2013年12月25日

「抱え上げる」2 | 「介護求人ナビ　介護転職お役立ち情報」

こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。「動いているもの」を追いかけるのが目の習性といわれます。小さく動いているところよりも大きく動いているところに目がいってしまう、のはその点では致し方のないことですが、ひとつの動作において案外重要なのは、実は動き始めるまでの「小さな動作」にあるのかも？――という視点から「抱え上げる」動作の検証をしてみましょう！
＜協力　身体技法研究家　甲野陽紀氏／文・構成　佐藤大成＞

「持ち上げる」の前の動作を比較してみると「違い」が見えてきた!

タ　いやー、違うもんですね。正直いって、ホントに気持ちよかったです。

陽　やはり体験すると感覚がわかりますよね。では、立場を変えてもう一度やってみましょうか。比較するとポイントがより明確になると思うので。

タ　わかりました。自分流でいいですよね？

陽　はい、ふだん自分ならこうやるなあ、というやり方で結構ですから。

タ　最初はまず、腕を相手の腹部に回す、と。持ち上げるためには低い姿勢をとらないといけないので、ちょっと腰を落としながら、相手を抱き寄せて、と……ところが、ここから持ち上がるか、というと(笑)

陽　なかなかたいへんですよね(笑)

タ　ふーっ……いやー、案外もちあがらないもんなんですねー

陽　心配しなくてもだいじょうぶです。ちゃんと出来るようになりますから。まずは写真を見比べてみましょうか。タネエディターの動作とちょうど対応するかなあというところを二枚、並べてみました。写真bと写真e、写真cと写真fを見て、何か気がついたところはありますか？

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タ　パッと見ただけだと、同じように見えますが、じっくり見ていくと、たしかに違いはいろんなところにあるような気がしますね。写真bと写真eだと、陽紀先生の手のほうがぐるっと深く回しているように見えますね。ボクの場合は、こじんまりしているような。首から上の感じも違いますねえ……

陽　だんだん見えてきましたね。そんな感じでもっと見ていきましょうか。

タ　そうですねえ、あとはヒザの感じですかねえ。ボクの場合は、ヒザがカクッと曲がっているんですが、陽紀先生はそんなにヒザが深く曲がっていませんよね。写真cと写真fを比べるとそれはよりはっきり出ています。それに上体の密着感がぜんぜん違うように見えます。なにより――

陽　はい？

タ　ボクの場合は、写真からして、ぜんぜん持ち上がるような気配がない(笑)。「ひとり相撲」ですよね、これじゃあ……(笑)

陽　でも、そこが見えたら地図が手に入ったと同じですよ。ズームアップすべきポイントがいろいろ見えてきましたね。

タ　そういってもらえると救われます(笑)　次回からのピンポイント解説が楽しみです！

◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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