■書名:早引き 介護の声かけ&コミュニケーション
■監修者:金田由美子
■発行元:ナツメ社
■発行年月:2012年5月3日
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「声かけ」から始まる、利用者とのコミュニケーション&信頼関係作り
あなたは、利用者への声かけのきっかけがつかめず、困ってしまったことはないだろうか?
他の介護スタッフと笑顔で話す利用者を見て「自分には、あんなに笑顔で話してくれないのに…」と落ち込んでしまったことはないだろうか?
そんな人にぜひ手にとって欲しいのが本書だ。利用者とスムーズにコミュニケーションするための基本やコツなど、明日から使える声かけのポイントがギュッとつまっている。
特に目をひくのは、自己紹介や食事・排泄・入浴の介助など、介護でよくあるシーンごとに声かけの仕方やポイントをまとめた「生活場面別コミュニケーション」の章だ。
例えば、食事のシーンだけでも「食事への誘導」「食事を勧める」「あなたも食べなさいと言われたとき」「食事が終わったとき」「食後にまだ食べていないと言うとき」など、具体的な12のパターンごとに、対応のポイントや実際の声かけ、利用者の反応にあわせた受け答えなどをコンパクトに紹介しているのだ。
また、介助を嫌がる・弄便・夜間の徘徊など、どう対応すればいいか迷ってしまうシーンについても、その対応や解決のためのヒントを教えてくれる。
本書は、すぐに役立つコミュニケーションのノウハウが分かるハンドブックではあるが、それだけではない。コミュニケーションとは何か、介護現場で必要とされるコミュニケーションとはどういったものかという解説や、利用者とのコミュニケーションに役立つ情報も、詳しく紹介されている。
「コミュニケーションのマニュアル本」をイメージして本書を手にとった人は意外に思うかもしれない。しかし、本書を監修する金田由美子さんもこのようなメッセージを綴っている。
<最初は、まずどう声をかけるかということから始まり、そこからどのようなやりとりが行われるか、どのように展開していくかは予測できません。ですから、コミュニケーションをテーマにしたマニュアルは、そもそも存在しないと思います。>
<コミュニケーションに正解はありません。ただ、やってはいけないことはあります。それを知ったうえで、あなたらしいコミュニケーションをつくってください。>
本書は、あくまでもコミュニケーションのヒント。まずは、事例をもとに実践してみる。その中で、ゆっくりとあなたなりのコミュニケーションを見つけていけば、利用者と良好な関係をつくることができるのではないだろうか。
監修者プロフィール
金田由美子(かねだ・ゆみこ)さん
「在宅サポートセンター生田」センター長。老人病院の看護助手や民間デイサービスの草分け的存在である生活リハビリクラブの開設、愛媛県在宅介護研修センターなどを経験。介護講座を中心とした講演活動も行っている。「介護不安は解消できる」(集英社新書)など、著書多数。