毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「パート介護職、稼ぎすぎると損をする?」という話題について紹介します。
頑張って働いたのに、お金が減る?!
世の中には給料の高い仕事もあればそうでもない仕事もあるが、初めて社会に出た人間は、「働けば働くほど、手元に入るお金は増えるはず」と考えがちだ。
もちろん、「働いた分、収入が増える」というのは大筋では正しいが、時には多く稼いだほうが損をしてしまうケースも存在する。
訪問ヘルパー2年目で、思いもよらない支払いが
40代後半になって訪問ヘルパーになったマツダさん。
「短大を卒業してすぐ、21歳で結婚し、専業主婦ひとすじだったので、『社会に出て働きたい』という夢をずっと持っていました」と語るが、仕事を頑張りすぎたばかりに手取り金額が減ってしまう経験をしたという。
数年前に子どもが大学に入学したのをきっかけに、学費を捻出するために訪問ヘルパーとして働き始めたマツダさんだが、そこには意外な落とし穴が。
「介護は初めてでしたが、外で働けるのがうれしくて、とにかく頑張って仕事をしていたんです。
すると、働き始めて2年目に、年収が一定額を越えたため、夫の扶養から外れてしまい、税金の支払いが生じたうえ、社会保険などの費用を払わなくてはいけなくなってしまったんです」
パートでの働きすぎがアダに!夫の扶養から外れて…
それまでマツダさんは、夫の会社の健康保険や厚生年金に加入していたが、ヘルパーの仕事で年間百数十万円稼ぐようになったことで、その権利を失い、社会保険料を20万円近く支払うことになってしまったのだ。
社会保険料の支払いは、年収が一定の額までであれば生じなかったもの。マツダさんはそのルールを初めて知り、改めて計算してみると、年収を一定額に抑えておいたほうが結果的にマツダさんの手取りは多くなっていたという。マツダさんはいう。
「確かにどこかで『103万円が……』とか『130万円が……』という話を聞いたことがあるような気もしましたが、ヘルパーの仕事が楽しかったうえ、早く仕事を覚えたかったこともあり、どんどんシフトを入れていて、税金や社会保険のことなんて考えたことがなかったんです。
私が無知だっただけなんですけど、そういうことって誰も教えてくれないんですよね」
パート希望なら、扶養内勤務について会社に相談を!
扶養の範囲やルールがあることを知った上で、それでも「働きたいだけ働く」という考え方でヘルパーの仕事を続けていくことにしたマツダさん。
登録している介護事業所に相談すると、親身になって話を聞いてくれたそうだ。
「介護事業所の社員さんは、『きちんと説明していなくて申し訳なかった』と言い、さらに『扶養内で働きたかったら、きちんとそういう風にすることもできるから』と言ってくれました。
私みたいに、税金や扶養のルールがよく分かっていない登録スタッフは少なくないようで、『これからはもっときちんと説明しなくちゃ』とも話していました」
扶養範囲や配偶者控除などのルールは2018年にも変更されたばかりで、夫や妻など世帯主の年収などによっても条件が違ってくるもの。
扶養内で働きたいときには、会社にきちんと相談すると、納得のいく形で働くことができるはず。仕事を探すときに、「扶養内勤務」ができるかどうかを確認するのも一つの手だ。
これから初めて働くという方は、頭の隅に入れておくと良いだろう。