介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
めぐみさん(有料老人ホーム 5 年目 28歳)
介護の仕事にやりがいを感じて、有料老人ホームで5年働いています。「もっと働きやすい職場づくりのために」と、同僚や上司の意見を集め、休日も返上して提案書をつくり、1年かけて、職場環境や人員数の見直しを会社に訴えてきました。
しかし、結果は、ほんのわずかな賃金アップのみ。最初は悔しさがこみあげ、怒りに燃えていたのですが、最近急に仕事へのやる気がなくなってしまいました。朝、布団からなかなか出られなかったり、上司や同僚と意見があわないとすぐへこんだり…。こんな気持ちは、初めてです。これって、いわゆる「燃え尽き症候群」でしょうか?
篠さんからのアドバイス
めぐみさん、日々のお仕事本当にお疲れ様です。
がんばってきたことが思いのよらぬ結果に終わってしまい、とてもお辛い状況だと思います。
「燃え尽き症候群」とは、心因性のうつの一種といわれており、今までエネルギッシュにがんばっていた人が燃え尽きるかのようにエネルギーが枯渇し、無気力になって落ち込む症状です。また、焦燥感やイライラが強くなり、本格的なうつ病を発症する場合もあります。
原因として、自分が最善と信じて、打ち込んできた仕事がまったく期待はずれに終わったことへの疲弊感や、理想と現実のギャップによるショック、見返りを期待して行った努力が期待通りの見返りを得られなかったことへの失望などと言われています。
うつ病との違いは、自責感よりも他責感が強くなり、怒りや嫌悪などの攻撃的感情が他者へ表現される点があります。
「燃え尽き症候群」になりやすい性格として、「献身的な人」「責任感・使命感が強い人」「頑固で意思が強い人」と言われています。また、介護職・看護職など献身的な仕事に就かれている方にも多いとも言われています。
めぐみさんは、「燃え尽き症候群かも?」と思われているようですが、ご自身で判断されるのは、注意が必要です。うつ病にもいろんな症状がありますし、燃え尽き症候群ではないかもしれません。
対策として、とにかくまず休むこと。または、休める環境づくりを心がけてください。
もし、やる気が起こらない状態が続くようでしたら、精神科、心療内科の受診をお勧めします。
時間をかけて、あせらず回復するのがよいかと思います。
休んでいる自分に罪悪感や劣等感を感じることもあるかと思いますが、人生を長い目で見ると、今回休むことは、たいした期間ではありません。
ちょっと長めの夏休みぐらいにとらえて、思い切ってゆっくりされるのもよいかもしれませんね。
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2015/5/7
最終更新日:2020/2/18
→介護職・ヘルパーの魅力・やりがい・給与情報は?お仕事まるわかり情報