■書名:高齢者が元気になる レクリエーション
■著者:三瓶 あづさ
■出版社:日本文芸社
■発行年月:2019年1月
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介護スタッフも参加者も楽しめる!“使える”レクリエーション勢揃いの一冊
デイサービスやさまざまな介護施設において、重要性が高まっている「レクリエーション」。
本書では、
実践にもとづいた効果的なレクリエーションが多数紹介されている。
介護スタッフのニーズにしっかりこたえた内容になっているので、すぐに役立つことだろう。
本書の一番の特長は、認知症を予防するために考えられた「コグニサイズ」を収録していること。この
「コグニサイズ」は今注目を集めているエクササイズで、計算やしりとりなどの認知課題と運動課題を組み合わせて、
頭と体を同時に鍛えるというものだ。
たとえば、「4の倍数でポン」というレクリエーションでは、参加者はまず、スタッフの手拍子に合わせてリズミカルに腕ふりと足踏みをする。そして、1人ずつ順番に数字を声に出しながら数えていき、「4の倍数」に当たった人はポンと手をたたく。
運動課題と認知課題が合わさった、楽しいゲームだ。
参加人数に応じて「5の倍数」にしたり、逆に「100」から数えたり数字だけを声に出したりとアレンジも自在だ。
他にも、「旗あげ」「富士山」「みんなで手拍子」「ボディタッチ」「まりつき」「ソーラン玉入れ」「足かるた」「古今東西ゲーム」の9種類が紹介されている。参加者もスタッフも楽しめるものばかりだ。
新しい考え方に基づいたエクササイズだからといって、難しく考えることはないことがわかる。
なお、「コグニサイズ」は国立長寿医療研究センターが開発したエクササイズで、本書の該当ページについては、同センターの土井剛彦先生が監修されている。
「コグニサイズ」についての解説も非常にわかりやすいので、よく理解した上で是非取り入れてみたいものだ。
Part 2の「機能向上!ゲームレクリエーション」では、バラエティに富んだ45種類のゲームを紹介。いずれも、著者が勤務する介護施設で実践し、利用者に好評だったものばかりなのでハズレがない。
それぞれのゲームのページでは、
ゲーム中のスタッフの声かけ例まで載せられていて、レクリエーションに苦手意識のあるスタッフでも、声を出すヒントになるのではないだろうか。
巻末の「レクリエーションQ&A」では、次のようなアドバイスがある。
<無理に参加させるのは禁物。レクリエーションをしないという選択の自由もあります。参加していなくても、普段ニコニコしておだやかに過ごしていれば、日常を楽しんでいると考え、そっとしておくことです。ただし、レクリエーションをいつも遠くから見ている人、硬い表情の人がいたら、「好きなことはありますか?」「今度〇〇をするのですが、ご一緒にどうですか?」などと声をかけてみましょう。>
介護スタッフの役割や気持ちを熟知した著者による、使いやすい一冊だ。
レクリエーションのレパートリーを増やすためにも、苦手意識の克服にも、役立ってくれるにちがいない。
著者プロフィール(引用)
三瓶 あづさ(さんぺい・あづさ)さん
医療法人社団三喜会 介護老人保健施設ライフプラザ新緑リハビリテーション部レクリエーショントレーナー。ケアマネジャー、介護福祉士。鶴巻温泉病院にてレクリエーショントレーナーとして勤務後、2007年4月より現職に。主な著書に『高齢障害者のためのグループレクリエーション 楽しいゲーム204』(日本レクリエーション協会)、『高齢者のためのかんたんレクリエーション』(日本文芸社)がある。