◆訪問介護(登録ヘルパー)→成年後見事業所(新規事業担当)→住宅型有料老人ホーム(介護職)
R・Jさん(女性・48歳)
介護業界での職歴
●介護・福祉関連法人(勤務期間:14年)
・訪問介護事業所(登録ヘルパー)(経験年数2年/時給約1,000円)
・訪問介護事業所(サービス提供責任者)(経験年数2年/月収約17万円)
・居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)(経験年数10年)※成年後見事業所と兼務
・成年後見事業所(新規事業担当/成年後見人)(経験年数10年/年収約400万円)
●住宅型有料老人ホーム(介護職・パート)(勤務期間:1年/時給約1,010円)
介護職以外の仕事:事務職員、飲食店店員など
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員
家族構成:本人、夫、長女20歳、長男18歳
*R・Jさんの「転職体験談」
第1回:
パート主婦から新規事業担当者へ 介護業界で歩んだ激動の日々~転職体験Rさん1
第2回:介護士から経営者へ!「お金で困らせない」ための成年後見事業の立ち上げ~転職体験Rさん2(今回)
第3回:
仕事か?家族か? 地方視察で出会った『無理をしない介護・福祉』~転職体験Rさん3
第4回:
良い仕事は、自分の幸せから!転職で『いい働き方』に気付けた~転職体験Rさん4
【仕事のやりがいは?】訪問介護と講座運営、どちらの仕事でも成長を実感
子育てしながらできる仕事を探していて、訪問介護の登録ヘルパーを始めました。
経理や事務ができるということで、会社から「養成講座の事務局を担ってほしい」と言われたのが、入職して3カ月。
以来、訪問ヘルパーと事務局の二足のわらじで、急に忙しくなりました。
家庭を優先しながらも、はじめての仕事をふたつ行うのですから、時間的にも気持ち面でも忙しくなりました。
けれど、法人のトップが「期待しているよ」と声をかけてくれたり、周囲の人たちが子育てに理解があったりしたので、気持ちよく働けました。
養成講座では、講師の先生の選定、受講者への告知、受講者からの質問の窓口、会場設営など、さまざまな仕事があります。
先輩職員さんに聞きながらの業務で、みなさんを頼りにさせていただきましたが、「人を育てる仕事をしている」という達成感があり、それが仕事へのやりがいになっていました。
のんびりと主婦をやっていた頃とは生活そのものがガラリと変わり、夫からは苦情が出ることもありました。
けれど、なんとかなだめて、仕事に向かっていく。
仕事を辞めようとは思いませんでした。
仕事をすればするほど、自分が成長していくという実感もあったのです。
子どもは小学生になり、少し手が離れたことも、仕事に向かう理由になりました。
【資格は必要?】介護福祉士、ケアマネ、運行管理責任者…資格で広がる業務
介護福祉士は3年で、ケアマネジャーは5年で取得
ヘルパー2級の資格だけで介護の世界に飛び込みましたが、仕事をずっと続けていくために、必要な資格は取っていきたいと考えました。
当時は今と違い、3年間の実務経験で介護福祉士の資格を取得できたので、まずは介護福祉士を取得。
その2年後には、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格も取得しました。
仕事をするなら向上心を持って取り組みたいですし、そのためには、資格は励みになるし、自分の証明書にもなります。
実際、介護支援専門員の資格を取得してからは、訪問介護事業所からの異動で、居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして働くようになりました。
その後は、法人内の障害のほうの相談支援専門員となり、障害福祉にも深く携わるようになりました。
運行管理責任者の研修を受け介護タクシー事業を運営
また、この法人は介護タクシーの運営もしていました。
しかし、二種免許を持っていた職員が退職してしまい、そうすると、この事業ができなくなります。
そこで、私が二種免許を取って、介護タクシー事業を継続することに。
しかも、教習所に通うことなく、いきなり試験を受けて受かることを期待されました。
そして、なんとか試験に受かり、私が介護タクシーの事業の継続を請け負えることになったのです。
後に、運行管理責任者という研修も法人で受けさせてもらい、6台の介護タクシーを運行させることとなりました。
台数も多かったですし、ドライバーの手配なども、何人かで力を合わせて、運営していきました。
【仕事の悩み】家庭と仕事の両立に悩み、一時的に休職…
