雑貨店で楽しく販売の仕事をしていたRさんが、ある日直面した「介護」。
ふとしたきっかけで地元のデイサービスで働いたあと、縁あって瀬戸内海の島に渡り、今は小規模多機能型居宅介護のデイサービスや事務部門で勤務しています。
都会の暮らしから島に移住し、そこで見つけた介護のやりがいとは? その転職体験談をインタビュー。
第1回の今回は、販売職から介護職にジョブチェンジしたいきさつをお伝えします。
*R・Hさんの「転職体験談」
第1回:販売員から介護士へ!30代後半での転職のきっかけとは?/転職体験Rさん1(今回)
第2回:施設によって全然違う!転職後に感じた仕事への疑問/転職体験Rさん2
第3回:まさに「理想の介護」。幸せなのは利用者さんだけじゃなかった!/転職体験Rさん3
第4回:介護は学びの多い仕事。まだまだ勉強したい!/転職体験Rさん4
雑貨販売の仕事が楽しく、気づけば15年
高校を卒業し、カメラを仕事にしたいと思って、写真の専門学校に行きました。
授業はとても楽しかったし、写真はますます好きになりました。
けれど、いざ就職となると、大阪や東京のスタジオ勤務の求人ばかりで。
地元で暮らしたいという思いが強かったので、カメラの仕事は断念し、雑貨屋さんの販売員として働くことにしました。
いくつかのお店で働き、気づけば15年が過ぎていました。
雑貨を売る仕事はとても楽しく、それをやめるという発想はずっとありませんでした。
若年性認知症になった叔父を妹たちのように助けられない…
けれど、35歳を過ぎたあたりで、叔父が若年性アルツハイマー病になってしまったのです。
かわいがってくれた叔父が、認知症に……。何も知識がない私は、ただおろおろするだけでした。
しかし、ふたりの妹はともに介護職で、すぐに叔父の家に駆けつけ、テキパキと手続きをし、叔母が困らないように、励ましながらさまざまなことを解決していったのです。
すごいな、と妹たちの姿を見て感動しました。
私は姉なのに、なんにもできなくて、少し情けなくて。
今からでも資格をとって、人のために役立ちたい。
そんな気持ちになり、妹たちからもアドバイスを受けて、介護福祉士になろうと決心しました。
資格が取れて研修にも行ける「職業訓練」
専門学校に通えば卒業する頃には資格が取れますが、学費がとても高い。
そこで、ハローワークの職業訓練を調べてみると、実務者研修の募集をしていたんです。
しかも、来月から研修が始まるというグッドタイミング。
応募して合格して、晴れて職業訓練生になりました。
ハローワークの職業訓練は、研修が半年間続くのですが、6カ月分の生活費がなんとかまかなえるくらいのお金がもらえました。
販売員時代は契約社員やアルバイトとして働いていたので、その頃のお給料とそれほど変わりませんでした。
時間に追われたくない、体力も不安……私に合う職場は?
実務者研修が終わる頃には、ハローワークからも求人の紹介がありましたし、研修の一環として介護施設での実習もありました。
中には、実習先の特別養護老人ホーム(特養)にそのまま就職する人もいました。
特養は介護施設の基本でもあり、特養で働けたら、どこでもやっていけるという雰囲気もあったので、私も就職先の候補として考えていました。
でも、私はもともと大人数で働いたり集ったりするのが苦手。
利用者さんも多すぎると時間に追われ、きっと、戸惑ってしまい、うまく仕事ができないような気がしていました。
また、グループホームで働いている妹たちには、口をそろえて「夜勤は大変だよ。おねえちゃんは30代後半になるんだから、もう少しラクな仕事のほうがいい。デイサービスとか、昼間だけの仕事にしたら?」と言われました。
ハローワークの方とも相談して、少人数の地域密着型のデイサービスを紹介してもらい、見学もして、そこに就職することにしました。
はじめての職場が自分の介護の基本に
介護業界で最初に就職するところは、とても大事だと思います。
いいにつけ悪いにつけ、そこが自分の介護の基準になってしまう。
だから、しっかりと吟味して就職したほうがいいですよね。
ただ、はじめて介護職に就くときは、どういうところがいいのかよくわからない。
出会いと勘で選ぶしかないのです。
私の場合は運がよかったです。
『介護とはどういうことか』という理念がしっかりした、とてもよいところに就職することができました。
人生の最期まで楽しみを持ってもらえる場を作る
私が就職したデイサービスは、「要介護5でも受け入れて、亡くなる直前まで人生に楽しみを与えて差し上げたい」という考えのもとに作られたのだそうです。
手厚くていねいに接したいからという理由で、利用者さんの人数は多くありません。
末期ガンの方もいて、それでも「最期まで通って生活にハリを持っていただきたい」と言って、手を尽くしていました。
職員の方々も、ひとりひとりに対するケアを個別に考え実践し、「その人にとって安らぐ場」を作ろうと努力していました。
私はそんな先輩たちに介護のイロハから、じっくりと教えてもらいました。
「いいところだなぁ」とは思っていましたが、そんなにすごく特別だとは思っていなかったのです。
しかし、ほかから転職してくる人が「こんなにていねいに介護をしているところはあまりない」と驚くデイサービスでした。
実際、ほかの事業所に勤務したときに、その人が言っていたことがよくわかりました。
とにかく、介護のあるべき形を教えてくれたデイサービスでした。
難しいけど、奥深い!ひとりを見ながら全体を見る
私はせかせかするのが苦手で、悪くいえば手際が悪いのかもしれません。
だから、ひとりひとりていねいに介護するこのデイサービスが自分の肌に合っていました。
けれど、ただていねいにしているわけにはいきません。
自分が今対話している利用者さんのほかに、立ち上がろうとしている方がいれば、その方に目配りや声かけが必要。
ひとりに集中しながら、全体を見るというのが、当初は難しくてうまくできませんでした。
しかし、だんだんそれも身につくようになりました。
介護の仕事の奥深さを教えていただいたと思います。
気難しい利用者さんとの「信頼感」
私が一番頭を悩ませていたのは、ある利用者さんとの関わりでした。
男性で、とても気難しく、よく激高していたのです。
なんでも自宅では、奥様に手を上げることもあるとか。
プライドが高く、女性を下に見ている。
私など、当初はコテンパンでした。
職員でも、うまくいい関係ができている人とできていない人がいる。
どうしたらこの人とうまくやれるんだろうと、ずっと悩んでいました。
とにかく、上手にコミュニケ-ションしている先輩のやり方や言い方をとことん研究する。
すると、その方の言いたいこと、やりたいことにしっかりと耳を傾けているんですね。
その人を知ろうとすること、知りたいと思うこと。
その姿勢が伝わって、信頼感になっているのだと気づきました。
介護職として初めて働いたデイサービスでは、3年の間に、介護の大事な部分を学ばせてもらったと感謝しています。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
次回は、理想的なデイサービスを辞め、転職をしたことに悩むRさんの体験を伺います。
*R・Hさんの「転職体験談」
第1回:販売員から介護士へ!30代後半での転職のきっかけとは?/転職体験Rさん1(今回)
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第4回:介護は学びの多い仕事。まだまだ勉強したい!/転職体験Rさん4
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