4年半の特養勤務のあと、福祉用具販売の仕事を得て、営業マンとして働き始めたK・Jさん。しかし、ケアマネジャーの資格を取るという目標を現実に変えるには、あと半年間の介護の実務経験が必要でした。今の職場ではどうしてもその条件が整わないということがわかり、断腸の思いで退職を決意。しかし、悩んだ末の2回目の転職は、大正解でした。
*K・Jさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
K・Jさん(28歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…7年
●介護の仕事に就く前…福祉系の専門学校
●転職回数…2回
●いままでの勤務先…特別養護老人ホーム、福祉用具販売の営業(訪問介護も兼務)、小規模多機能居宅介護
●保有資格…介護福祉士
小規模多機能型居宅介護が、まさに僕の理想の形
実務経験がわずか半年足りなくて、ケアマネジャーの受験資格が得られなかったので、とにかく次の転職先は介護現場だ、と思っていました。ただ、一度経験した特養に戻る気はありませんでした。かといって、イベントを盛り上げる力が必要なデイサービスは、自分のキャラクターには合わない気がしていました。では、有料老人ホームがいいのだろうか。認知症対応のグループホームはどうなのか? 自分が理想とする「高齢者の残存能力を最大限に活用して生活を豊かにする介護」はどこで働けばかなえられるのか?
いろいろ考えている時期に、介護関連の勉強会に出席し、たまたまそこで出会った方から、小規模多機能型居宅介護について話を聞いたのです。
小規模多機能型居宅介護とは、利用者さんが、できる限り自宅で暮らせるようサポートするのが理念。一つの事業所で、デイサービスを中心に、必要に応じて訪問介護やショートステイも組合せます。フレキシブルな形態で、その人らしさを活かした支援ができるサービスなのです。まさに、自分が理想とする介護を実践している場です。
話してくれたのは、自分が「この方から学びを受けたい」と思えるような尊敬できる方。今後はこうした柔軟なサービスこそ、介護サービスに不可欠だと、お話の中からも確信できました。しかも、リーダー2人制で行うそのひとりとして、来てくれないか、と。そうなると、ぜひ自分もその場に身を置きたくなります。
働いてみたい気持ちがどんどんふくらんできて、福祉用具の会社を1年半で退職し、小規模多機能型居宅介護への就職を決めました。
またまた新しい体験の嵐です。訪問介護サービスは、経験がありましたが、その時は、身体障害のある若い男性の身体介護が主でした。今度は、ひとり暮らしの高齢者の方とお付き合いをすることが多くなります。訪問でも事業所での昼間の取り組みでも、料理や掃除をすることも多く、とにかく最初は経験不足で大変でした。
あきらめてはいけない、と後輩にアドバイスしたい
しかし、そんな不器用な僕でも、利用者さんは喜んで受け入れてくださることが多く、本当に利用者さんに救われました。
小規模多機能の良さは「共に生活をしていることを演出すること」
例えば、僕が作っているご飯の味見を、その場にいるみんなで「どう?」と言いながら、楽しんでやっている。1人のスタッフがご飯を作っているのではなく、その場の利用者さんや他のスタッフが共同で食事の時間を作り上げていくのです。
また、利用者さんの多くは、かつてベテランの主婦として、家事をてきぱきと片付けていた方々。若い男性スタッフが来ると、親切に家事のやり方を教えてくれます。教えることが自立支援につながり、生活の変化につながれば、という気持ちもありました。
利用者さん一人一人に気を配り、よりよいサポートをすることと同時に、今度は、任された事業所の健全な運営も目指すわけです。運営の数字を読むのは、営業マンだった前職のときに経験済みでしたが、リーダー2人制とはいえ、ビジネスを任されることの責任は以前よりずっと大きいものです。先輩に相談をし、補ってもらいながら、今に至っています。
就職してからずっと理想としていた自立支援の介護。今は、毎日実践できるチャンスを与えてもらえて、本当に手ごたえのある日々です。力不足の点は、研修などで勉強をしたり、職場で相談をしたり。また、これまでの職場で知り合った方々の力も借りることがあります。
「自分のやりたい介護」に対して、ブレずにここまで来てよかったと思っています。あとは、多忙を理由にまだ合格できていないケアマネジャーの試験に受からなくては、と思います。
理想をいつか現実にしたいと強く願い、努力していればかなうものだと、今は人に言うことができます。僕に続く若い世代にも、あきらめないでほしいと思います。介護とはこうあるべきという理想とマインドを持ち続け、それに見合う自分になることこそが、この介護の仕事に就く喜びにつながっていると思うからです。
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