■書名:介護スタッフのための 安心!リハビリ知識
■著者:加藤 慶
■発行元:秀和システム
■発行年月:2012年7月5日
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リハビリを安全&効果的に行うコツを紹介! 身体と心を元気にするためのリハビリがわかる
高齢者が自分らしく暮らしていくためには「自分で動けること」がとても大事だ。利用者と接するなかで彼らの「衰え」を実感し、なんとかしたいと思う介護スタッフは多いのではないだろうか。
また、リハビリに興味はあるけど知識がないし、もしケガにつながってしまったら…と、迷っている人もいるのではないだろうか。
本書には、介護の現場で日々の生活にリハビリを取り入れるための知識やコツ、具体的な方法がイラストをたっぷり使ってわかりやすく紹介されている。さらにリスクの予防法や迷った時の対応もわかる。まさに「介護スタッフのための一冊」だ。
まず、利用者に合ったリハビリをするためには、一人ひとりの「身体の状態」を知ることが大切だ。しかし、介護施設や自宅には専門家が使っているような特別な測定器などはない…。
本書では、利用者の関節の動きや筋力、痛みなどを特別な道具を使わず、簡単に測定する方法を紹介している。
リハビリ前・リハビリ後の違いがわかれば、効果も実感できるし、利用者のモチベーションを保つこともできるはずだ。
また、多くの介護スタッフが頭を悩ませる「転倒」「感染症」「車イス」「排泄」といった、体力の衰えから起こるさまざまなリスクの対処法を紹介。もろろん、リハビリを行う時の注意点についても、イラストを使って分かりやすく解説しているため、安心して日々のケアにリハビリを取り入れることができる。
リハビリの方法が、以下のような目的別に紹介されていることも、介護スタッフにとってうれしい工夫だ。
●「痛みを和らげる」「関節が硬くなるのを防ぐ」など、利用者が自分で行うリハビリ
●「寝返り」「起き上がり」「歩行」などの介助をしながら、利用者に自分の力を使ってもらうためのコツ
●「骨折」「リウマチ」「パーキンソン病」「認知症」など、リハビリが難しいと思われる疾患を持つ利用者に対するリハビリ法
「リハビリ」と「機能訓練」は同じものだと思っている人は多いかもしれない。
しかし、それだけではない。
著者の加藤慶さんは、リハビリについてこう説明している。
<関節を動かす訓練や筋力をつける訓練ばかりがリハビリではありません。目に見えない心のケアや、能力障害による社会的不利からの復帰のお手伝いもリハビリです。>
また本書のはじめでは、読者にこんなメッセージを送っている。
<少しずつでよいので、寝てしまった心を起こし、身体を起こしていくことが大切と思います。本書がそのきっかけになれれば幸いです。>
「利用者が身体を動かすこと」だけがリハビリの目的ではない。「心」を元気にすることが、本当の目的なのだということに気づく。リハビリの実践的テクニックを知ることを通して、「介護の本質」を再認識できる一冊だ。
著者プロフィール
加藤 慶(かとう・けい)さん
理学療法士。中部リハビリテーション専門学校卒業。老人病院、特別養護老人ホーム、複合福祉施設を経て、生活介護研究所に所属。在宅・施設を問わず、本音でわかりやすい介護を様々な場で提案している。ユニットケアの導入から確立、介護の質の立て直しなどに幅広く携わり、ユーザー主体のノウハウを数多く持つ。雑誌などへの執筆やセミナー講師、専門学校講師として活躍中。著書に「認知症あったかKAIGOとしあわせケアプラン」(共著/関西看護出版)、「早引き 介護の拘縮対応ケア ハンドブック(共著/ナツメ社)など多数。