小さな子どもを抱えながら、時間が自由になるからと、パートで訪問ヘルパーとして働き始めてから12年。現在は、管理職として事業所の要となっているAさん。淡々と仕事をしながらキャリアも得てきたその理由は? 最終回は、Aさんの「今」をお伝えします。
*A・Wさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
A・Wさん(42歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…12 年
●介護の仕事に就く前…フリーター、接骨院助手、ミュージックバー経営
●転職回数…4回
●いままでの勤務先…訪問介護ステーション、デイサービス
●現在の勤務先…訪問介護ステーション
●保有資格…介護福祉士、介護支援専門員、ケアマネジャー
他の事業所で勤務した経験が生きる
サービス提供責任者になってからは、ヘルパーさんたちにどうやってスムーズに働いていただくかを考えて実現する立場になりました。訪問介護では、マンツーマンで介護をしますから、利用者さんとヘルパーの相性もあります。ヘルパー側からも、利用者さんからも、クレームや悩みなどを聞きます。そんな中でうまく調整をつけ、それぞれが満足するような環境づくりをするわけです。
それまで6年間、事業所の介護士として、また他の事業所やデイサービスで介護士をしてきたことが、とても役立ちました。自分は同じようなつらさ、悩みをどう克服してきたのか、新人ヘルパーさんに伝えることができます。利用者さんとの関係づくりのアドバイスも、親身になれます。
また、他の事業所で働いたことで、この事業所のよさを客観的に伝えることができるのも、よかったですね。他の事業所より、はるかに働きやすく、利用者さん本意であることを伝え、やりがいに結び付けてもらうことができます。悩むヘルパーさんに、少しでも的確なヒントを授けて頑張ってほしい、その気持ちを、さまざまな側面から伝えて、理解してもらうためには、いい経験だったと思っています。
訪問介護は人手不足、人手が足りないときには自分が現場にも出ていきます。介護の現場は、どんどん変わっていく、また変えていかなければいけないと思います。そのためには、新しい知識も必要。私は、介護業界の人の勉強会や、つながりの会にも出席し、介護の「今」をくみとれるようにと考えています。その情報を、直接利用者さんの利益につなげ、事業所のヘルパーに伝えることも、私の役割のひとつかな、とも思います。
サ責の立場で事業所の経営にも参加する
数年前、ケアマネジャーの資格もとったので、当初はケアマネジャーになりたいと思っていました。うちは居宅介護支援事業所も経営していて、3名のケアマネジャーがいます。増員はできないので、だれかが辞めれば、自分がそこに入ることができる。しかし、居心地がいいためか、なかなかみんな、辞めないんです(笑)。
資格を取得して何年か過ぎた頃には、「もう、ケアマネにならなくてもいい」という気持ちになってきました。やはり、私は現場のほうが好きなのかもしれませんね。利用者さんたちとのやり取りの中で、悔しいと思ったり、怒ったり。悲しい最期を迎えることもあります。が、いい出会いもたくさんあります。
訪問すると、昔の暮らしや結婚式の写真を見せてくれるおばあちゃんとは、いつも和やかにおしゃべりができました。貴重な写真を次々にみせてくれ、そのたびに感嘆し、昔話に聞き入りました。
一人暮らしがつらくて、幻覚まで見てしまう男性は、うちのケアマネの紹介でホームに入り、元気を取り戻しました。面会にいったときには、「あなたには本当に世話になった。みんなのおかげで、今はとても幸せだよ、ありがとう」と言われました。そんな出会いが数々あります。
2年前からはトップから任命されて、うちの事業所のナンバー2の立場で勤務しています。そうなると、経営面でも責任を感じます。
訪問介護のヘルパーをやりたい、という人は最近減ってきていてスタッフも高齢化しています。たしかに、ひとりで利用者さんとお付き合いするのは大変かもしれません。でも1対1だからこその喜びがあります。その楽しさをたくさんの介護職にわかってほしいと思いながら、事業所の発展に寄与し、今の立場で、自分ももうひとつ、大きくなりたいと思っています。
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