■書名:はじめての褥瘡ケア: 見る 看る わかる ポイント50
■著者:切手 俊弘
■発行元:照林社
■発行年月:2013年6月25日
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原因も症状も異なる「褥瘡ケア」のポイントを50点に絞って解説
「褥瘡(じょくそう)」とは、一般的に「床ずれ」と呼ばれているものだ。長時間、皮膚が体重で圧迫されて血流が悪くなり、赤みをおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことを指す。仙骨部や、かかとなど突起した骨の部位は特に強く圧が加わり、褥瘡ができやすいと言われる。つまり、寝たきりで体位変換が困難な高齢者や、やせ気味で骨が突出している人に多いという。一度できるとなかなか治りにくく、10年以上にわたり褥瘡と闘う患者も珍しくない。中には傷害が皮膚を越え、筋肉や腱にまで及ぶものや、10センチ以上まで広がったものもある。
本書では、「まず最初に読む褥瘡ケア」をテーマに、まだ褥瘡を学び始めたばかりの初心者に向け褥瘡ケアの基本をまとめている。ケアのポイントを50点に絞り、以下のことを解説している。
●なぜ褥瘡ができるのか
●褥瘡の種類
●褥瘡の予防
●治療薬の使い分け
●褥瘡の見極め方
●在宅での褥瘡ケア など
著者の切手俊弘さんによると、褥瘡の原因や発生場所、発生のメカニズムは一人ひとり異なり、ケアの方法もそれぞれ異なるという。がん終末期などでADLが低下し、褥瘡ができてしまうこともあれば、寝たきりで体位変換できなかったことが原因のこともある。
栄養管理によって改善する例もあり、「局所のケア」「体圧の管理」「栄養の管理」の集学的ケアで褥瘡ケアが成功すると述べている。
本書では、それら「局所のケア」「体圧の管理」「栄養の管理」について細かく解説。見開き2ページで1つのポイントが完結するため、知りたい内容を検索すれば、どこからでも読み始められる。写真も豊富で、「ケア前」「ケア後」、状態がよい「きれいな褥瘡」と、状態が悪い「汚い褥瘡」など、褥瘡のタイプがよくわかる写真を数多く掲載。治療で用いる薬や体圧を分散する寝具も紹介している。
<褥瘡は局所の疾患として扱われた時代は終わり、栄養・体圧・基礎疾患など全身のケアが欠かせないという認識が、ようやく広く受け入れられつつあります。「木を見て森を見ず」では褥瘡ケアは成り立ちません。どうすれば全身が良くなるかを考えれば、おのずと局所の改善にもつながるわけです>
「褥瘡はトータルケアが大事」と切手さんは語る。多職種で多角的にアプローチしていくことにより、褥瘡を防ぎ・改善させていくことが可能になるのだという。幅広くコンパクトにケア方法を紹介している本書を読めば、各分野の連携の大切さがわかるのではないだろうか。
<松原圭子>
著者プロフィール
切手 俊弘(きって・としひろ)さん
彦根市立病院 外科副部長。大分医科大学医学部卒業。大分県津久見市医師会立津久見中央病院で褥瘡治療を学ぶ。専門分野は創傷管理(外傷・褥瘡など)、消化器疾患(内視鏡治療、胃ろう、ストーマ管理)など。著書に『褥瘡ケアの「秘訣」30」』などがある。