大学を卒業し、土木建設の会社に就職したものの、自分の個性に合わず、半年で退職したMさん。ヘルパー2級の資格を取得して、介護業界に就職し直しました。老人保健施設(老健)を職場に、新たな道を歩み始めましたが……。今回は、介護の仕事を極めたいために、あえて転職を考えたMさんの心の内を聞いてみました。
*M・Nさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
M・Nさん(35歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…12 年
●介護の仕事に就く前…土木建設会社
●転職回数… 3回
●いままでの勤務先…老人保健施設(老健)、グループホーム
●保有資格…介護福祉士
土木建設の会社に辞表を出してホッとした
「せっかく土木建設の会社に就職したのに、なぜ介護の仕事を始めるの?」 僕の個性を知らない人は、そんな言い方をしました。しかし、会社の規模や待遇などは、自分には重要ではありませんでした。とにかく、道路工事の現場という「男の世界」が肌に合わず、ベテランの工事現場の方々を監督するという立場も、気が引けるし、向いていないと、日々感じていました。朝、現場に行くと思うと心が重くなる。そんな日々を過ごして年を取っていくことなど、考えられませんでした。
むしろ、辞表を出して、ホッとしました。父は土木建設の会社に勤務しているので、ガッカリしたかもしれませんが、母や姉は「それでよかったんじゃない?」と言ってくれました。小さな頃から僕のことを見てきて、土木の現場より、介護のほうが合っていると思ってくれたのだと思います。
そもそも、人のお世話をするのは好きでした。ちょっと人見知りで、はじめての人と話すのはぎこちなくなることがありますが、仲良くなれば、親密に付き合えるほうです。家に祖母がいたのも、介護の仕事を身近に感じた理由だと思います。中学生の頃には、「将来の仕事は介護職かな」と思っていたくらいです。ですから、老健に入職して、介護の仕事を始めることは、自分にとってはごく自然なことに思えました。
「キツイよ」「排せつの世話は大変だよ」などと人に言われましたが、自分はそうは感じませんでした。老健は、高齢者のほか、ケガや病気で身体に不自由を感じる人がリハビリをするところでもあり、医療関係者も多く、学ぶことが多かったのです。毎日、新しい経験をし、それを仕事に生かすことに必死で、5年間があっという間に過ぎていきました。
流れ作業のように働く職場に疑問を感じて…
しかし、5年たったところで、疲れが出てきました。やることに追われる日々。食事介助や入浴介助、排せつの世話をするだけで目いっぱい忙しく、気づくと1日が終わってしまいます。
食事介助のときは数人を一人で見ないといけないですし、食後に誰かがトイレに行くとなると、食事室に介護職員が一人もいない、ということになる。危険を感じますし、実際にその間に転倒する利用者さんもいました。
もっとひとりひとりの利用者さんと、丁寧に関わりたい。自分はそもそもそう考える人間です。時間に追われるのは、自分が望む介護ではありませんでした。最初のうちは、自分の力量が足りなくて、作業が遅いから、利用者さんに関われる時間が少なくなってしまうんだ、だから経験を積めばいいんだ、と思って頑張っていました。しかし5年たって、中堅どころになっても、忙しさは全く変わらない。自分の力量のせいではないかも、と思うようになったときに、「ここでずっと働くことが、自分にとって意味があるのだろうか」という疑問がフツフツとわいてきました。
辞めよう、辞めてもっと、利用者さんと深く関われるところに行こう。それには、9人の小さなユニットで利用者さんと過ごせる認知症型グループホームがいい。そう思い始めたら、気持ちも決まりました。
それからは、インターネットの転職サイトで、グループホームの募集を探す日々になりました。
次回は、グループホームで働き始めるMさんの姿をお伝えします。
*M・Nさんの「私が転職した理由」…
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