毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護福祉士の受験者数激減」という話題について紹介します。
介護福祉士の国家試験、受験者が半減!
慢性的な人手不足に悩まされる介護業界だが、先ごろ大きな話題となったのが、介護福祉士の国家試験の受験者が半減したというニュースだ。
介護福祉士の国家試験は年に1回しか行われないが、今年1月29日に行われた国家試験の申し込み者数はおよそ7万9000人で、前年度のおよそ16万人から一気に半減。
資格取得を目指す人が大幅に減少してしまった。
その原因が、新たな受験資格が加わったことにあるのは明白だ。
介護福祉士を取得するには、大きく分けて「福祉系高校ルート」「養成施設ルート」「実務経験ルート」という3つのルートが存在し、実務経験ルートで資格を取る人が圧倒的に多い。
これまで実務経験者は、介護職として3年以上実務経験があれば、試験を受けることができたが、今回の改定では、新たに「450時間の研修(無資格の場合)」という項目が受験資格に追加された。
そのため、受験者の大半を占める実務経験者が受験を見送り、一気に受験者が激減したものと思われる。
この改定を、現役介護士たちはどう思っているのか?
今回の受験資格見直しは、より専門的な知識を身に付けることにより、待遇改善を図る狙いがあったが、現場の声は辛辣だ。
都内の介護事業所に勤める40代の管理職の女性・Hさんはこう語る。
「あ~、結局半分になったんですか。仕事場では『5分の1ぐらいに減るんじゃない』なんて話していたんですよ。
だって、ただでさえなり手が少ない仕事なのに、受験資格を厳しくしたら受験者数が減るなんて当たり前じゃないですか。
ウチでは、スタッフには積極的に資格を取るように指導していて、資格取得のための様々なサポート体制を用意しています。
けれどもそういった補助がなければ、研修の費用が20万円ぐらいかかります。これまでかからなかった費用がいきなり20万円必要になるのは厳しいですよ」
ネットを見ても、以下のような反応が。
「資格をとっても手当は数千円くらいしかつかないよね。それで試験内容を厳しくしたら、まあそうなるだろうね」
「取得してもしなくても、給料はほとんど変わらないしね。それなのに、取得するのに時間と費用がこんなにかかったら無理だよ」
「実際、介護福祉士もってなくても介護の仕事はできるし。もしあってもわずかな資格手当が出るだけ」
といった声が寄せられている。研修時間は、当初は600時間の予定だったが、450時間に減らされた経緯がある。
介護職員の待遇改善は急務だが、国家資格取得者が減ってしまえば、それこそ本末転倒。
Hさんは、「来年(の受験者)は絶対もっと減るはず」と予言するが、受験資格の“見直しの見直し”が行われる可能性は十分にありそうだ。
●こちらの記事も参考に
→介護福祉士の受験資格変更で出願者半減!人材不足の問題にも影響?