■書名:介護スタッフのための 安心!「食」のケア 口腔・嚥下・栄養
■著者:地域食支援グループ ハッピーリーブス
■発行元:秀和システム
■発行年月:2013年6月17日
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最後まで口から食べたい。その願いに寄り添うための実践ノウハウ集
どんなに年齢を重ねても、介護が必要になっても、できれば「美味しく、楽しく食べたい」「口から食べたい」と誰もが願っているはずだ。しかし実際の介護施設や在宅の現場では、様々な機能の衰えや疾患などの影響で、思うように食べられない方が数多くいらっしゃるのも事実だろう。そして、そんな食の問題に直面して「どうしたら安全に口から食べていただけるか」と悩んでいる介護職員も多いに違いない。
本書は、「高齢者が安全に口から食べることを支援するために」介護職員が知っておくべき知識やノウハウをまとめた手引き書だ。ハンディサイズの本だが、中身は濃い。執筆したのは「地域食支援グループ ハッピーリーブス」のメンバー。管理栄養士や歯科衛生士、理学療法士がそれぞれの専門分野から執筆しているのが特長となっている。
グループ代表の篠原弓月さんは、本書を企画した目的について次のように書いている。
<本書は、介護現場で一番身近に利用者に接しておられる介護職の方々が、「食べ続けたい」利用者の思いに寄り添い、叶えることができるようにと企画されました。食の専門職に聞いてみたい、実践してみたい内容を幅広く掲載しています。>
その言葉どおり、本書が取り上げている内容は、加齢による身体変化に始まり、それが嚥下機能に及ぼす影響、口の機能や栄養の基礎知識、口腔ケア、認知力が低下した方の介助など、とても幅広い。
たとえば、介護の現場で頭を悩ます摂食・嚥下障害や誤嚥の問題。
本書ではまず、食物や水分を飲み下すときの口腔の仕組みを説明。そのうえで、安全に食べるために介護職員ができることを詳しく解説していく。姿勢の配慮から食べものを口に運ぶ手順、食材の切り方、口の準備体操、嚥下リハビリ…と、その内容は非常に細かく、実践的なノウハウになっている。
また、「水分を多く含むものが食べづらい理由」「義歯を使っている人に適した食事は?」など、コラムとして紹介されている内容も興味深い。本書全体でイラストを多用しているので、専門的な内容であってもすんなり読み進むことができる。
施設でも在宅でも、本書のノウハウは役立つに違いない。「味わって食べる喜びと笑顔」を支援するために、ぜひ手に取ってみてほしい一冊だ。
<小田>
著者プロフィール
地域食支援グループ ハッピーリーブス
「新宿食支援研究会」を母体として2010年4月に発足。歯科衛生士、管理栄養士、理学療法士といった専門職をメンバーとするグループで、在宅療養や介護現場での「口から食べる喜びいつまでも」を活動理念に掲げる。現在は、地域の在宅主治医やケアマネジャー、介護職、訪問看護師などと協働し、訪問口腔ケアや訪問栄養相談、訪問リハビリをはじめ、地域ネットワークづくりなどの幅広い食支援活動に取り組んでいる。