2021年介護報酬改定で新型コロナウイルス感染症対応のかかり増し経費として、今年4月~9月末までの6カ月間、特例的に0.1%の上乗せ請求が認められている。10月以降について、介護団体からは延長を求める声があるが、8月31日時点で厚労省は延長の議論をまだ行っていない。
今年4~9月末までの0.1%請求上乗せの特例措置は、昨年12月17日に行われた21年度介護報酬改定に関する大臣折衝において、「この措置を延長しないことを基本の想定としつつ、感染状況や地域における介護の実態等を踏まえ、必要に応じ柔軟に対応する」とされてきた。
新型コロナウイルス感染症拡大の終息の目途が立たないなか、全国老人福祉施設協議会(平石朗会長)は8月31日に厚労大臣に要望書「コロナ禍における高齢者福祉・介護分野への支援」を提出した。
要望書では、高齢者福祉・介護従事者に対するコロナ慰労金の支給とともに、0.1%上乗せの10月以降の延長を求めた。
全国老施協はその中で、「介護現場における新型コロナ対策の取組みは、医療機関の病床ひっ迫のために感染者の施設内療養を余儀なくされるなど、その困難度が増すことはあっても終息している状態には全くない」と主張している。
東京都社会福祉協議会も都に対して「質の高い福祉サービスの提供を維持するため、特例評価の期間延長と、さらなる上乗せ評価」を求めている。
このほか、全国老人保健施設協会と日本介護支援専門員協会、全国有料老人ホーム協会、各業界団体でも介護現場の状況を調査し、延期の要望も含めた検討を行っている。
8月31日時点で、厚労省は延期の議論などはまだ行っていない。しかし、昨年末の大臣折衝において感染状況などを踏まえて柔軟に対応するとされていることから、延長の場合は、告示改正となるため審議会で諮問・答申を行う必要がある。
<シルバー産業新聞 2021年9月10日号>
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