今回の介護報酬改定では、大半のサービスに対して、BCP策定や虐待防止、身体的拘束適正化などについて、取組みの義務化や報酬上のペナルティが設けられている。
事業所のリスクマネジメント強化を図る改定となった。
この3月末で経過措置が終了するBCPの策定について、4月以降に未策定の事業所や訓練などのBCPに従って必要な措置が講じられていない場合は「業務継続計画未実施減算」が適用される。
施設・居住系サービスで3%、その他のサービスは1%が基本報酬から減算される。
ただし、24年3月までは、「感染症の予防およびまん延の防止のための指針(感染症指針)」「非常災害に関する具体的計画(非常災害対策計画)」の策定を行っている場合は減算が適用されない。
そもそも非常災害対策計画の策定が義務化されていない訪問系サービス、居宅介護支援、福祉用具貸与では、これらの指針や計画の策定に関わらず、無条件で24年度中は減算適用とならない。
さらに、居宅療養管理指導については、事業所のほとんどがみなし指定であることや、体制整備に関する更なる周知の必要性などを踏まえ、策定義務化の経過措置自体を3年間延長することになった。
現在、施設系、居住系、通所系、多機能系サービスで努力義務とされている、地域住民と連携した災害訓練の「さらなる対応」は次回の27年度改定で検討されることとなった。
努力義務から完全義務化への厳格化などが想定される。
居宅療養管理指導と特定福祉用具販売を除く全サービスに、「高齢者虐待防止措置未実施減算」(基本報酬から1%減算)が新設される。
福祉用具貸与のみ、サービス提供の様態が他と異なることを理由に3年間の経過措置が設けられる。
BCP同様、前回改定で全介護サービス事業者を対象に、高齢者虐待防止措置(①委員会の設置②指針の整備③研修の定期的な実施④担当者設置)を義務付け、3年間の経過措置期間を経て、4月から完全義務化となる。
居宅療養管理指導はBCPと同じように、経過措置自体が3年間延長される。
減算適用条件は、①~④の措置が未実施の場合。
厚労省が今年度実施した調査では、施設系や居住系サービスでは、▽委員会設置▽指針整備▽研修実施▽担当者設置――のいずれも、ほぼ全ての施設で体制が整えられている。訪問系、通所系サービスでは9割程度となっている。
今改定では、施設系のサービス以外でも身体的拘束適正化の取組みを推進する。
身体的拘束等の原則禁止や記録の規定がすでに設けられている短期入所系や多機能系サービスでは、①身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を3カ月に1回以上開催し、その結果について職員に周知徹底を図ること②指針の整備③研修の定期的な実施――と施設同様の基準となる。
これらの措置が講じられていない場合、「身体拘束廃止未実施減算」(基本報酬から1%減算)が適用される。ただし、同減算の適用には1年間の経過措置が設けられた。
一方、これまで身体的拘束に関するルールが特になかった訪問系、通所系、居宅介護支援、福祉用具貸与・販売には、身体的拘束の原則禁止や、拘束を行う場合に利用者の状況ややむを得ない理由について記録することが運営基準に位置付けられる。
また、虐待防止と身体的拘束に関する事業所での取り組み状況について、介護情報公表サービスの「登録すべき事項」として追加される。
<シルバー産業新聞 2024年3月10日号>
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