■書名：マンガ 介護する人・される人のきもちがわかる本
■マンガ・著者：北川 なつ
■監修者：柳本 文貴
■出版社：朝日新聞出版
■発行年月：2019年10月
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介護での「見えない気持ち」を、元・介護職のマンガ家が代弁！
「介護してる（されてる）人間のきもちなんて誰もわかってくれない…ねぇシロ」と介護する人も介護される人も、白猫をなでながらつぶやく。
つぶやかれた白猫は「あ～ストレスたまる」。…
本書の裏表紙にはこんなマンガが描かれている。
介護する人にも、介護される人にも、それぞれ思うことがあるものの、それを周囲に理解してもらえない。そんなもどかしさを抱く人たちにおすすめなのが本書だ。
本書は、元介護職のマンガ家・北川なつさんが、多くの人が抱える
介護の悩みや本音、介護現場の現状などをマンガと文章で解説したものだ。
「なつ」という名前から北川さんを女性と思った方も多いと思うが、実は男性。監修者の柳本さんによる「監修者のことば」に『なつさんは、見た目はごっつい兄ちゃんなのですが、とっても気ぃ遣いで、やさしい人』とあり驚いた。
“ごっつい兄ちゃん”が描いたとは思えない、ほっこりとした味わいとユーモアに満ちたマンガと、人を思いやる温かみ、誠実さを感じさせる文章に癒される作品だ。
本書の構成は次のようになっている。
第1章 介護の悩みは、みんな同じ？
第2章 あなたの本当のきもちが知りたい
第3章 介護の初心を大切にしたい
第4章 プロでも介護はやっぱり大変？
第5章 どうして介護が長続きするの？
第6章 どうなる？介護の未来
107人の介護現場経験者によるアンケートの回答をもとに、ストーリーや文中のエピソードが紹介されているので、介護経験がある人なら、読めば必ず「あるある！」「そうそう！」と思うこと請け合いだ。
各章とも、1ページ8コマ程度のマンガによるエピソードが3つ続いた後に、そのエピソードに共通するテーマについて1ページの解説がつくという形で展開されている。
目次には、次のようなさまざまなテーマが掲載されているので、気になるところから読み進めることもできる。
・なぜ私一人で、この人の介護を？
・排せつの失敗、オムツ交換はお互いにつらい？
・介護の知識と経験は、必ず人生に役立つ
・どう考えても少ない、夜勤帯の職員数
・これほど感謝されることはないかも
・人の境界線がなくなればいいなあ など
また、各章の終わりにある「介護現場のありのままエピソード」では、「食事のこと」「死にたいと言われたら…」「きつい言葉や手をあげられたら…」といった介護現場で遭遇しやすいエピソードについてアンケート回答がまとめられており、こちらも参考にできそうだ。
冒頭に北川さんの他界した祖母、伯母、伯父、母のことが語られているのだが、そこにこんな言葉がある。
＜みんながいなくなってから思うのは もっときもちを聞いてあげてもっとしてあげられることがあったんじゃないかということ
見えない誰かのきもちはいくら考えたって本当にはわかるはずもないけれど相手を思い、近づくことはできます
一度きりの人生だし、できるだけ人にやさしくしたいです＞
「人にやさしく」という北川さんの思いは全編を通して伝わってくる。
介護は決して楽ではないし、苦労が多い仕事だが、温かみややさしさもたくさんあることを改めて気づかせてくれる本書を読み、心に一息つかれてはいかがだろうか。
マンガ・著者プロフィール（引用）
北川 なつ（きたがわ・なつ）さん
マンガ家、絵本作家、イラストレーター。特別養護老人ホームやグループホームでの勤務経験があり、ケアマネジャーや介護福祉士の資格を取得している。介護専門誌「Better Care」（芳林社）でマンガを連載。
監修者プロフィール（引用）
柳本 文貴（やぎもと・ふみたか）さん
1970年、新潟市生まれ。大阪大学人間科学部卒。介護福祉士、社会福祉士、ケアマネジャー。障がい者の自立生活支援、老人保健施設、認知症グループホームを経て、2008年にNPO法人グレースケア機構を設立。長時間・泊まりケア、娯楽ケア、医療的ケアなどの自費サービスと訪問介護、民家デイ、ケア付きシェアハウスなどに取り組む。
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