「こんなに働くと思っていなかった」と夫に言われて
週1のヘルパーをやるつもりでヘルパー2級の養成講座を受けたのに、いつの間にか介護・福祉法人の正職員になり、仕事もいくつも抱えることになりました。
自分自身はやりがいに満ちて楽しくてしょうがなかったけれど、徐々に夫の機嫌が悪くなってきました。
「こんなに働くなんて、予想もしていなかった。家庭をどう考えているのか」と。
娘は発達障害だったこともあり、私の変化を敏感に受け止めていました。
彼女が学校でいじめられているというのも気がかりで、それをひきずりながらの勤務。
娘は、私に対してとてもこだわるところがあり、娘が思うような母親でいないと、不安になってしまいます。
以前より一緒にいる時間が減り、ますます不安感が高まっていたのでしょう。
夫が「まずは家の中を整えろ」と言うのももっともだと思い、しばらく休職していた時期もありました。
悩みながらも復職
しかし、家にいると、娘がまた環境の変化についていけない。
お互いに共依存の関係になってしまい、双方が苦しくなります。
結局、仕事を再開。
職場に通えばやることは満載なので、またもとのような仕事ぶりになってしまいます。
家庭と仕事との両立が難しく、悩みに悩んで……。
夫とも何度も何度も話し合いましたが、よい解決策が見出せず、結局離婚することになりました。
娘とふたり暮らしになり、寂しいながらも、また新たな気持ちで仕事や育児に向かっていくのだという覚悟もできました。
【介護現場の課題との関わり】成年後見事業の立ち上げを担当
介護・福祉にまつわるさまざまな事業を経営する中で、法人トップは、新たな課題を感じていました。
認知症の方や障害のある方で、財産管理や手続きがうまくできない方は多いのです。
そういう方は、お金は多少あっても、自分で介護施設に入居することもできないですし、手続きもできない。
今の暮らしではもう限界、となっていても生活の場を変えることすらできません。
また、中には持っている財産を使ってしまったり、落としてしまったりして、みるみる財産を失ってしまう人もいるのです。
このような利用者さんがいると、うちの法人も支払いが滞ることもあります。
こういう人たちの力になりたい。なんとかできないか、と考えるうち、法人は「成年後見事業をやろう」というところに行き着いたのです。
成年後見とは、判断能力が衰えている人に変わって、財産管理や身上監護をすること。
家庭裁判所から任命を受けて、ひとりの人に寄り添います。
社会的にもその人のためにも、本当に必要なこと、なんとしても運営を継続していきたい、それには私が加わることが必要だというトップの思いが強かったのです。
【仕事人としての気概】期待されると応えたくなる
会社のトップに「Rさんにやってほしい」と言われると、いやといえない。むしろ、うれしくて自分から手を挙げてしまう。
シングルになって、日々忙しいのに、それでもやりたくなってしまうのが私という人間です。
NPO法人ってどうやって立ち上げるの? 成年後見人になるにはどうしたらいい?
まったく未知の分野に飛び込むことになりました。
この頃には、法人トップも私たち運営に関わる職員も、「単に事業として訪問介護や居宅介護支援事業をやるだけでは、世の中のためにはならない。地域全体を見渡して、地域で住民を支援するようなシステムができないか」と考えていたのです。
成年後見は、その大きな一歩でもありました。
NPO法人の立ち上げ方や経営の仕方を一から学び、幅広い法的な知識が必要な成年後見についても学び、夢中で立ち上げたのが9年前。
運営をしながら、自分も成年後見人として、担当の方に寄り添い、財産や生活を支えることになりました。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
次回は、さらに新たなビジネスに着手することになったいきさつや、Rさんが仕事と家族、働き方の悩みから退職を決めた経緯をお伝えします。
*R・Jさんの「転職体験談」
第1回:
パート主婦から新規事業担当者へ 介護業界で歩んだ激動の日々~転職体験Rさん1
第2回:介護士から経営者へ!「お金で困らせない」ための成年後見事業の立ち上げ~転職体験Rさん2(今回)
第3回:
仕事か?家族か? 地方視察で出会った『無理をしない介護・福祉』~転職体験Rさん3
第4回:
良い仕事は、自分の幸せから!転職で『いい働き方』に気付けた~転職体験Rさん4
●○● 介護業界で転職する時の 基本ノウハウ ●○●
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