◆グループホーム(正社員/リーダー)→グループホーム(正社員/施設長)
R・Eさん(女性・59歳)
介護業界での経歴詳細
●グループホームA(パート→契約社員)(勤務期間:3年/年収約310万円)
●グループホームB(正社員)(勤務期間:3年/年収約400万円)
●グループホームA(正社員)(勤務期間:2年/年収約500万円)
保有資格:介護福祉士
介護以外でのその他経験:メーカー(事務職)、クリニック(医療事務)、配送会社(受付事務)
家族構成:夫、長女
*R・Eさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【出戻り転職での面接対策】「ここで働きたい」気持ちを正直に
一度辞めた会社に出戻りで転職するのは、とても勇気が必要でした。
なんと言ってお願いすればいいのだろう。
常時、職員を募集しているから、正攻法で応募してみようか。
管理部門の人も知らないわけではないから、本社の管理部門に直接話そうか。
でも、私は直属の上司だった施設長に連絡をしました。
私のことをよく知っていて、親身になって話を聞いてくれた方ですから、ずうずうしく打ち明けたら、気持ちをわかってくれるかもしれないと思ったのです。
今はエリアマネジャーになっていて、地域の事業所をマネジメントしていて、決定権もある。
彼女の裁量で、私を雇ってもらうのが最良の形だと考えました。
アポイントを取って、会いに行き、心臓をバクバクさせて、「戻ってきたいのです」とお願いしました。
すると、よく私の話を聞いてくれた上で、明るく受け入れてくれました。
また、ほかの戻りたがっているスタッフのことも伝えると、施設長のポジションを与えてくれ、「自分らしいホームを作ってみなさい」と言ってくれたのです。
馴染みのある事業所や知り合いが経営する会社に転職したいときには、自分のことをよく知っていて、評価してくれる人のところに行き、素直に相談するのがよいと、痛感しました。
また、その人が、なんらかの決定権を持っていることもポイントです。
上司の言うことに何でもイエスと言っているような人では、私を施設長に推薦してくれないでしょうし、スタッフを引き連れて戻ることもできなかったでしょう。
そういう意味で、私は適切な人に転職のお願いができたのだと、今でも思っています。
【介護の理念】利用者さんを管理するのではなく、楽しく生きてほしい
「自分の施設での介護の目的・心構え」をスタッフと共有
施設長には、その事業所をどう運営するかを決める役目もあります。
介護は、食事介助や排泄介助、入浴介助などに日々明け暮れがちですが、ただ業務をこなすのではなく、「どういうスタンスで介護をするのか」をスタッフとともに話し合い、明言することが必要だと思っています。
うちのホームは、利用者さんがやりたいことをやれるように、できるだけ支援します。
最近のグループホームの中には、介護度の高い利用者さんが多いために特別養護老人ホーム(特養)のように穏やかな雰囲気のところも多いですが、うちは活動的な利用者さんが多いので、どんどん外出します。
自立支援につながる「見守り型」の介護を提案
危険が伴うからと、ちゅうちょする施設長もいるようですが、介護技術をしっかりと身につけ、利用者さんといい人間関係を作れていれば、多くの危険を回避できます。
うちのグループホームでは、掃除や配膳なども利用者さんが率先してやりますし、新しい利用者さんが入れば大歓迎して手助けしてくれます。
一見してだれが職員でだれが利用者さんなのかわからない、といわれることがあり、ほかの事業所からも「とても楽しそうでうらやましい」と言われます。
これが、私のやりたかった介護です。
利用者さんを管理するばかりで何もさせず、「座って静かにしていてください」などと言いたくない。
何歳になっても、認知症があっても、幸せだと思い、楽しく生きてほしいと思います。
そんな思いを受け止めてくれる現場スタッフや、エリアマネジャーにも感謝しています。
【施設長の裁量】事務職員を雇用して現場力を高める
膨大な事務作業を助けてくれる事務員がいるほうが効率化
介護事業所を運営するには、たくさんの業務を伴います。
介護現場のスタッフを確保して介護現場を整えることはもちろん、食事の食材の仕入れ、スタッフのシフト組み、利用料の請求や回収、領収書発行、営業、衛生管理、人材の採用と育成などなど、中でも、事務関連の業務は膨大にあります。
そのため、うちのホームでは、事務職員を雇っています。
事務処理の多くは、施設長の仕事。
しかし、現場の管理をしながら、介護スタッフが足りない日は自分も現場に入ることもある中で、事務処理も迅速に行うことはなかなかできません。
介護事業所でも効率化のための業務分担は必要!
そこで、エリアマネジャーに掛け合い、事務職員を兼任するパート職員を雇うことを容認してもらいました。
ほかの事業所では事務職員を雇っていない場合が多いので、「施設長の業務を人任せにするのか」「ラクをしてずるい」と言われたこともあります。
でも、事務職員がいる場合といない場合で作業時間を試算し、事務職員がいたほうが絶対に業務がはかどることをデータで示し、許可を得ました。
事務職員の方が入職してから事務処理のミスは格段に減り、本部からも褒められます。
経理の仕事が少ないときは、介護助手として働いてもらえるのも、職員シフトの面でも助かっています。
私たち介護職員も、「やりたい仕事」のために努力をすると同時に、今までの価値観を変容させ、介護の本質を考えて実践していかなければならないと思います。
【将来の展望】介護の仕事を楽しみながら、働き続けたい
自分がやりたいことをアピールしながら介護業界で長く働きたい
介護職として働き始めて6年で施設長になれたのは、とても幸運だと思います。
そして、50代になってからの転職で正社員になれたことも運がよかったですね。
でも、その運を自分で引き寄せる努力もしたつもりです。
利用者さんだけでなく、我々職員も、「やりたいこと」があるなら、あらゆる努力をしながら、本部などにアピールして実現するといいと思います。
今働いている会社では、65歳までは正社員で働けます。
その後は契約社員のような扱いになるのではないでしょうか。
施設長を降りて現場の介護職になるのか、そのまま施設長でいるのか、そのあたりのことは、私にもわかりません。
でも、私は役職や昇進などにはあまり興味がありません。
むしろ、65歳になったら施設長の肩書きを下ろして、現場で1人の介護職として働くのもいいな、と思っています。
現場が大好きで介護業界に入ったのです。
デスクワークの多い今の役職より、もしかしたら現場職のほうが楽しいと思えるかもしれません。
介護職に年齢は関係ない!年を重ねれば別の働き方ができる
介護業界は、年齢が上がることが、あまりマイナスにならない職場だと思います。
体力は落ちてきますが、そのかわり、利用者さんの年齢に近くなる分、利用者さんの体調や気持ちがわかり、心に届く寄り添い方ができるようになるのではないかと思います。
今のポジションを楽しみながら、年齢を重ねていこうと思います。
業界では「70歳までは働く」という機運になってきています。当分失業することはなさそうです。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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