■書名:いつでも・どこでも・だれでも 座ってできる椅子ヨガ
■著者:冨田 あかり
■発行:ギャラクシーブックス
■発行年月:2015年5月1日
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高齢者でも、無理なく座ってできる「椅子ヨガ」30ポーズを紹介
「ヨガ」というと、どのようなイメージを思いうかべるだろうか。
「女性向けのエクササイズじゃないの?」「ダイエットの体操の一種では?」と思っている人も少なくないだろう。中には、難解なポーズを取るヨガの修行僧をイメージする人もいるかもしれない。
いずれにしろ、「高齢者とヨガ」と聞いて、ピンと来る人はあまりいないのではないだろうか。ひざや関節を痛めていたり、体も硬くなっている高齢者とヨガは、少し離れている気がする。
しかし、本書の著書の冨田さんは「ヨガは年齢・経験・性別・体の柔らかさを問わず、誰でもできるもの」と語る。現に冨田さんは高齢者を対象にした出張ヨガ教室を各地で行っており、好評を得ているという。
本書が提案するヨガは、椅子に座ったまま行う「椅子ヨガ」。本来、立ったり床に座ったりして行うポーズを椅子に座って行えるようにアレンジしたものだ。座ったままできるので、足腰を悪くしている人でも取り組める。一部を除き、車椅子に乗った状態でもできる。
掲載しているポーズは下記のようなものがある。
●姿勢の改善や体幹の強化に効果がある「山のポーズ」
●肩こりや上半身の血行を促す「首を伸ばすポーズ」
●リンパの流れを促進する「三日月のポーズ」
●肩関節の柔軟性をアップする「バッタのポーズ」 など
ポーズはそれぞれ、難易度が示されているため、利用者のレベルに合わせて実践できる。難易度が低いものは、手を上に上げる、首や腕を伸ばす、前屈する、といったもので、どれも高齢者が無理なく取り組みやすいものばかりだ。
一方、難易度が高いものは、座ったままひざを上げる、体をひねる、椅子の端に腰掛けて、片足だけでバランスをとるといったものとなる。
椅子ヨガに慣れてくると「もっと体を伸ばしたい、もっとがんばりたい」と考えるようになるかもしれない。しかし、冨田さんは「ヨガは無理をしないことが大事。ほどよく身体を使って、心地よく呼吸ができる状態がベストです」とアドバイスしている。
また、これらのポーズを複数組み合わせたプログラムも紹介されている。
「気持ちが沈んだ時の元気アップヨガ」(30分)
「寝る前にリセット&リラックスヨガ」(30分)など
例えば「朝の目覚めすっきりヨガ」は、15分ほどでできるので、朝食前に行ったり、午前中のレクリエーションに組み込んでもいいのではないだろうか。
さらに、目的別に自由にポーズを組み立てるオリジナルプログラムの作り方も解説。
●股関節の柔軟性をアップさせたい
●腰痛を予防・緩和させたい
●全身のストレッチをしたい
●心を鎮めたい など
利用者の体や心の状態にあわせて、プログラムを作ることができる。
<椅子ヨガは、身体を動かすのが苦手な人や、長時間立っているのが難しい高齢者に楽しんでもらっています。(中略)ただ楽をするために座るのではなく、両足で床を踏みしめお尻を椅子にしっかりつけることで、土台の安定感を養います。ゆっくりと呼吸に合わせて身体を動かし、足にもアプローチすることで、立って歩くための筋力の強化・体力向上にも役立ちます>
ヨガでは「呼吸」を重要視していることから、ポーズだけではなく呼吸法についても詳しく解説。「不安や緊張を解きほぐしたいとき」「深くリラックスしたいとき」「心を鎮めたいとき」にぴったりな呼吸法を紹介している。
興奮した利用者を落ち尽かせるときや、なかなか眠りにつくことができないときにも、役立つのではないだろうか。
冨田さんは「人と比べて自分はできないと思ったり、昨日はできたポーズが今日はできない、などと思うのはよくないこと」と語っている。
今の身体や心の状態を受け入れ、向き合いながらゆっくりと楽しんでほしい。
著者プロフィール
冨田 あかり(とみた・あかり)さん
兵庫県神戸市出身。ハワイにて全米ヨガアライアンスRYT200の資格を取得。初心者や障がい者、高齢者にも垣根なく楽しめるヨガを専門とするインストラクター。「出張ヨガ 癒しの種」代表。