■書名:介護で使える! 難しい「たんの吸引・経管栄養」がスラスラわかるイラスト学習帳
■監修:久良木 香
■発行元:エクスナレッジ
■発行年月:2012年9月30日
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たんの吸引や経管栄養の手順をイラストでわかりやすく解説
社会福祉士及び介護福祉士法が一部改正になったことは、みなさんも記憶に新しいのではないだろうか。平成24年4月から、一定の研修を修了し認定証を交付された介護スタッフは、たんの吸引など一部の医療行為が可能になった。施設や在宅で介護職が提供できるサービスの領域が広がり、医療との連携が求められるなか、こうしたスキルを持った介護職のニーズは高まっている。
本書は、第一章で、たんの吸引(口腔・鼻腔・気管カニューレ(※)内部)、第二章で経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻経管栄養)について解説。それぞれの手技と手順、器具の取り扱いについてたっぷりページを割き、カラーのイラストと簡潔な文章で説明されている。
特に手順に関しては、介護スタッフの手洗いから始まり、器具の点検確認、利用者への説明、準備方法、観察、片づけ、報告、記録まで、順を追って説明される。具体的に何をするのかが一連の流れとして理解しやすく、初めて学ぶ人にとってもハードルが低く感じられるはずだ。
また、吸引や経管栄養によるリスクについてもしっかり触れ、予防法や対応の仕方についても紹介。ほかにも、以下のような実際に手技を行うスタッフに役立つ内容が充実している。
●「いつもと違う呼吸状態とは?」
●「たんをいつ吸引するかの判断」
●「経管栄養を中止するのはどんなときか」 など
現場のニーズに応えたマニュアル本になっていると言えるだろう。
介護現場で実践しやすいよう、わかりやすいイラストを多用しているのが本書の特長だ。B5サイズの本書は、各ページにイラストと文字がすっきりとレイアウトされ、一目で理解しやすい。予習・復習用のテキストとしても便利だろう。「スラスラわかるイラスト学習帳」という本のタイトルにも頷ける。
たんの吸引等の医療行為が可能になったことで、専門職としての介護職にやりがいを感じる人は多いはずだ。一方で、そうした医療行為を行うことに不安を感じ、尻込みしている人もいるかもしれない。そうした人たちにも、一歩踏み出すきっかけとしてぜひ手にとってほしい一冊だ。
監修者である久良木 香さんは、読者に向けて次のように書いている。
<ここに掲載されている内容は、あくまでも手技の基本となるスタンダードであることを念頭に置いてください。「医行為」は人を傷つける可能性があり、命にかかわるものであることをくれぐれも忘れないようにしてください。>
<小田>
※気管カニューレとは、気管を声帯の下で切開し、その孔から気管に挿入する器具のこと。
監修者プロフィール
久良木 香(きゅうらぎ・かおり)さん
立教大学コミュニティ福祉学部講師、看護学修士。カナダ、オーストラリア、アメリカで看護を学び、城西国際大学福祉総合学部准教授や三育学院看護学科助教授、救世軍社会事業団社会福祉法人ブース記念訪問看護ステーション管理者を経て、現職に。看護師、介護支援専門員、東京都第三者評価者、介護・看護教員として活躍し、急性期・慢性期看護に豊富な臨床経験を持つ。