若くして結婚・出産した後、自分に本当に合う仕事は何かと、模索し続けてたどり着いたのが介護の仕事。介護業界に飛び込んでからも、理想の介護を求めて純粋に突き進んできました。事務員、ミュージシャンを経て、なぜ介護の仕事にのめり込んだのか。熱いハートで語るM・Rさんの言葉に、この仕事の本筋が見えてきます。
*M・Rさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
M・Rさん(52歳)の転職経験
10代で結婚。短大卒業後、大手メーカーで事務として9年勤務
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東京に上京し事務として勤務。その後派遣に転職し、働きながら音楽活動。その間に二度目の結婚、出産
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実家が介護事業所の友達に誘われ、訪問ヘルパーとして3年勤務
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グループホームに転職。介護福祉士の資格取得。しかし介護の仕方に疑問を持ち異動願い。訪問介護のサービス提供責任者に異動
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サ責の仕事が多忙で夫の不満がつのり退職。しかし無職状態にウツになりかける
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仕事復帰しグループホームに就職。ケアマネジャーの資格を取得
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介護職を辞め、新たなグループホームに転職しケアマネジャーに
大阪の事務員から上京して音楽活動を
短大卒業後、まず大手家電メーカーの事務職を9年間務めました。当時は日本も景気がよくて、就職はよりどりみどり。家政科卒業で栄養士の資格も持っていましたが、大手にすぐに受かってしまったので、福利厚生もいいし、行くしかない、という感じでしたね。実際、そんなにがんばらなくてもそれなりに評価され、お給料もまずますで。ラクに働ける9年間でした。
でも、ラクなだけで、物足りなくて。学生時代から音楽活動をしていて、ピアノでライブ活動をしていたんです。事務員は自分の仮の姿、という気がしていて。もっと自分らしく生きてみたいな、という気持ちがありました。
そんなとき、東京に住む親せきが、「事業を立ち上げたから、経理として来てくれないか」と。住まいも提供してくれるというのです。家電メーカーのほうが安定しているのは確かですが、「東京で今までと違う生活をする」ということに魅力を感じて。1年だけ、という条件で引き受けることにしました。
私、10代で一度結婚したのですが、結婚生活3年で夫が交通事故で亡くなってしまっていました。若くして未亡人で、そんな境遇もあって、人生を変えたかったのかもしれませんね。
東京での仕事は、それまでと似たような事務仕事ですし、順調になじむことができました。週末や夜にライブに出かけたりするうち、「一緒にやろうよ」と言ってくれる人もいて。飛び入りでピアノを弾くこともありました。東京にはライブハウスが星の数ほどもありますし、売れなくても希望を持ってがんばっているミュージシャンもたくさんいる。東京ってすごい、音楽をやりたいなら、ここにいるしかないな、という思いでした。
結局、親戚の会社に4年在籍し、順調に事業が回るようになったのを見届けて退社。もっと音楽活動がしやすいよう、派遣会社に登録して、わりのいい時給で働きながら、ライブ活動を続けていました。30代後半までは、本気でミュージシャンになろうとしていましたね。
しかし、36歳で再婚し、39歳で男児出産。子どもの世話も忙しく、自然と音楽活動は休止になってしまいました。
子どもを育てながら打ち込める仕事とは?
子どもが少し大きくなると、これから何をすればいいんだろう、と自分の人生を考えるようになりました。子どもを保育園に預けるなら、定時で帰れる事務職の仕事をするのが一番いいのでしょう。でも、何か違う気がしました。自分にとって事務職は、打ち込める仕事ではなかった。生活の手段でした。
モンモンとしているときに、音楽仲間で、実家が介護事業所をやっている人がいたんです。その方に、「介護っておもしろいよ、やってみない?」と誘われました。
それまで介護なんて、自分の考えの範疇にはまったくなかったし、知識も技術もありません。正直、最初は「お年寄りの世話をして何が楽しんだろう」ぐらいに思っていました。不遜ですね(笑)。でも、当時はちょうど派遣で登録していた会社も辞めていた時期。失業保険をもらいながら、ハローワークで無料で講習を受けてヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修に相当)を取れるというので、まずは資格を取ってみようと思いました。
けれど、講習の中のホーム実習で特別養護老人ホームに行って、ものすごくびっくり! その特養では、なにかこう、「介護してやっている」みたいな態度なんです。流れ作業だし、言葉遣いも乱暴で。介護ってこんなふうにやるものなの!?とショックでした。 座学では「尊厳を守る」「自立支援」と言っているのに、現実はこれ!? 教科書との違いに愕然としました。
すっかりやる気をなくして、ハローワークが紹介してくれた老人ホームにもまったく行く気になれなくて。半年ぐらい、何もせずにボーっとしていました。でも、その後、友人の介護事業所が経営しているデイサービスに行ってみたら、そこはすごくよかったんです。ここならできるかな? と思い始めました。
次回は、本格的に介護業界で働き始めるMさんの状況をお伝えします。
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