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2013年08月14日

「間違いはない介護術」のもっとその先にあるものとは? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

profile-1こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。お盆ですが、いかがお過ごしでしょうか? 夏はカラダの感覚を洗練させてくれる季節。暑さを楽しみながら感覚を磨いていきたいですね。では前回の宿題、「いい感じ」vs.「さらにいい感じ」の介助の違いを一緒に考えていきましょう!
<協力 身体技法研究家 甲野陽紀氏/文・構成 佐藤大成>




タ いつも新鮮な気持ちで思うことなんですが、介護術というのはほんとうに奥深いですね。とりあえずなんとかするという“自分流”をこえて、相手の方がどう感じているのかまで視野にいれていくと、どんどん深くなっていく気がします。

陽 ほんとにそうですね。探求していくと「動きの質」が変わってくるんです。

タ 「動きの質」ですか…なるほど。そういう意味でいうと、前回に体験した「いい感じ」と「さらにいい感じ」の違いがまさにそうで、見た目にはさほど違いはない動作のように見えるんですが、受ける側の感覚としては“おーっ”と声がでてしまうぐらいに違うんです。もちろん、「いい感じ」のときも心地いいのですが、そこがまた変わってくるという……

陽 <写真a~b>がタネエディターが「いい感じ」といってくれた介助、写真<c~d>が「さらにいい感じ」と変わってきた動作ですね。たしかに、ぱっと見るとそれほど大きな違いは感じられないかもしれませんが------

タ と、思いますが?

陽 ただ、よく見ると、タネエディターが体感していた感覚は、カラダの動きに出ているんですよ。

タ 陽紀先生の動きにですか?

陽 それもありますが、受け手であるタネエディターのカラダが雄弁に語っているなあとわたしは思いますよ。

タ というと?

陽 この連続写真は動作のはじめのところですが、畳からふわっとカラダが起き上がってくる瞬間のタネエディターのカラダがもう違ってますよね? 

タ いわれてみれば……「いい感じ」のときのカラダはほんの少し窮屈そうで力が入っている感じがします。くらべると「さらにいい感じ」のほうが無理がないというか、カラダが自然にまとまっているような感じに見えますね。

陽 わたしにもそう見えます。これまでも見た目には違いがわからないような小さな動作によって------たとえば指先や手のひらの動きに注目してみるといったようなことで、カラダの安定感が変わってくることは実感してきましたよね。それと同じような変化が受け手のカラダで起きているのかもしれませんね。

タ なるほど……介護を受けている人のカラダの側にも具体的な変化があるということですね? 

陽 「触れ合うところで生まれる感覚」は両者に影響するはずなので、十分に考えられますよね。



甲野陽紀さんの日々是介護術22_1

甲野陽紀さんの日々是介護術22_2



タ 逆にこのとき陽紀先生の感覚としてはどうだったんでしょう? 「いい感じ」と「さらにいい感じ」のときと何が違っていたのかということですが。

陽 かなりはっきりと違っていたんですよ、実は。ひとことでいえば「手順通りに進めて、間違いはないよね」というのが「いい感じ」のとき。間違いはないので「いい感じ」には思ってもらえるけれど、意識としては“次はこうして、こうやって”というように、つねに自分の動作の次のことを考えながらやっている感じです。

タ なるほど。相手のことより、自分に注目が向いている状態、ということですね。

陽 そうですね。ですから介護する人と受け手の感覚は少し離れているような感じになるのかもしれませんね。

タ そうだったと思います。

甲野陽紀さんの日々是介護術22_3

陽 「さらにいい感じ」のときはそこから一歩進めて、「相手の方のカラダやどう感じているかという感覚を含めて、全体をとらえながら動いている」んです。具体的には、摩擦が生じないように、ひっつくようなぐらい密着して、それが終わりまでずっと変わらないようにしながら、抱き起こしていく------という動きになってあらわれていますが、そうやって全体をとらえながら、同時にいま取り組んでいるひとつひとつの動作を大切にしていくことで、介助をする人と受ける人がつねに「いま」を共有していく関係が生まれてくるんです。「いい感じ」のとき以上に一体感や充実した感覚が引き出されてくる、というのはそういうことなのかなあと思いますね。

タ それで受け手も「包まれているような」感じになったんですね。肩とか腰とかの部分ではなく、カラダ全体が動いていくような感じはたしかにありましたよ。

陽 その感じをタネエディターのカラダが“これは気持ちいい!”ととらたえので、さっき写真で見たように、カラダのまとまり感も変わったんじゃないかと思います。

タ その見方は説得力があると思います。こういう言い方ってヘンですが、
カラダってアタマがいいですね。

陽 はい、カラダは理屈なしにすぐにわかってくれますからね。

タ こういうカラダの“アタマのよさ”はもっと実感してみたいですね。

陽 それは次回からのお楽しみということで!

※参考:対話風研究会3「カラダのつながり感」は介助の「する・される」感覚を変えてくれる! 





◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
プロフィール
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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