仕事とプライベートをバランスよくこなすためには、給与のほかにも年間休日数を重視する必要があります。しかし、週2回休日が欲しい場合は年間休日数が何日あれば十分なのか、具体的に把握している人は少ないのではないでしょうか。
また、介護施設では365日24時間入居者さんのケアが必要となるため、介護士は休みの確保が難しいというイメージを持つ方も多いでしょう。
そこで本記事では、介護業界の平均年間休日数や週あたりの休日数などを詳しく解説します!
夜勤明けの休日の扱いや転職活動での注意点などについても紹介しますので、転職を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
「年間休日」とは、会社が定める1年間の休日の合計数です。
年間休日に含まれる休日は、その会社で全員が適用となる休日のみをいいます。
そのため、個々のタイミングで取得する有給休暇や産前産後休暇、育児休暇は年間休日には含まれません。
一方、夏季休暇や年末年始休暇など、就業規則で休日と定められている休日や休暇は年間休暇に含まれます。
また、休日には「法定休日」と「法定外休日」があり、この2つの合計が年間休日となります。
「法定休日」とは、労働基準法で定められた休日のことです。
労働基準法では、週に1回以上または4週間に4回以上の休日を労働者に与えなくてはならないと定められています。
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
(引用:労働基準法)
一方で「法定外休日」とは、会社が労働者に対して任意で与える休日のことです。
労働基準法では休日のほかに、1日8時間以上ならびに1週間40時間以上の労働をさせてはならないと労働時間についても定めがあります。
そのため、休憩時間を除いて1日8時間労働の会社では、法定休日のほかに1回法定外休日を設け、週2回の休みで調整している場合が多いです。
厚生労働省が実施した「令和4年就労条件総合調査」によると、年間休日数の全国平均は107.0日となっています。
年間休日数の割合は、以下の通りです。
年間休日数 | 割合 |
69日以下 |
4.3% |
70~79日 |
3.1% |
80~89日 |
4.7% |
90~99日 |
6.6% |
100~109日 |
29.6% |
110~119日 |
20.6% |
120~129日 |
30.2% |
130日以上 |
1.0% |
年間休日数は会社によって異なるものの、約8割の会社が100~129日の年間休日を設けていることが分かります。
次に、会社規模ごとの年間休日数を見ていきましょう。
従業員数 | 1企業あたりの年間休日数 |
30~99人 |
105.3日 |
100~299人 |
109.2日 |
300~999人 |
114.1日 |
1,000人以上 |
115.5日 |
このように、年間休日数は会社の規模によっても異なり、会社規模が大きくなるほど年間休日数も増えていく傾向にあります。
年間休日数は、会社の規模だけではなく業界・業種によっても大きく異なります。
業種別の年間休日数が調査された、厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査」によると、医療福祉業界の平均年間休日は109.4日でした。
医療福祉業界の年間休日数ごとの割合は、以下の通りです。
年間休日数 | 割合 |
69日以下 |
- |
70~79日 |
4.0% |
80~89日 |
4.0% |
90~99日 |
6.2% |
100~109日 |
40.4% |
110~119日 |
24.7% |
120~129日 |
19.4% |
130日以上 |
1.2% |
(出典:厚生労働省「平成 30 年就労条件総合調査の概況」)
医療福祉業界では、全体の4割が100〜109日の年間休日を設けていることが分かります。
年間休日100〜109日ということは、週に1〜2回ほどの休みを取得できる計算です。
介護士は、施設によって年間休日や勤務形態が大きく異なります。そのため、就職や転職で介護の仕事を探している場合は、自分のライフスタイルに適した年間休日や勤務形態の施設を見つけるのがおすすめです。
正社員の介護士として介護施設に勤務する場合は、夜勤勤務があるのが一般的です。
夜勤は体力的・精神的に大変なイメージがあるため、これから介護士になる方の中には夜勤明けが年間休日に含まれるのか気になる方も多いでしょう。
