■書名:これしかないとき!いまある材料でくふうする 高齢者のためのクイックメニュー
■監修:香川 芳子/杉橋 啓子
■料理:小川 久恵/宮入 照子
■ 出版社:女子栄養大学出版部
■発行年月:2004年9月20日
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ホームヘルパー必見!今ある材料で作れるメニュー&スグに役立つ調理のコツが分かる実用本
高齢者にとって、「食事」は大きな楽しみの一つだ。
だからこそ、できるだけ美味しい食事を作りたいけど、時間にも食材にも制限があるから難しいし、どうしても似たメニューになってしまう…。
そんな悩みを抱えているホームヘルパーの方も多いのではないだろうか。
本書には、よくある「食事作りの困った」をまるごと解決してくれる情報がギュっとつまっている。
いざ料理を作ろうと思っても、利用者宅の冷蔵庫には数種類の食材しかない…。そんな時、今ある食材からメニューを探せることが、本書の大きな特徴の一つだ。
例えば、玉子をメインに使った料理だけでも「ポーチドエッグのおろし煮」「ちくわの玉子とじどんぶり」など15種類。メインの料理にあわせると栄養バランスがよくなる副菜や汁物も紹介しているから、レパートリーがグンと広がるし、献立作りが苦手という人も安心だ。
また、手軽に作れるメニューばかりということも魅力だ。見た目がキレイで、高齢者が好むひと工夫があるけど、作り方はとてもシンプル。しかも、揚げものなど手間がかかる料理を手早く仕上げるコツや、漬け物や缶詰などを使って味に深みや変化をつけるポイントも分かる。
凝った料理を作る時間がない、料理が苦手という人の悩みも解決できるのではないだろうか。
さらに、メニュー以外の情報が充実していることも、本書をおすすめする大きなポイントだ。
例えば、高齢者のための調理の工夫もその一つ。硬い白菜の芯が食べやすくなる切り方のコツや、塩分を控えつつ薄味にならない方法など、高齢者の食事を作る時に知っておきたい豆知識が散りばめられている。
また、「食事作りQ&A」のページには、「食事を残しているのが気になる」「糖尿病なのに天ぷらやカツ丼を要望される」「きざみ食やすりつぶし食を利用者が好まない」など、利用者との対応で困ってしまった時の対応法も紹介されている。
監修者の香川芳子氏・杉橋啓子氏は、本書の巻頭で読者にこんなメッセージを投げかけている。
<食事作りは、命を明日につなげる、最もたいせつな介護の仕事の1つです。栄養バランスを考え、相手の状況や好みを思いやりながら作った料理は、それを食べる人の体も心も元気にし、生きる喜びをもたらします。人はだれでも、自分のために作ってくれたおいしい料理を口にすると、幸せになれるのです。>
また、ある訪問ヘルパーは本書内のインタビューでこう語っている。
<食べること自体を忘れている方も、台所から何か匂ってくると「何やってんだい?」とおっしゃる。「ちょっと味みていただけます?」というと、その一口で食欲が刺激されたりするんです。きちんと召し上がると、目に力がもどり、顔色もぐんとよくなりますね。>
本書は訪問ヘルパーの食事作りをサポートしてくれる実用書だが、それだけではない。
高齢者がイキイキと暮らす上で、いかに食事が大切かを再認識させられる一冊だ。
著者プロフィール
<監修者>
香川 芳子(かがわ・よしこ)さん
女子栄養大学学長・医学博士。四群点数法による栄養クリニックを開設し、肥満・高脂血症・高血圧・糖尿病などの栄養指導を実践する。食の教育推進協議会代表。
<監修者>
杉橋 啓子(すぎはし・けいこ)さん
神奈川福祉栄養開発研究所 開発部長。元・特別養護老人ホーム正吉苑 副苑長として、高齢者の食生活および「食」を通しての自立支援の研究、地域の要介護者の食生活援助に携わる。香川栄養専門学校非常勤講師。共著に「実践介護食事論」「終末期の栄養と調理」ほか。
<料理>
小川 久恵(おがわ・ひさえ)さん
女子栄養大学名誉教授。介護食士1級資格者。専攻は中国料理。高齢者向きの簡単で栄養豊かな料理を研究中。共著に「胃腸手術後の人の食事」「女子栄養大学のお料理研究」ほか。
<料理>
宮入 照子(みやいり・てるこ)さん
女子栄養大学短期大学部教授を経て、現在、栄養科学研究所客員教授。ホームヘルパー1級、介護食士1級資格者。介護の現場に即した手軽で実用的な食事を得意とする。共著に「高血圧 毎日のおかず」ほか。