■書名:仕事。
■著者:川村元気
■出版社:集英社
■発行年月:2014年9月29日
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仕事を楽しむことができれば、人生はもっとおもしろくなる!
「あなたにとって〈仕事〉とは何ですか?」「なぜ〈仕事〉をしているのですか?」と聞かれた時、あなたはどう答えるだろうか?
心から「やりがいを感じるもの」「楽しいから仕事をしている」と答えられる人は少ないのではないだろうか。納得がいかないことがあっても「仕事だから…」という諦めや精神的な疲れを感じていることはないだろうか。
本書は、そんなモヤモヤした気持ちから抜け出すヒントがたくさんつまった一冊だ。
本書は、著者である川村元気氏が、さまざまな分野のプロへ「仕事」に関する質問をした対談をまとめたものだが、まず、その「プロ」たちがすごい。
脚本家の倉本聰氏、作曲家・プロデューサーの秋元康氏、映画監督・アニメーターの宮崎駿氏、コピーライターの糸井重里氏、カメラマンの篠山紀信氏、ミュージシャンの坂本龍一氏…など、いわゆる「巨匠」と言われる12人が名をつらねている。
そんな「巨匠」に、35歳の川村氏はこう問いかけている。
<「僕と同じ年の頃、何をしていましたか?」>
倉本聰氏は39歳の時、あるテレビ局とのトラブルから北海道に移り住むことになる。秋元康氏は29歳の時に勉強し直すために渡米する。そこにはさまざまな苦悩があったが、結果、ドラマ「北の国から」や美空ひばりの名曲「川の流れのように」が生まれる原動力となる。
成功者としてのイメージしかなかった巨匠たちが、実は順風満帆に生きてきたのではなく、悩み、迷っていたことをそのまま語った言葉を読み進めるほどに、自分との共通点が見つかる。巨匠と言われている人々との距離が縮まり、その一言一言が、心にグッと心にせまってくる。
また、川村氏は巨匠たちにこんな質問もしている。
<「仕事で悩んだ時とき、辛いとき、どうやって乗り越えましたか?」>
その答えは、本当にさまざまだ。しかし、誰もが自分なりの方法を見つけ、仕事をしながら仕事を楽しむ方法を見つけているのだ。
川村氏は、本書の冒頭で読者にこんなメッセージを送っている。
<大人になってからの、ほとんどの時間。つまり生きているほとんどの時間、僕らは仕事をしている。だとしたら、僕は金のためではなく、人生を楽しくするために仕事をしたいと思う。>
巨匠が巨匠と言われるまでの道のりには、大きな苦悩があったと思うが、巨匠たちの言葉は軽やかで、いわゆる「エラい人が語る言葉」にありがちな説教臭さが少しもない。
この「軽やかな考え方」こそ、仕事を楽しむための秘訣なのかもしれない。
「心から仕事」を楽しみたい!そんな元気をもらえる一冊だ。
著者プロフィール
川村元気(かわむら・げんき)さん
上智大学を卒業後、東宝にて「電車男」「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」「寄生獣」などの映画を製作。2011年、優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。2012年、初小説「世界から猫が消えたなら」を発表。70万部超のベストセラーとなり、映画化が決定。著書に絵本「ティニーふうせんいぬのものがたり」(マガジンハウス)、「億男」(マガジンハウス)などがある。