労働基準法では、夜勤明けは法定休日に含まれません。
そのため、以下のように働いた場合は、休日が設けられていないこととなります。
労働基準法では、労働者に対して最低でも週1回の休みを与えなくてはいけないと定められています。そのため、夜勤明け以外の日にかならず休日を確保する必要があります。
施設によって夜勤の勤務時間が異なるため、必ずしも夜勤の後に休日を設けなくてはいけないわけではありません。
しかし、適切に休日を設けていない場合は、自身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、夜勤がある施設で働く場合は、事前に夜勤の頻度や夜勤後の休日の扱いなどを確認しておくと安心です。
労働基準法における年間休日の最低ラインは、8時間勤務の場合105日です。
労働基準法では、賃金や休日など労働条件の最低基準を定めていますが、年間休日に関しては具体的な日数を定めてられていません。
では、労働基準法における年間休日の最低ラインがなぜ105日なのかを確認していきましょう。
労働基準法第35条では、会社は労働者に対して週に1日以上または4週間のうち4日以上の休みを与えなくてはならないとしています。
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
(引用:労働基準法)
さらに、労働基準法第32条では、労働時間について1週間に40時間以内および1日に8時間以内と決められています。
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
2 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(引用:労働基準法)
まとめると、最低限以下の条件を満たす必要があります。
・休日は、「週に1日以上」または「4週間で4日以上」必要
・労働時間は、「1日8時間」および「1週間40時間」を超えてはいけない
上記の条件を考慮すると、1日8時間フルで働く場合は最大で週5日働くことが可能です。
1年は約52週なので、1年間の勤務日数は週5日×52週=260日となります。
よって、365日から勤務可能日数の260日を差し引くと105日となるため、労働基準法における年間休日の最低ラインは105日となります。
年間休日の全国平均や最低ラインが分かったところで、数字だけを見ても休みが多いのか少ないのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで、年間休日数としてよく見かける125日・120日・110日・105日・96日だと、週や月でどれくらいの休日を確保できるのか分かりやすく解説していきます。
仕事とプライベートのバランスを重視して仕事を探したい方は、ぜひ参考にしてください。
年間休日125日は、カレンダー通りの休日にプラスして年末年始休暇や夏季休暇などがあるイメージです。
1年のうち土日は104日前後あり、祝日は16日あるため、カレンダー通りに休日を設けている場合は年間休日120日となります。
そのため、年間休日125日の会社は、カレンダー通りの休日(週に2日と祝日が休み)のほかに年末年始やお盆など5日ほどの休日を設けているケースが多いです。
このことから、求人票に年間休日125日とある場合は、比較的休みが多い会社といえるでしょう。
年間休日120日は、上記でも紹介した通りカレンダー通りの休日である場合が多いです。
土日など週休2日に加え、祝日も休みを確保できるケースが多いでしょう。
そのため、休日が多い会社で働きたい場合は、年間休日120日以上を目安に選ぶのが好適です。
年間休日120日の会社は、企業等を相手に営業する法人営業を行う会社や比較的大きな会社が多い傾向にあります。
年間休日110日は、全国平均に近い値となります。
年間休日110日の場合は、週2回の休日に加え、お盆や年末年始の連休を確保できるケースが多いです。
週2回の休日を設けた場合の年間休日数は105日となり、ここに5日ほど別に休みを設けると年間休日110日となります。
ほかにも、土曜の隔週と日曜を休日とすることに加え、祝日を休日にしている会社も年間休日110日ほどとなります。
医療福祉業界の平均年間休日は109.4日なので、介護士として就職する場合の休日数の目安としてもよいでしょう。
