◆訪問リハビリテーション事業所(正職員/理学療法士) → 訪問介護事業所(正職員/介護職・サービス提供責任者)
W・Kさん(男性・33歳)
●訪問リハビリテーション事業所(勤務期間:3年/年収約350万円/ボーナスあり)
●訪問介護事業所(勤務期間:4年/年収約470万円/サービス提供責任者手当・ボーナスあり)
介護業界以外でのその他経験:回復期病院(理学療法士)
保有資格:理学療法士、実務者研修
家族構成:妻、子ども4人(8歳・6歳・4歳・2歳)
*W・Kさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【訪問介護事業での働き方】サ責の業務にとらわれずたくさんの仕事をこなす
現在働いている訪問介護事業所に転職してすぐサービス担当責任者(サ責)となりましたが、最近では、事業全体を見ながら、社長と話し合い、経営にもかなり深く入り込んだ仕事をしています。
会社の中で見れば、副社長のような位置づけになっています。
給料をたくさんいただいている分、当然仕事は厳しいですが、とてもやりがいがあります。
その一方で、訪問ヘルパーとしても稼働しています。
現場のリアルな介護を忘れては、経営に生かせませんし、ヘルパー不足を補うため、また、会社の経営を安定させるためにも、自分が1日3件くらいはヘルパーとして訪問しています。
介護の現場が好きなので、ヘルパーはむしろ自分としては楽しい仕事です。
そのほかに、経営面での仕事もあり、毎日みっちりとやるべきことが詰まっています。
【1日の仕事の流れ】朝6時、誰もいない時間帯に効率よく仕事開始!
仕事が多いので、いかに短時間で効率よくルーティーンワークを片付けるかがポイントです。
とはいえ、スタッフの前ではバタバタしているところを見せたくない。だから、朝早く出勤して、朝の2時間強で、細かな業務をできるだけこなすようにしています。
1日のスケジュールは、おおむね以下のような感じです。
4:30~ 起床。瞑想をするのが日課。瞑想をすると、頭がさえ、考えもまとまりやすくなる。本を読んでも内容がどんどん入ってきて、いつの間にか速読ができるように。怒りやイライラも静まるのでおすすめ。
6:00~ 出社。とにかく時間を無駄にせず、業務をこなす。ヘルパーたちが上げてきた報告書のチェックや給料の計算、1か月の売り上げ・利益の把握などなど、とにかく「こなす」タイプの仕事をここで片付けてしまう。早朝は電話がかかってこないし、話しかけられることもないので、非常に仕事がはかどる。
8:20~ 訪問介護事業所の朝礼。引継ぎ事項の確認や連絡をする。
8:30~ 会社全体の朝礼。社長と打ち合わせをするのは、この朝礼後に。
9:00~ 会社を出てヘルパーとして1件訪問。利用者さんやそのご家族との関係性を築くのが楽しい。
中には、僕が来るのを楽しみに待ってくれている利用者さんもいて、とても心あたたまる。きれいにお化粧をして着替えて待っていた女性の利用者さんには「僕があと50年早く生まれていればねぇ」などと話しかけてにこやかになっていただくことも。
9:40~ 訪問からそのまま営業へ。懇意の居宅介護支援事業所にはあらかじめアポイントを入れて、訪問する。訪問するときは、バタバタしていると、「Wさんのところは忙しそうだから、新しい利用者さんの紹介も大変そうですよね」などと言われてしまうので、できるだけゆったりとした雰囲気を出すことにしている。電話も入れつつ3件ほど営業先を周り、営業活動は午前中に終えることが多い。
12:00~ 1時間の昼休憩。昼ご飯はおにぎり1個で軽めに済ますことがほとんど。事業所には戻らないと決めている。
実はこの1時間は「自分のための仕事」の時間。土曜日に専門学校で理学療法についての講座で講義をしているので、その授業準備に時間をあてることも。そのほかに、経営についての勉強、受けるべき研修の調査などに時間を費やすのも、大切な日課。
13:00~ 訪問2件ほど。新人ヘルパーの同行や、クレーム処理なども行う。居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんと話したり、地域包括支援センターや役所の知り合いの方などと話したりして、情報交換することも。
16:30~ 事業所に戻る。電話連絡などをしているうちにヘルパーが戻ってくる。
ヘルパーの相談にのったり、情報交換をしたりと、スタッフとのやり取りの多い時間。何かトラブルが起きていれば、この後の時間に利用者さんのご自宅に訪問をして、事情を伺うこともある。
