2014年02月26日

　「立ち上がり困難な人を介助する」1 | 「介護求人ナビ　介護転職お役立ち情報」

こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。「自力では立ち上がりがむずかしい人をどう介助するか」が今回からのテーマ。取り組む前の心構えからまず考えていくことにしましょう。
＜協力　身体技法研究家　甲野陽紀氏／文・構成　佐藤大成＞

介助法は決めつけず、理由を把握し、アプローチ法を考えていく

タ　今回から「自力では立ち上がりがむずかしい方」の介助法を考えてみたいのですが、最初にズームアップすべきポイントというと？

陽　「立ち上がりをむずかしくさせている理由」を知ることがまず大事なことだと思いますね。痛いところや思い通りに動かない部分がどこかにあるので動き出せない方もいれば、カラダは問題がないのに「転んでしまうんじゃないか」という不安が強過ぎて、動き出せないという方もいますから。

タ　たしかに、そうですね。「立てないから介助してほしい」といわれれば、まず手を貸すことを考えてしまいがちですけど、立ちあがりを困難にしている理由によっては、対処法も変わってくるはずですからね。

陽　そうなんですよ。介助の方法が習慣化してしまって、「立ち上がる力を引き出せない」場合もあります。これは私の体験ですが、車イスから立ち上がるときは、いつも介助の人に支えてもらっているという方に、前回までに紹介した「手を引く」介助を試してもらったら、何の問題もなく、すっと立ち上がることができたんですね。その方も介助する方も「立ち上がるときはこうするんだ」と決めつけていたんですよ。できたときはすごく喜んでいました。

タ　それは、盲点をつかれるような話ですね。「介助法を決めつけない」ということを、まずはしっかりアタマにいれておきます。

陽　そのことが「立ち上がろうとする力を引き出す」ことにつながると思いますからね。ということを前提にしながら、「立ち上がりたいという気持ちはあるが、カラダがついていかない」という人のための介助法をまず考えてみましょうか――(立ち上がり介助の稽古／写真a～e)――どんな感じですか？

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タ　これは、介助される側としてぜんぜん無理矢理な感じがないです。カラダが触れる介助なので、もう少し違和感があるかと思ったんですが。この“ふわっと感”は以前稽古した「抱え上げる」介助の感覚にも通じるような気がしますね。

陽　いいところに気がつきましたね。体験すると、カラダはちゃんと感覚を覚えていてくれますね。

タ　稽古する意味がそこにあるわけですね。この介助法はベッドや車イスからの移動や移乗のときに役立ちそうです。

陽　はい。「立ち上がる」と「座る」――両方の介助に応用できますから、身につけておくと介助できる場面も増えますからお互いに安心感が増しますよね。次回は、動作のポイントにズームアップしていきます！

◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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