高齢者のお世話をする「介護士」の仕事。
時にはウソをつかなければいけないことも…。
介護施設で働く介護士のトモさん・健太さん・ユミさんの3名が、利用者さんに思わず言ってしまったウソにはどんなものがあるのでしょうか?
■介護施設での「利用者さんへのやさしいウソ」
介護施設で暮らすお年寄りの中には、認知症の人も。食後すぐに「今日のご飯はまだ?」と聞いたり、自分が片づけた鍵の場所がわからなくなってしまったり、身の回りのことを忘れてしまうこともあります。
トモさんが働く介護施設にも、認知症のおばあさんが暮らしていました。このおばあさん、自分が薬を飲んだことを忘れてしまい、「睡眠薬をください」と介護士のところにやってくるのです。
トモさんは『薬を飲んでも飲んだことを忘れちゃうんだよね』と、おばあさんの認知症の症状がわかっていつつ、欲しがっているお薬を手渡します。
こんなやりとりが夜通し続く認知症のおばあさん。
本当に何度も薬を渡していいの?!と思ってしまいますが……。
なんとトモさんが渡していたのは「ただのラムネ」!
いつもより熟睡している利用者さんを見て驚きつつもホッとしたようです。
男性介護士の健太さんが思わずついたウソからは、利用者さん家族からあらぬ疑いを掛けられてしまった事件がありました。
健太さんが担当する利用者さんは、顔も名前も全く違う健太さんのことを、亡くなってしまった“息子のタケシ”だと思い込んでいます。
「こんなに感激してくれるなら、息子になりきってみよう!」と健太さんは決意することに。
しかし、健太さんがあまりに真剣に“息子のタケシ”を演じたところ、利用者さんは「タケシ(=健太さん)に全財産をゆずる!!」と言い出す結果に。
全く血のつながりのない介護施設の職員に財産をゆずると言われ、家族も健太さんもびっくり!健太さんは利用者さんのご家族に不審がられてしまったそうです……。
もちろん、遺産相続は断った、と健太さんは話していますが、お世話になった介護士に遺産をあげようとするお年寄りは意外と多いようで、介護士の中では「あるある話」になっているようです。
最後は、利用者さんの前で既婚者のフリを続けたユミさん。
「息子の嫁にしたい」と利用者さんから言われ、うまくお断りして丸くおさめるためにはどうしよう……と悩んだ結果、ユミさんが考え付いたのは『既婚者のフリをすること』!!
『独女』のユミさんですが、大恋愛で……愛し合っていて……主人はエリートで……と妄想のままに架空の旦那さんの話を施設で利用者さんたちに話していました。
すると、その架空の旦那さんの話が同僚の介護士たちの間でも話題に!独身・彼氏なしのユミさんは、同僚に散々からかわれたそうです…。
ウソをつくのはいけないことのように思えますが、介護士が利用者さんにつくウソはみんな、「利用者さんが元気に過ごせるように」「生き生きとした生活を送って欲しい」と思ってついた優しいウソ。
優しいウソが、コミュニケーションの一環になっているんですね。
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プロフィール
國廣幸亜(くにひろ・ゆきえ)
1976年5月9日大分県生まれ、愛知県育ち。幼少の頃より漫画家を目指し上京。会社員をしながら投稿し続けるも漫画家にはなれず、挫折しかけた頃ホームヘルパーの資格を取得し介護の仕事を始める。1998年講談社BE・LOVE誌上にて『ささら』でデビュー。現在、介護福祉士としての活動も続けながら漫画を執筆。
著書に『介護のオシゴト』(秋田書店刊 全5巻)、『マンガでわかる介護リーダーのしごと』(中央法規刊)、「ほっと!介護日誌〜介護の時代を生きる私たち〜」(秋田書店)などがある。
●姉妹サイト「オアシス介護」でも、介護漫画 連載中
→ オアシス介護【孫娘のガチンコ介護】
認知症の祖父母を介護する、孫娘の実体験を描いた漫画です!