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2014年03月12日

 「座る介助」1 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

profile-1こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。同じように見える介助でも、小さな工夫で心地よさが変わってきます。今回は「座る介助」の中での「支え」に着目してみましょう!
<協力 身体技法研究家 甲野陽紀氏/文・構成 佐藤大成>





目標は「座らされている感がない」介助法!

タ 今回は「座る介助」のポイントを見ていきたいと思います。前回まで取り上げてきた「立ち上がり介助」と、「座る介助」の共通点はどういうところでしょうか?

陽 まず、しっかりとした密着感をもって支えるという感覚。これは両者に共通していますね。「真上に立ち上がる」「真下に沈み込む」という動作も方向は逆ですけれど、共通する要素といえますね(写真a~e)。

51-a

51-d

タ 逆に、違いというと?

51-f陽 見える違いとしては手の支えが少し変わります。立ち上がり介助のときは、腰のあたりで支えをつくっていましたが、今度はその手を前にもってきて、お腹のやや下側に、手の甲側で触れるようにして支えをつくります(写真f)。

タ いわれてみれば。写真を改めてみると違いがありますね。体験しているときはラクチンだなあと思って気がつかなかったんですけど。

陽 支える位置はお腹の下側、男性ならベルトの位置ぐらいのところでしょうか。ここを支えてあげると、お尻が下りていくときに、上体が折れずに真下へ動くことができます。だから、腰にも負担がかからないし、ラクチンだなあと感じてもらえるわけです。

タ なるほど。真下に動くことができるので「座らされている感」がないんでしょうね。

陽 「座らされている感」が出てくるのは、相手にカラダを預けるような動作(もたれる)になったときですよね。自分のカラダを動かすという感覚がなくなって受け身になると「座らされている感」がどうしても出てきますから。お腹にあてた手にはこの「もたれる」動作を封印する力もあります。

タ お腹に手をあてたときに生まれる適度なスペースが効いているんですね。全身が密着しないので。

陽 はい。支えているポイントの密着感を高めて「安心感」を感じてもらうことは大切なのですが、同時に、お互いが「自立感」を感じられる動作であることも、介助では大事なことだと思います。完全な自立ではなくても、「自分で動いている」という感覚が少しでも実感できることが、心地よさにつながっていくはずですから。

タ そのことはぼくも体感して納得です!




◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
プロフィール
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点からの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生まれていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html

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