2014年02月05日

　「ふんわりと立ち上がる」1 | 「介護求人ナビ　介護転職お役立ち情報」

こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。介助を受ける方が「気持ちよく、心地よく感じる」ように手助けをすること。これは介助法のひとつの理想ですね。とくに、日常的な動作における「心地よさ」は一日の充実感にもつながる大事な感覚です。今回からしばらく、「立つ」「座る」という日常動作の介助法を、そんな視点からみなさんと一緒に考えてみたいと思います。
＜協力　身体技法研究家　甲野陽紀氏／文・構成　佐藤大成＞

勝手にカラダが立ち上がってしまう、という不思議

タ　今回から「立ち上がり」の介助法を掘り下げていきたいと思います。立ち上がってどこかへ移動する、あるいは移乗するという場面は、毎日何回かは遭遇することだと思うんですね。車いすからベッドに、とか、車の乗り降りという形で。

陽　そうですね。座る、立つ、という動作は日常生活の基本的な動作ですから、それ自体は難しいことではないと思いますが、カラダのどこかに不都合があると、動き出しがうまくいかなかったり、途中でバランスを崩したりしてしまうこともありますから、介助する方も気を遣う場面だと思いますね。

タ　そうなんですよ。ボクも経験があるんですが、気持ちよく立ち上がってもらうというのは案外むずかしいことなんですよね。

陽　「立ち上がる」が「立ち上げる」になってしまうと、介助を受けている人にとってはちょっと辛いですよね。“無理矢理感”がどうしても出てきますから。

タ　そうですよねえ。急いでいたりするととくに介助する側がリードしてしまうので。でも、できる限り“無理矢理感”のない介助法が理想だとは思います。

陽　目指すところはそこですね。「立ち上がり」を助ける方法はいくつかありますが、まずは、いちばん無理矢理感のない方法を稽古してみましょうか……(陽紀先生、座っているタネエディターの手を取りながら)……こんな感じですが、どうでしょう？(写真a〜c)

46-a

タ　あれーっ？　勝手にカラダが立ち上がってしまいました!

陽　これなら“無理矢理感”は感じられないですよね？

タ　それどころか、介助してもらったのかどうかもわからないぐらいです。

陽　「介助をしている•されている」という感覚より「一緒に動いている」といったほうがいいかもしれませんね。

タ　この「ふんわり感」はいいですね!

陽　「ふんわり感」は感覚なので、見ているだけではわかりにくいところもありますが、一度つかんでしまえば、自分の介護術として使えるようになりますからね。次回は、介助の仕方によって感覚がどう変わるか、その違いにズームアップしてみましょう！

◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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