいちばん大切なのは、清潔感です!
まず、仕事中の服装は、清潔感があるのが大前提。「動きやすいこと」「ゴテゴテと装飾がついていないこと」などが条件となります。
ダブダブした服は動きを妨げ、ボタン・ポケット・フードなどは、咄嗟に掴まれたり、利用者さんの手や指などに引っかかったりすることがあるのでNG。露出が多い服、黒地の服、ラフな印象を与える服などもなるべく避けましょう。
髪型に関しては、常識がどんどんと変化している。かつては茶髪や金髪は許されなかったが、今や髪を染めているスタッフは珍しくなく、男性の長髪、アフロヘアのスタッフなどを見かけることもあります。
髪型にも清潔感が求められるので、長髪なら仕事中は後ろにまとめるのが◎。
ただし、髪型のルールは事業所によって異なるので、不安があれば事前に問い合わせることでトラブルを回避しましょう。
アクセサリーに関しては、利用者さんがケガをする可能性があるピアス・イアリング・指輪、落ちる可能性があるつけまつげやウィッグは、勤務中はNGが基本です。
●話し方
介護サービスを利用する方は、ほぼ間違いなくスタッフよりも年上のはず。相手との信頼関係にもよりますが、敬語で話すのが基本です。
気を付けたいのは、「ゆっくりと」そして「はっきりと」話すこと。
どれだけ丁寧な口調で話しても、話すスピードが速すぎたり、ボリュームが小さかったりすれば、利用者さんが聞き逃してしまったり、大切なことが伝わらなかったりするかもしれません。
また、難解な言葉、流行語、横文字のカタカナ言葉などを多用するのはNG。
相手にきちんと意味が伝わらないだけでなく、見下している、バカにされていると感じられてしまう可能性があります。
さらにネガティブな表現も極力避けたいところ。そういった話題が出た場合には、やんわりと同意しつつ、笑顔で不満や不安を取り除くように努めるのも介護の大切な仕事です。
●態度
5原則の中でも“正解”が一番難しいのが「態度」かもしれません。というのも、利用者さんによって介護スタッフに求める理想像が異なるからです。
利用者さんの中には、「介護する人と介護される人=従業員と客」という意識を持っている人がいる一方で、いつまでも敬語で話すスタッフを“他人行儀”だと捉え、家族や友人のように触れ合うことを望む人もいます。利用者さんの希望であれば、それに寄り添うのが介護スタッフに求められるスタンスであり、その見極めはベテランでもなかなか難しいものです。
ただ、間違えてはいけないのが、馴れ馴れしくなってはいけないということ。
親しみを持って接するのは素晴らしいことですが、利用者さんは決して家族や友達ではありません。個人的な関係になると、ルールを守らなくなったり、思わぬトラブルが生じることがあり、お互いの為にならないということは、肝に銘じておきましょう。
利用者さんへの態度で最も大切なのは、敬意を持って接すること。
無視・無愛想・無関心・無礼は問題外で、子どもや赤ちゃんのように接するのも当然NGですよね。
また、無理なお願いはスルーするのも大事なテクニックですが、ぞんざいに扱ってはダメ。「今度ね」などと期待をもたせる返事は厳禁だが、代替案を提示できる場合もあるので、自分で処理できなければ、上司に相談するようにしましょう。
話し方については多種多様なNG事項があり、現場で学んでいくしかないが、年配の方に非常に不評なのは「間違った日本語」だ。
言葉は日々変化するもので、一概に間違いとは言い切れないが、「全然大丈夫です」といった表現や「ら抜き言葉」は、お年寄りには耳障りなよう。
また、「食事の方は終わりましたか」といった具合に使う「○○の方(ほう)」という表現、「よろしかったでしょうか?」など、“バイト敬語”と呼ばれる話し方も、「利用者さんに注意された」という現場の声は多いです。
敬語の誤用はご愛嬌で許されることもありますが、「させて頂く」を多用したり、なんでも「お」を付けたりすると、慇懃無礼な印象を与えてしまうようで、こちらも注意したいですね。
どうして接遇マナーが必要なのか?それは「お互いが不愉快にならないため」です。
お互いの了解があれば、フランクに接するのが楽ですが、人間は社会生活を営んでいく上で不特定多数の人間と接しなくてはいけません。
お互いの了解がない中で、一人ひとりが勝手気ままに振る舞えば、イヤな思いをすることも出てきてしまいますよね。
例えば飲食店を選ぶ際、「美味しくて安いのはAだけど、私はBの方が好き」という経験は誰にでもあるはず。
人は何らかのサービスを受ける際、付加価値を求めて選択をするもの。それを可能にするのが接遇マナーなんです。
レストランで「5分、掛かりますが」と言われれば、「5分も待たせるのか」と思ってしまうが、「5分、お待ち頂けますか?」と言われれば、「それなら待とうか」と思うのが人間心理というもの。円滑なコミュニケーション術はビジネスにおいて絶対に必要なスキルと言えます。
介護における接遇マナーは、“事故”を防ぐことにもつながります。
信頼関係が築けず、必要最低限のサポートしか出来なければ、利用者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)が上がらず、健康を損ねてしまうかもしれません。ロクに会話もしなければ、身体の変調のサインを見逃してしまうかもしれません。
介護士の接遇マナーが、利用者さんの健康をも左右しかねないと言えます。
働く側としても、利用者さんからの信頼を得られないまま“雑用係”のような形での勤務を続ければ、働くモチベーションが保ち続けられず、精神的な負担は大きくなります。
接遇マナーは「相手のためだけもの」「ビジネスの手段」などと捉えられがちですが、マナースキルは磨けば磨くほどリターンが得られるものです。
敬いともてなしの心を持てば、周囲もきっとアナタに同じように接してくれるようになるはず。仕事を離れても役立つ場面が多いスキルなので、学ばない手はありません!
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