年間休日105日は、本記事でも紹介した通りフルタイムで働く場合の労働基準法最低ラインです。1日8時間働く場合は、105日を下回ると労働基準法違反となります。
年間休日105日だと、1週間に2日の休日を確保できますが、それ以外の休日を確保できない計算です。
長期休暇が欲しい場合は、1週間1回の休みとなる可能性もあります。
そのため、旅行や帰省など長期休暇が欲しい場合は、有給休暇を消化して休日を確保する必要があります。
年間休日105日は、全国的に見ても比較的休日数が少ない会社といえるでしょう。
年間休日96日は、休日数が少ない会社です。
年間休日数が96日だと1か月あたりの休日は8日となるため、1か月のうち週に休みが1回しかない場合もあります。
また、年間休日96日は、労働時間によっては違法になる場合もあります。年間休日96日の会社で仮に1日8時間働いてしまうと、週によっては休日が1日しかないため、1週間で48時間働くこととなります。
この場合、規定の時間を超えた8時間については時間外労働です。
時間外労働をする場合は、あらかじめ「時間外労働・休日労働に関する協定(通称36協定)」を労働者と会社で締結する必要があります。当然ですが、時間外労働の場合は割増賃金も支払われます。
年間休日96日は休日数が少ないため、勤務時間や勤務日数について、確認が必要です。
年間休日数110日は、介護業界における年間休日の平均です。
年間休日数が110日であれば、週2回プラスアルファの休日を確保できる計算となります。
また、夜勤明けは休日にカウントされないため、人によっては休日が多く感じる場合もあります。
例えば、年間休日110日で週1回夜勤がある施設の場合は、以下のようなスケジュールで勤務することが可能です。
7月1日(月) 9:00~18:00 日勤
7月2日(火) 17:00~ 夜勤入り
7月3日(水) ~9:00 夜勤明け
7月4日(木) 休み
7月5日(金) 休み
7月6日(土) 9:00~18:00 日勤
7月7日(日) 9:00~18:00 日勤
年間休日110日であれば、上記のように夜勤明け以外で週2日の休みを確保できるため、旅行や帰省もしやすい環境です。
介護士はシフト制の勤務であるケースが多いため、上記のように連休を確保するのは勤める施設によっては難しい場合もあります。
とはいえ、正社員であれば年間休日以外にも有給休暇や特別休暇の取得が可能です。
そのため、年間休日110日ある場合は休日数が少ないと感じることはほぼないでしょう。
転職で「こんなはずじゃなかった」を避けるためにも、年間休日以外に確認するべき点があります。
求人票には、さまざまな情報が掲載されているものの、給与や休日ばかりに目がいってしまう方が多いです。
しかし、給与面や休日ばかりを重視すると、仕事内容や労働環境など入社後にギャップを感じやすいため注意が必要です。
具体的に求人票では、以下の項目をしっかりと確認しておくのが上手な転職活動のコツです。
・給与
・年間休日数
・労働時間
・残業時間
・週あたりの休日数
・諸手当
・夜勤回数 など
ほかにも、介護士としてのスキルアップを目指している場合は、資格取得支援制度や研修制度などを設けている職場がおすすめです。
また、求人票だけでは分からない施設の雰囲気などは、求人サイトや公式ホームページなどから情報収集しておくとよいでしょう。求人票に職場見学ありと記載がある場合は、活用することで施設の雰囲気を事前に確認することができます。
転職や就職する際は、自分が重視したいポイントを明確にしておくとスムーズな職場探しが可能です。
介護士を含む、医療福祉業界の平均年間休日は109.4日です。休日数から分かるように、介護士の多くが週2日ほどの休みを確保できています。
介護施設では365日24時間入居者さんのケアが必要となるため、休みの確保が難しいイメージがありますが、他業種も含めた全国平均から見ても平均的な休日数です。
ただし、年間休日数や休みの曜日、休みの取りやすさなどは、働く施設や雇用形態によって大きく異なります。
そのため、転職の際は休日数に限らず給与面や労働時間など、自分が重視したいポイントを明確にすることが大切です。
ほかにも、勤務地までのアクセスや職場環境なども応募前に確認して、長く働いていけそうかを基準に求人を選ぶとよいでしょう。
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