■書名:アクティブラーニングで学ぶ 介護過程ワークブック
■編者:川廷 宗之、永野 淳子
■出版社:みらい
■発行年月:2016年4月
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豊富な事例を通して「考える介護」が身につく
「介護過程」について、よりアクティブに、より実践的に学べる一冊。
介護福祉士をめざして勉強中の人、介護の現場で働く介護職の人など、「介護過程」をていねいに学びたい人に向けて用意された教材で、講義や研修でのテキストに最適な内容だ。
各章の各節は、「学びのポイント」「キーワード」「学びの基礎知識」「ワーク」「まとめ」「ふりかえり」からなっている。
中心となるのは「ワーク」だ。それぞれのワークに沿って、まず自分で考え、グループで意見交換し、自然に答えを導き出せるように構成されている。
ワークに登場する事例は豊富で、実際に現場で起こりがちな状況ばかりだ。ワークを一つずつこなしていくうちに、「考える介護」に直結する実践的な力がついていくことだろう。
たとえば、「考える」とはどうすることかを学ぶ第1章6節では、まず2枚の写真を見せられる。
1枚は、在宅介護サービスの利用者宅を撮影したもの。もう1枚は、3週間後に再び同じ場所を撮影したもの、という設定だ。
ワーク1では、まず一人で、3週間での変化を分類し比較する。
ワーク2はグループで、情報を出し合い話し合ってまとめていく。
ワーク3では再び一人で、なぜそのような違いがおきたのかを推測する。
そして、それを持ち寄ってグループで確認するのがワーク4、クラス全体でシェアし、先生のアドバイスなども合わせてまとめるのがワーク5だ。
個人で、そしてグループで、「考える」ことがワークの中心となる。
本書の内容としては、次のように入門編から展開編、応用編へと自然にステップアップしていく構成となっている。
入門編
第1章 介護過程を学ぶ基礎をしっかりつくる
展開編
第2章 介護過程のプロセスについて学ぶ
第3章 事例を通しての介護過程の展開
応用編
第4章 介護の理念とスキルにもとづく介護過程
第5章 介護実習での体験から介護過程について学ぶ
入門編では、最初に「介護過程とは何であるか」を正しくイメージすることから始め、介護過程の基礎について一つずつていねいに押さえていく。初めて学ぶ人でも、戸惑いなく取り組んでいけることだろう。
解説がわかりやすく、難しい用語などに悩まされることがないのもありがたい。
また、グループワークがふんだんなので、講義や研修の場では、にぎやかに飽きずに勉強を進めていけることもメリットの一つ。
他者の考えに触れて意見を交換しながら、アクティブに考えを深めていけると同時に、職場の仲間たちとわいわい話し合いながら取り組めたなら、得るものはさらに多いはずだ。
出版社のホームページでは、学習支援用資料のダウンロードサービスがあり、主に指導者を対象にさらに詳細な解説やワークシートの記載例なども提供している。無料のサービスなので利用するとよいだろう。
編者プロフィール
川廷 宗之(かわてい・もとゆき)さん
大妻女子大学名誉教授。専門は社会福祉学、教育学。東海大学健康科学部教授、大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科教授などを経て現職。日本ソーシャルワーク学会会長、日本社会福祉教育学会会長を歴任。
永野 淳子(ながの・じゅんこ)さん
日本赤十字秋田短期大学講師。専門は高齢者福祉。日本社会福祉学会、日本介護福祉学会、日本介護経営学会、日本ソーシャルワーク学会などに所属。
※編者プロフィールは、所属大学HP掲載の情報(2017年10月現在)をもとに作成