北陸・地方都市の専門学校を卒業し、東京の特別養護老人ホームで6年勤務したN・Tさん。ケアマネジャーの資格も取得し、キャリアも積みましたが、6年目で上司となった女性と、仕事の進め方が合わなくて……。今回は、悩みの渦中にいたN・Tさんの様子をお伝えします。
*N・Tさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
N・Tさん(30歳)の転職経験
介護の専門学校を卒業
↓
東京の特別養護老人ホームに入社し6年間勤務
↓
退職して半年間、オーストラリアへ。現地でボランティアの介護スタッフを経験
↓
帰国後、新たな気持ちで特養のケアマネ兼相談員になる
転倒の対策をせず、転倒の理由を職員に言わせる
新しく担当になったフロアには、転倒をくり返している利用者さんがいました。認知症で、ご自分が歩けないことを忘れてしまうんですよね。
でも、転倒する理由は「自分が歩けないことを忘れてしまう」ことだとはっきりしているのだから、対策は取れるはず。行動に目配りするのはもちろん、車椅子のひじかけをテーブルの天板の下に入れて、立ち上がるまでに時間がかかるようにすればいいと思うのです。そうすれば、転倒する前に、気づいて未然に防げる確率が、グンと上がります。
それなのに、「目を離すと危ないから」という理由で車椅子に拘束ベルトをつける。…拘束ベルトは現在、緊急でやむを得ない事情がない限りは禁止されています。
が、当時は、ときどき利用することがあったんです。
しかし、不用意に車椅子ごと利用者さんをほったらかしにすると、ベルトをつけられているのを忘れて、勢いよく立ち上がってしまうので、転倒するのです。「目を離すと危ない」のではなく、「見ているのが面倒だから」ベルトに頼っている。その結果、転倒するんじゃないかしら、と疑ってみたくなります。
そして、そんなことで転倒したとしても、手のあいた職員がすぐにご家族に連絡し、説明する仕組みになっているんですよ。だから、自分が転倒に関わっていなくても、ご家族に謝ったり、事情を説明したりしなければならない。
「転倒を防止することはできなかったのですか?」などと言われ、答えたくても答えられない自分が、すごくイヤでした。
副主任だったのに、年功の関係で平社員に!
上司は、会議で意見を言っても、「なんでそんなに熱くなってるの?」みたいな感じで、利用者さんのことを本気で考えていないような気がして、ますます滅入りました。この人の介護ってなんなんだろう。
苦労しないで給料さえもらえればいいというのかしら……?
不信感はつのるばかり。おまけに、異動したら人数や年功の関係で、副主任から平社員になっちゃったんですよ。テンション、下がりますよね。
当時、今の夫と付き合っていて、もうそろそろ結婚したいな、と思っていました。すでに寮を出て彼と住んでいましたし、いつまでもイヤな上司のもとで仕事をしなくてもいいんじゃないか、という気がしていて。
彼は働きながらいろいろな体験をするワーキングホリデーというシステムで、オーストラリアに1年留学した経験がありました。私も海外に行ってみたい、今までとは違う体験がしたい、という思いが強くなって。すでに20代半ばを過ぎていましたし、海外に行くなら今しかないかもしれない、という気持ちがつのり、ついに辞表を出しました。
仕事を失うことの不安はあまり感じず、なんだかサバサバしていい気持ちでした。
次回は、特養を退職してオーストラリアで働くN・Tさんの様子をお伝えします。
*N・Tさんの「私が転職した理由」…
1回目、2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
●先輩たちの職場選びの失敗事例に学ぼう
→ 「こんなはずじゃなかった…」 転職先選び 私の失敗談
●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
介護求人ナビの求人数は業界最大級! エリア・職種・事業所の種類など、さまざまな条件で検索できます