介護業界で転職を体験した人の理由やいきさつ、心情などを、リアルにお伝えするこのシリーズ、今回は他業界から介護業界へ転職した人の体験談を紹介します。
飲食店で働くことが好き、これが天職! と思っていたO・Mさんが、なぜ介護の世界に飛び込んだのか。そこには家計、家族関係、仕事のやりがい……さまざまなことが関連します。そこで、介護業界に転職5年、ホーム長にまでのぼりつめた彼女のストーリーをぜひ、参考にしてください。体験談は4回に分けてお伝えします。
*O・Mさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
O・Mさん(37歳)の転職経験
高校卒業後、老舗の高級和食店に就職
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妊娠が発覚し、1年で退職、9年間専業主婦に
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第2子が5歳になると、昼間のみ和風ファミレスにパート勤務
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「ファミレス勤務」と「訪問介護の登録ヘルパー」と二足のわらじ
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ファミレスをやめ、「訪問介護の登録ヘルパー」と「グループホームのパート」の二足のわらじ
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グループホームにフルタイム勤務、のちに正職員になり、現在はホーム長
妊娠が発覚し、入社した老舗の高級和食店を退職
高校時代から接客業が好きで、在学中はずっとファミレスのバイトをしていました。卒業後の進路も、飲食店に。高級和食のお店に正社員として就職し、和服の着こなしから所作も含めて、「本物のおもてなし」を教わりました。
先輩は厳しかったけれど、毎日、自分が向上していくのが実感できて、すごくやりがいがありました。お金も地位も名誉もあるお客様がたくさんいらっしゃるので、お客様に教えていただくこともたくさんありました。
けれど、1年もたたないうちに妊娠が発覚。高校時代に働いていた、ファミレスの店長との子どもです。実は不倫だったんです。
奥さんとの離婚を思案中だった彼は、妊娠を知ったとたんに前の奥さんと別れることを決意して私と結婚してくれました。
彼は長男で、義父は羽振りのいい不動産業を営んでいます。義父は、息子が近々飲食店をやめて、自分が経営する会社で働くことになっていたので、妻となる人も、彼の片腕になるような、大人で理知的な人を、と考えていたようなのです。不倫相手の若い私が嫁になるのは、寝耳に水だったのでしょうね。
「せめて簿記を習って経理を手伝えるようにしてほしい」と言われて、出産後はすぐに簿記の通信教育を受けて、資格を取りました。
けれど、私は義父がとても苦手でした。いつでも上から目線で、何をやってもバカにされているような気がして…。時がたつにつれ、どんどん苦手な気持ちが膨らんでしまって、義父といっしょに仕事をするなんて、どうしても考えられませんでした。かといって、自宅と夫の実家や近所を往復するだけの生活では、何か物足りなくて。
そこで、第2子が幼稚園の年中になると、義父に内緒で、飲食店で週3~4回、パートの仕事を始めました。昼の10時から14時までの勤務なら、子どもたちにも夫にも影響が少なく、体力的にもつらくありません。義父は家事も育児もしっかりやることを望んでいましたから、これぐらいの仕事がせいぜいでした。
お店が閉店!? 飲食業で働いていても不安が多くて
慣れ親しんだ飲食店での接客は楽しくて、「やっぱり、これが私の天職だわ!」と再確認しました。新人が入ってくると、その教育なども任されて、「頼りにされているな」という実感もありました。
けれど、世の中が不況になるにつれ、ランチのお客さんが減り、「今週は週2回の勤務にしてくれる?」などと、どんどん勤務を減らされていきました。ムリもありません。店自体にお客さんが少なく、私が勤務している3~4時間の間に、お客さんが15人、などという日もあるのです。もしかしたらこの店は閉店してしまうかもしれない……。
飲食業は閉店も多く、売り上げの安定しないビジネスです。もしもこの店がなくなれば、私たちパートはクビ。それに、飲食店のホールの仕事は、それこそ17歳の高校生でもできる仕事。お客さんの笑顔を見るのは楽しいけれど、これから30代、40代になっても、やりがいを持って働き続けらる仕事だろうか。ほかに「君でなければできないよ」と思ってもらえる仕事って、ないんだろうか――。
考えた末、私は介護の仕事を選ぶことにしました。確信があったわけではありません。けれど、「人と接する」ことが好きな私にとって、困っている方、おひとりでは生活しにくい方のお世話をすることは楽しそうだし、とてもやりがいを感じられそうです。
実家の母が特別養護老人ホームの調理の仕事をしていて、楽しそうに勤務していたのも、きっかけになりました。
それにはまず、資格をとらなくては!
そこで、飲食店に勤務しながら、ヘルパー2級(*現在は介護職員初任者研修という資格がこれに準じる)の資格を取得しました。介護の基礎を学ぶことも楽しかったし、グループホームでの実習もやりがいがあり、この仕事でやっていこう!と、決意しました。
そして、講習を主宰していた企業から、訪問介護の仕事を紹介してもらい、飲食店と訪問ヘルパーの仕事、二足のわらじをはくことに決めたのです。
次回は、介護の仕事にのめりこむOさんの様子を伝えます。
*O・Mさんの「私が転職した理由」…1回目、
2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
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