19:00 この時間には退社すると決めている。サ責が遅くまで事業所に残っていると、みんな帰りにくいし、ただダラダラといるだけでは、効率的でないから。ヘルパーたちには、「早く帰って体調を整えて明日また元気に出社してくださいね」と声をかける。
19:10~ 事業所での仕事を終えてからも、まだ1日は終わらない。この後はカフェで経営関連の本を読んだり、事業計画を立てたり、仕事に関係するような勉強をする。
【理想の介護】理学療法士の自分だからできる介護を
現場では身体のしくみから介護を語り、納得してもらう
介護はエビデンスがない仕事、とよく言われますが、僕は理学療法士なので、できるだけ身体の機能や動きのメカニズムを伝えながら、どう身体を動かしたらいいのかを利用者さんにお伝えすることが多いです。
「料理もリハビリになるんですよ」とただ言うだけでなく、「こういうふうに手を動かすことが、ここの筋力を上げる」「段差をまたぐとこういう筋肉を使うことになって、筋力アップする」などと具体的に言うので、利用者さんも納得してくれます。
スタッフが悩んでいるときも、フィジカルなメカニズムで伝える方法を伝授することが多いですね。
そうすると、「利用者さんが前よりも自立支援に積極的になってくれている、Wさんのおかげです」と言われることも。
そういう瞬間に、この仕事のやりがいを感じます。
介護と理学療法とがうまく融合し、利用者さんの心身機能の改善と、幸せにつながることが一番うれしいです。
利用者さんの心に寄り添い、信頼される介護職に
しかし、それ以前に、利用者さんと心を交わすことの大切さを、実感しています。
僕ももちろん利用者さんの立場になって考え、行動することを大事にしていますが、スタッフにも、「“自分事”と考えて問題解決してくださいね」とお願いしています。
利用者さんの生活を楽しくすることで、自然に動いてもらい、それが自立支援になっていることが理想ですし、それを目指したい。
そのためには、我々スタッフが、利用者さんに信頼されることが大切です。
利用者さんに嘘を言わない、約束を守るなどはあたりまえのことですが、利用者さんの心の動きを察知して、繊細な心の変化にも寄り添えるようなスタッフを育てたいですね。
【仕事の悩み】訪問介護の仕事だけでなく、売り上げをもっと上げたい!
収益を増やして会社に貢献したい
僕の使命は、ただ訪問介護事業所をスムーズに稼働させることだけではありません。
企業としての売り上げを上げ、収益を上げて、会社が発展することの実現に寄与することが重要だと思っています。
ですが、自分にはまだまだ足りない部分が多いと思っています。
新規の利用者さんの獲得も、もっとしたいところです。
うちの事業所は、介護度の重い方をたくさん引き受けているので、利用者さんが亡くなられることも多く、2~3人の利用者さんが急にいなくなることがあると、非常にきついのです。
常に多めの利用者さんを獲得し、スムーズに、少し忙しいくらいに仕事が回っていないといけないなと思っています。
ベストな状態でより多くの利用者さんの支援ができるよう、どう環境を整えていくかが、僕の課題です。
この部分は社長に任されていますので、もっと数字を挙げて会社に貢献したいと切実に思いますね。もっと勉強せねば、と思っています。
良いスタッフに囲まれたこの事業所で、若いスタッフを育てたい
うちのスタッフは、和やかな人が多く、利用者さん目線で考えられるベテランも多いので、非常に助かっています。
利用者さんに愛されるスタッフが多く、僕がトラブルの解決に出ていく機会は、他の事業所よりずっと少ないのではないかと思っています。
しかし、いつまでもベテランに頼っているわけにはいきません。
若いスタッフの採用や教育にも力を入れ、今後に続く道を作っていきたい。
これも僕の大きな課題だと思っています。
最終回の次回ではWさんの転職に対するノウハウ、研修の利用のしかた、将来に向けての展望などを語っていただきます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*W・Kさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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●先輩たちの職場選びの失敗事例に学ぼう
→ 「こんなはずじゃなかった…」 転職先選び 私の失敗談
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