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2019年07月31日

良い介護のため「多世代交流」「休みの使い方」を大切に~転職体験Oさん4 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」



◆特別養護老人ホーム(介護職)→デイサービス(施設長)→訪問介護事業所(サービス提供責任者)

O・Rさん(女性・35歳)
経歴詳細
●特別養護老人ホーム(勤務期間:5年/月収手取り約20万円・ボーナス約45万円)
●飲食店(勤務期間:2年)
●障害児支援(勤務期間:4年/月収手取り約27万円)
●デイサービス(勤務期間:4年/月収手取り約28万円・ボーナス約28万円)
→訪問介護事業所(サービス付き高齢者向け住宅に併設)へ異動(勤務期間:1年/月収手取り約30万円・ボーナス約60万円)


保有資格:介護福祉士、准看護師
家族構成:独身

*O・Rさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら


【転職で気を付けたこと】人間関係で悩んでもすぐに辞めるのはもったいない

介護業界で働いている人が“転職したい”と思う原因のひとつに、人間関係があると思います。
私も、以前の職場で人間関係に悩みました。
あとから入った若い私が、経験のある年配の方々の上に立ち、それを不満に思う方がたくさんいたんです。
そんなとき、「いじめられた」という感覚になりがちですが、そうではなく、視点を変えないといけないのだと思いました。

みんな、介護という仕事に対して、自分の正義を持っているのです。
ひとりひとりが何を大切にしているのか、よく考え、発見していくことが大事です。
そうすれば、「嫌味だな」と感じた発言が、「実は思いやりだったのだ」と思えてくる。
自分がここにいるのは、誰のため? 何のため? 自分の仕事の意味は?
そんな根源的なことを自分にもう一度問いかけてみれば、揺れ動いていた感情がすっと落ち着いてくると思うのです。

何かがちょっといやだからとか、意地悪な人がいるからとか、そんな一時的な感情だけで仕事を辞めてしまうのはもったないと思います。
自分が何を目指しているのか、枝葉ではなく、大きな幹の部分で考えていくことが大事だと思います。


【研修】多世代交流の第一歩!保育園・福祉施設とのコラボを企画

勉強の場は、たくさんあったほうがいいと考えています。
自分が現場で学べることには限りがあり、もっと広い視野で介護という仕事を見て、技術や知識を得るためには、研修は必要不可欠だと思っています。

もし、社内の研修が不足していると思えば、上司にかけあって、研修を企画・実施するのもいいのではないでしょうか。
たとえばうちの会社の場合、同じ法人が経営している保育園や障害者支援施設が近くにあります。そちらの管理者の方に来ていただいて、高齢者と子どもの交流の場づくりを一緒に計画したり、障害のある人の特徴についての研修会をしてもらったり、サ高住だけでは実施できない研修などを企画しました。
立場の違う人に福祉のことを語ってもらうと、介護とは何かという本筋も見えやすくなってくるのです。
謝礼などは出せなくても、知り合いの方で来てくださる方がいれば、上司と相談して講師として呼ぶことを検討してみるとよいと思います。

また、うちの会社では、大学の先生をお呼びして課題設定や論理性について学ぶ研修も実施されました。
問いを立てることと論理性を身に付けることは、業界を越え、どの分野でも重要なスキルだと考えます。

また、少し目を外に転じれば、世の中には介護関係の研修や勉強会がたくさんあります。
無料で開催されているイベントもありますし、参加してみると、世界が広がります。


【リーダー職としての心構え】人の話をよく聞くことが組織を作る力に

新人の頃は、「介護は、こうすべき」という信念ばかりが先走って、自分の思いをうまく伝えられず、逆に現場の方々とぎくしゃくしてしまうことがありました。
でも、人にはそれぞれの正義や思いがあります
ひとりひとりの気持ちや考えをよく聞き、「そういう思いだったのですね、知らなくてすみません」ときちんと言えば、たいていはわかってもらえます。

また、感情的にならず、言いにくいことは、ストレートに言わないことも重要です。
「私も知らなくてごめんなさい、でもこれは社内では禁止のようなんですよ」というような言い方をするとか。
人はあからさまに否定されると、こちらの真意を汲めなくなるものです。
相手の考えをいったんは認めてから、事情を話すようにするといいのではないでしょうか。


【多世代交流が目標】保育園の子どもたちや大学生とも交流を

障害のある女の子の支援をしてから、高齢者介護だけでなく、保育や療育にも関心を持ち始めました。
また、それぞれが独立した支援ではなく、子どもと高齢者の交流、障害のある人と高齢者との交流など、多世代や立場の違う人たちとの交流の大切さを感じています。

以前働いていたデイサービスでは、相談員の女性が多世代交流に熱心で、系列の保育園から子どもたちをデイサービスに呼んでいました。
いつもはのんびり過ごしている利用者さんも、小さな子どもが来ると目を細めてかわいがります。
お菓子を探したり、折り紙をしてあげたり、「何かしてあげたい」という思いで、積極的に動くのです。
そんな姿を見ていて、やはり人は役割があることが大切なのだな、とつくづく思いました。

また、子どもたちも、お年寄りにほめてもらうことがうれしくてたまらない様子でした。
はじめて会ったおじいちゃん、おばあちゃんともすぐに打ち解けて、いろいろな話をしている姿をよく目にしました。
核家族化が著しい今の社会の中で、高齢者と触れ合えることは、子どもたちの成長にとっても大切なことだと思います。

また、そこのデイサービスでは、小さなお子さんがいるスタッフに子連れ出勤を認めていました。
デイサービスにはパーキンソン病の方もいれば認知症の方もいれば、脳卒中で麻痺のある方もいます。
そんな人たちと自然に交流していたその子は、優しい子に育っていきました。

うちのサービス付き高齢者向け住宅でも、多世代交流が始まっています。
今後も継続的に、積極的にやっていこうと思っています。
私もそのうち結婚して、自分の子どもを連れて出勤し、利用者さんにも子育てを手伝ってもらえたらいいな、などと考えています。


【オフタイムの過ごし方】休みの日を充実させることがいい介護につながる

介護職になりたての頃は、起きている時間はずっと、介護に携わっていたり、介護のことを考えたりしていました。
たくさんの時間を費やすことが、介護の質を上げると思っていた面もありました。
しかし、最近は休んで遊ぶことも大事なんじゃないかと思い始めています。

高齢者の方々は、私たちより数倍も人生を楽しんで生きてこられたと思います。
その方々がお年を召され、お身体の自由がきかなくなってきて、寂しい思いをしています。
そんな心境を理解し、今よりもっと楽しんでいただくためには、私たちが楽しみ方や楽しませ方をわかっていることが重要なのではないか、と。

私たちが仕事をすると同時にしっかりと遊び、旅行やスポーツ、歌、パチンコやマージャン、時には投資や経済と幅広い世界を知ることで、利用者様がどんなことに喜びを感じ、楽しむことができるのか、よりおおらかに受け入れて、一緒に楽しむことができるのではないかと思います。

介護職に余裕がないと、利用者さんたちに「おとなしく黙っていてほしい」などと思ってしまうことがあるのかもしれません。
しかし、利用者さんたちにはこれからも、人生を思い切り楽しみ、幸せを感じてほしいと思うのです。
よく生きること=well beingを大事にし、利用者さんも私も、よりよく生きることを目指したいと思います。

<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>

*O・Rさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目2回目3回目4回目(最終回)はこちら


●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●

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