■書名:なぜあの人は楽しそうに働くのか
■著者:中越 裕史
■発行元:大和書房
■発行年月:2009年11月1日
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心理学の理論で解説する「仕事を楽しむ方法」
「希望して始めた仕事なのに、最近仕事が面白くない」
そう思いながら仕事を続けている人も、多いのではないだろうか。
やりたい仕事だと思い飛び込んでみたものの、何かちょっと違う。つまらない。
でも周囲を見渡すと、楽しそうに仕事をしている人もいる。
彼らと私の違いは何だろう……。
同書では、”やりたいこと探し”を専門とするカウンセラーが、心理学の様々な理論を紹介しながら、自分らしい働き方を見つけ、仕事を楽しむ方法を紹介している。
たとえば、仕事をがんばれない理由として、「ヨナ・コンプレックス」という心の動きを挙げている。人間は「変わりたい」と思いつつも、無意識に今の状況が変化することを恐れているのだという。
「仕事を楽しむために自分が良い方向に変わる」ことも怖がり、抵抗する働きが心の中にはある。それを知っているだけでも、気持ちが楽にならないだろうか。同書では変化への抵抗を超える方法として「出来る限り小さな変化を起こす」ことを提案している。「毎日5分間だけ、専門書を読む」など小さな行動が、大きな変化につながっていくのだという。
また、「自分の仕事スタイルを知っているか」も大切なポイントだ。
仕事を本当に充足させたいならば、自分らしいスタイルで働いているかが重要になる。仕事のスタイルは、職人気質の「クラフツマン」、勝つためにガンガン攻める「ジャングル・ファイター」、安定志向の「カンパニー・マン」、仕事はゲームととらえて楽しむ「ゲームズマン」の4つ。
例えば、コツコツ仕事を行う「クラフツマン」タイプの人に、「ジャングル・ファイター」のやり方を押し付けても能力は引き出せない。また、やりたいことを仕事にしていなくても、スタイルに合った働き方ならば、人はある程度充足感を感じることができる。
同書ではタイプ別に様々な特徴を挙げているため、自分がどのスタイルに属するのか見つけることもできる。
また、仕事の本当の面白さは「想像」を「創造」することにある、とも述べている。たとえ同じことの繰り返しの仕事でも、日々の仕事の中で思い浮かぶほんの小さなアイデアや、思いつきはあるはずだ。小さな工夫でも行動で形にできたときから、仕事の面白さがわかり始める。
<仕事を楽しむこと。それはそんなに難しいことではありません。ちょっぴり勇気はいるけれど、特別な才能や運がなくても、誰にでもできる簡単なことです。>
あなたの周囲には、仕事を楽しんでいるように見える人はいないだろうか。彼らの行動と同書の内容を照らし合わせてみると、様々な発見があるかもしれない。
<松原圭子>
著者プロフィール
中越 裕史(なかごし・ひろし)さん
日本メンタルヘルス協会公認心理カウンセラー。社団法人日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。日本で唯一の”やりたいこと探し専門”カウンセラーでもある。メールマガジンの発行、ウェブを通して行う講座「自己カウンセリングプログラム」なども展開。著書に「いまの仕事で本当に幸せになれますか」(こう書房)がある。