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2013年08月07日

「いい感じ」の介助は、ふわっとしてぜんぜん苦しくない! | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

profile-1こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。「介護を受ける人の実感」は介護をする立場のわたしたちに多くのことを教えてくれます。前回の最後に話題となった「両者が触れ合うところに生まれる感覚」から、今回の話は始まります!
<協力 身体技法研究家 甲野陽紀氏/文・構成 佐藤大成>




甲野陽紀さんの日々是介護術21_1

タ 「触れ合うところに生まれる感覚」ということから思い出したのですが、以前、「立ち姿勢の人を、後ろから抱きかかえながら持ち上げる」という術を稽古したことがありましたね?(写真a) まだ当コラムでは紹介していないのですが。 

陽 はいはい、やりましたね。

タ あのときの感覚がこれなんだなあと思ったんですよ。これがはるのり先生流の「触れ合うところに生まれる感覚」なんだなあ! と。ぜんぜん苦しさというものがなくて、ふわっと空中に浮かんでいるような感じ、というか。「抱きかかえ、持ち上げる」という動作は、無理にやると、受け手にきっといやーな気持ちが残ると思うんですよね。

陽 感覚というのは、両者に同じように残りますからね。受け手がいやーな気持ちになるというのは、介護する人にも無理がかかっているということです。タネエディターが気持ちいいときには、わたしも気持ちがいいんです(笑)











甲野陽紀さんの日々是介護術21_2



タ 「触れ合うところに生まれる感覚」に注目していれば、よい介護術というのはおのずと見えてくるような……

陽 そこはこれからみなさんと探究しつつ、ひとつひとつ確認していきたいところでもありますね。そういう点から考えると、「介護の用のベッドで学びたい2」のときにタネエディターに体験してもらった「上半身を抱え起こす」介助法はおもしろいんですね(写真b,c)。

タ おもしろいというと?

陽 とりあえず介助する、ということだけなら、みなさんそれぞれ自己流でなんとかなる動作なんです。でも、介助を「受ける方」の感覚や気持ちに沿って、その方が気持ちよく感じる動作とはなんだろう? と考えていくと、選択肢はどんどん消えていってしまうんですよ。

タ なるほど。受け手にとっての「触れ合うところに生まれる感覚」を大事にした場合は、ということですね。いわれてみれば、あの動作にも、はるのり先生流の“ふわっと感”はありました。このままずっと支えられていたい~と思ってしまうような(笑)

陽 もう一回、ここで試してみましょうか。二通りやってみますから。



甲野陽紀さんの日々是介護術21_3



甲野陽紀さんの日々是介護術21_4



タ わかりましたよ! 違いが。

陽 わかりますよね? 

タ いやー、どちらも、いい感じではあるんですよ。以前、知り合いにやってもらったときにくらべるとぜんぜん違う“ふわっと感”はあるんですが------最初のは「いい感じ」(写真d~f)、次は「さらにいい感じ」(写真g~i)ぐらいの違いがありました。

陽 どちらも「介護の用のベッドで学びたい2」のときにお話した「引っ掛ける感覚」を大事にしている点は同じなんです。抱え起こしてくるときのわたし自身のカラダの使い方が少し違うだけなんですが、それだけでも感覚はぜんぜん違ってきますよね。

タ そうなんです。こちらの感覚でいうと、「いい感じ」のときは、無理がなくてふわっとしながらも、介助されている自分と、介助してくれているはるのり先生は、別物という感覚があったような。それでも充分だなあと思ったんですが、「さらにいい感じ」のときは、その別物という感覚がなくなっていたような気がします。一体になったような、というか、カラダが何か大きなものに包まれているような、安心感も感じていたような気がします。

陽 ありがとうございます。そう聞くと、わたしの感覚も間違っていなかったなあとほっとします。じつはわたしも同じように感じていたんですよ。

タ これからますます興味深いことが出てきそうですね。楽しみです。

陽 ほんとですね。次回に改めて、この解説をしていきましょうか。




◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
プロフィール
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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