R・Uさんが長年勤めた出版社を退職した後、求めたのは介護の仕事でした。有料老人ホーム、デイサービスを経て、4年前にグループホームに転職。認知症の利用者さんと向き合う仕事にやりがいを見出し、4年間勤務を続けています。この4年の間に、自分とも向き合い、さまざまな気づきを得ました。仕事と休息、そして自分自身の生き方――。最終回では、今思うことを、飾らずに語ってもらいました。
*R・Uさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
R・Uさん(58歳)の転職経験
大学卒業後、絵本の出版社で25年以上勤務。母の介護・死を経験し、激務もあって退職
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3カ月ゆっくりと過ごした後、40日間かけてホームヘルパー2級の資格を取得
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有料老人ホームにパートとして入るが、3カ月で退職
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デイサービスにパートとして1年勤務
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現在のグループホームにパートとして4年間勤務
体を壊して半日だけ働くことに
グループホームで3年を過ごした頃、少し疲れを感じ、やめようかと思ったこともありました。その頃、ちょうど体調を崩していたんですね。前向きになれないのは、きっと、体調のせいだったと思います。
1年間お休みし、やめようか、どうしようか迷いました。体力にも自信がなかったのです。しかし、考えた末、これまでの半分だけ、午前中だけ働こうと思い直しました。利用者さんたちと一緒に過ごす時間はやはり自分にはかけがえのないものだったのだと思います。ただ、あまりのめりこむと、また疲れを感じてしまいそうだったので、家事介助を中心に、前よりも淡々とやろうと思っていました。
とはいえ、やはり仕事に戻れば、力を入れてしまいます。さっと入居者さんのお部屋を掃除して帰ろうと思っているのに、できないんです(苦笑)。「掃除をしてもいいな」、と利用者さんが思っているのを察してしまうと、そのままにはできなくて。「あの、このスイッチ押してみてくれますか? ああ、ありがとうございます、よく吸い込みますよねぇ、ちょっと持ってくださいます?」などと促して、掃除をしていただいてしまう。これが、脳や体のリハビリにもつながるのかと思うと、ついお声がけしてしまいます。そして、楽しそうに掃除を始める利用者さんを見ると、うれしくなって、またお声がけする。こんな性格なんですね。
リビングなども、「はい、ここ、掃除しますよ!」などと声をかけると、みんないなくなってしまいます。だから、「ああ、テーブルを動かしてきれいに掃除したいわ。でも私、力がないから、お願いできるかしら……」なんてつぶやいていると、みなさん、テーブルをスッと動かしてくれます。駆け引きですよね(笑)。でも、それが楽しい。「テーブルを動かしてくださったから、こんなにきれいになりました」と声に出して言うと、またみなさん喜んでくれる。感謝していれば、みなさんわかってくれるんですね。
こういうことが、以前よりさらに楽しくなってきました。以前はなんだかんだいっても、心からやりたいと思っていなかったのかもしれません。どこかで「努力」していたのだと思います。でも、今は自然と体が、気持ちが動いてしまう。1年間休んでよかったな、とも思います。
あのままだったらイヤな人間になっていた
この仕事をして、自分自身もすごく変わりました。あのまま出版社勤務を続けて年を取っていたら、きっと弱みもスキも見せないイヤな人間になっていたと思います。今は、もっと高齢者の気持ちになることを学ばなきゃ。職員さんとも連携をとって、仲間の絆を作らねば。ということをいつも考えます。介護が、謙虚になることの尊さを教えてくれました。
私にとって、仕事はお金のためではない。ひまつぶしのためでもない。「自分を生きる」ために必要な、大切なものです。
でも、放っておくと、つい仕事が生活のすべてになってしまいがちです。これからは、“ワーク・ライフ・バランス”も大事にしたいと思っています。ウォーキングをしたり、読書を楽しんだりする時間も大事にしたい。
マイペースに介護の仕事を続けていけたらと、思っています。
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