毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護職・ヘルパーの前職は色々!」という話題について紹介します。
体の仕組みはお手のもの?エステティシャンから介護へ転職!
介護業界は、他の業種・他の仕事からの転職者が多いのも特徴の1つ。いろいろな人が様々な理由で介護の世界に飛び込んでいる。
都内の有料老人ホームで介護職員として働くハシモトさんの前職はエステティシャンだ。
「私は短大を卒業後、フリーターを経てエステティシャンになりました。美容にとても関心があり、客としてエステに通っているうちに、働きたいと思うようになったのです。
しかし、エステティシャンとして働くうちに、しっかりと手に職が欲しいと思うようになりました。エステティシャンにも資格はありますが、資格が必須ではないので、極端に言えば誰にでもできてしまうからです。
エステの経験で、人間の体のことが少しは分かっていたので、この知識も役に立つかと思い、介護の仕事を選びました」
いざ介護業界に飛び込むと、学ぶことが多いのに驚いたというハシモトさん。
しかし、介護現場で働きながら、順調に介護関係の資格を取得。「エステティシャン時代に覚えたマッサージを利用者さんにしてあげると、とても喜んでもらえます。それに、介護は人手不足なので、一生、仕事に困ることはなさそうです。転職してよかったな、と思いますね」と、決断に満足しているという。
一度はあきらめた「美容師」。介護の世界で活かせるかも
一方、美容師から訪問ヘルパーに転職したナガノさんは、初めはやや不本意な転職だったという。
「子どもの頃から美容師にあこがれていて、高校卒業後に美容系の専門学校に進み、美容師になりました。
順調に美容院への就職も決まりましたが、アシスタントとして働き始め、お客様の髪の毛を1日中シャンプーしていると、手荒れが酷くて、半袖では街を歩けないレベルにまでボロボロになってしまいました。
結局1年足らずで美容師の仕事は辞めてしまいましたが、『お客様と接するのが抜群にうまい』と、美容院の店長に言われたのが忘れられず、人と接する仕事に就こうと思い、介護の世界を選びました」
今はヘルパーの仕事をしているが、美容師の資格は1回取れば一生有効なので、ゆくゆくは介護美容師にステップアップしたいと語るナガノさん。
介護系と美容系の“二刀流”で、収入アップも期待できそうだ。
利用者さんに不評なのはこんな人
ハシモトさんとナガノさんは転職の成功例だが、中には介護の仕事にフィットしない人もいる。
ある介護事業所で働くベテランスタッフのハセガワさんがこう語る。
「私の経験だと、前職が“先生”と呼ばれる仕事だった人には、利用者さんと接するのが苦手な人が多い印象があります。
小学校の先生から介護職員に転職した女性は、教師時代に染み付いた、相手を子供扱いするような話し方のクセが抜けませんでしたし、塾の先生から転職した男性も、『教えてやる』というような上から目線の態度を取ることがあり、利用者さんからの評判は良くなかったですね」
ハセガワさんは、「あくまでも私の印象であって、先生から介護職に転職して活躍している人もたくさんいます」とフォローしているが、1つのエピソードとして興味深い話だ。
ひとくちに“介護関係”といっても、その仕事内容は非常に多岐にわたるので、前職で学んだことが活かせる可能性が高いのも、介護の仕事の大きな魅力だろう。