毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「新型コロナウイルスと介護施設」という話題を紹介します。
新型コロナウイルスの影響は介護施設にも
長かった冬もようやく終わりを告げ、例年なら花見などで人々が街に繰り出す季節だが、今年は新型コロナウイルス騒動により、外出の自粛が続いていることだろう。
騒動の影響は介護施設にも及んでいて、多くの施設が来館禁止・面会禁止になっており、関係者からは「何とかして欲しい」という声が上がっている。
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介護施設で面会禁止……
マルヤマさんが働く都内の介護付き有料老人ホームでは、施設で暮らす入居者の安全を確保するため、3月1日より全面的な面会禁止となっている。
マルヤマさんの施設では、レベル1(マスク着用、手洗いの徹底)からレベル4(面会禁止)まで4段階の面会制限レベルが設けられているが、レベル4の「面会禁止」がこれほど長期間に及び、しかも今後の見通しが立たないのは極めて異例だ。マルヤマさんはいう。
「例年、インフルエンザが流行するシーズンになると、来館者を家族のみとしたり、面会場所を制限したりといった処置を行うことはあります。
しかし、今年は面会禁止期間がここまで長くなってしまい、入居者はかなりストレスが溜まっています。
入居者の中には、『孫に会うことだけが楽しみなのに』と涙ぐむ方もいますし、普段は愛想が良い方がスタッフに当たるようなこともあって……。
施設ではホームページで面会禁止中であることを告知しており、ご家族にも繰り返しその旨を通知していますが、それを知らずに施設に来てくれた方は必ずいます。
本当に心苦しいのですが、事情を説明して、ご家族にはお帰り頂いています」
マルヤマさんの施設がある市町村は、新型コロナウイルスの感染者が現時点で1人もいないため、職員の間でも緩和を求める声は絶えないというが、感染予防のために念には念を入れて対策しているそうだ。
入居者以外にもこんな影響が
また、マルヤマさんが働く老人ホームでは、別の問題も生じているという。
「うちの施設では、入居者家族の面会禁止だけではなく、新たに入居を希望する方の見学もお断りしています。
電話などで質問に答えたり、パンフレットを送付したり、施設内を撮影した動画を無料でオンライン公開したりといった工夫はしていますが、一旦入居すれば、長い期間を過ごすことになりますから、実際に見ないと決められませんよね。このまま新規の入居者が現れないようだと、経営面でも不安が生じそうです」
介護スタッフの責任感『入居者さんを守ろう!』
ただ、新型コロナウイルスによる非常事態で、介護スタッフの士気は非常に高まっており、結束も強まっているという。
「もし施設で感染者が出ることがあれば、若者よりも抵抗力が弱い入居者たちは重大な危機に晒される可能性もあります。
そのため、スタッフは普段以上に手洗いやうがいなどを注意深く行ったり、業務外でもマスク着用を徹底したり、一人ひとりに
『入居者さんの安全を守ろう』という強い責任感が生まれているように感じます。
また、巷ではマスクが買えなくなってしまっていますが、施設にはまだ備蓄があるため、スタッフから要望があれば、親族向けに少量ずつ配布しています。スタッフもその家族も、どこでウイルスに感染するかわからない状況ですからね。そのため『介護施設で働いていてよかった』という声も上がっています」
一刻も早く新型コロナウイルス騒動が収束することを願う気持ちはみな同じだが、騒動を通じて多くのスタッフが、人の命を預かることの責任感とやりがいを感じているよう。緊張感のある状況がポジティブな方向に作用することもあるようだ。
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