毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「介護に外国人受け入れ。本当に大丈夫?」という話題を紹介します。
厚生労働省は1月、外国人技能実習制度の対象職種に「介護」を追加する方針を決定。人手不足の穴埋め策として、「外国人の手を借りる」という選択肢が現実化してきた。しかし現場からは、「そんなことが本当に可能なのか?」という声があがっている。
今回導入が検討されている「外国人技能実習制度」は、開発途上国の労働者が、先進国の進んだ技能・技術・知識などを学ぶべく一定期間日本に滞在し、働きながら技能を修得する制度。これまで最長3年間を期限として、農業、漁業、建設、食品、繊維、機械などを対象に広く外国人を受け入れてきたが、その一方で、この制度が悪用されるケースも多く、外国人不正労働の温床化を招いているとの批判も存在する。
技能制度の導入に際してネックとなるのは“言葉の壁”だが、厚労省は、「入国時点で、日本語能力試験4級(=小学校低学年程度)程度」との方針を決定した。これに関しては当初、「3級(=小学校高学年程度)」を軸に議論が進められてきたが、より門戸を広げるため、1つ下の4級とすることが方針として確認された。
これに伴い、介護業界には近い将来、大量の外国人がなだれ込み、現在の人手不足問題はいくらかの改善が見込まれるものと思われるが、現場からは不安の声が寄せられている。都内の事業所で働くTさんはこう語る。
「その人たち(外国人のこと)は日本語ができるんですよね? ウチで働いてるヘルパーで英語ができる人なんて1人もいません。そんな能力は求められませんし、仕事で英語を使う機会もまずないし、第一英語ができる人は、この業界では働かないでしょ(苦笑)。まして利用者さんで英語ができる人なんて聞いたことがない。乱暴に言えば、介護を受けるのは『日本語で会話するのがやっと』っていうような人ばっかりなんですから」
Tさんは、“介護する側と介護される側”にせよ“介護する側同士”にせよ、「この仕事はコミュニケーションが命」と断言。日本語がおぼつかない外国人たちが、介護することに対して、
「介護が人の命を預かる仕事だということが分かっているのか?」
「絶対に現場がメチャクチャになる」
と、怒りと不安を隠さない。
また、現在、「要介護3」の認定を受けている都内在住の70代の男性は、
「ヘルパーさんとおしゃべりするのが日々の楽しみ。言葉が通じるかどうかも分からない外国人に身の回りの世話をしてもらうのなんてイヤ」
と、こちらも嫌悪感を隠さない。
…その一方で、介護の仕事に適性のない日本人がイヤイヤ働くより、心優しく真面目な外国人の方がずっと良い、という声も。
『外国人』と聞くと、大丈夫なの…?と懸念点に焦点があたりがちだが、発想を変えれば、むしろプラスの効果も期待できる。
言語の違いはもちろんハンデではあるが、異質な文化や考え方、行動から刺激を受けたり学べることもある。
たとえば、大家族暮らしで生活の中に介護が根付いていた人であれば、高齢者の様子を見るだけで、マニュアルの受け売りではない心からのケアを実践できるかもしれない。愛情表現やスキンシップが豊かな国で育った人であれば、その行動で自然に高齢者に笑顔をもたらし、現場の雰囲気も明るくなるかもしれない。
そして、そこから、日本人の介護職員も刺激を受け、介護の本質を考えたり、自由で明るい職場の雰囲気を作るきっかけになるかもしれない。
介護業界は現在すでに悲劇的な人手不足にあり、今後それが益々顕在化するのは確実。現場に不安が生じるのは当然だが、みんなで乗り越えていかねば明日はない。外国人実習生の頑張りにも期待したいが、一方で彼らを受け入れる日本側にも、意識改革ときちんとした受け入れ体制の構築が求められそうだ。
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