■書名：ケアにいかせる！高齢者の病気と薬の知識
■著者：播本 高志、矢部 裕之、大澤 智恵子
■発行元：中央法規出版
■発行年月：2019年9月
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高齢者に多い病気と薬の知識を身につけ、より良い介護を目指そう！
ほとんどの高齢者は何らかの持病を持っており、薬を服用している。介護職なら、介護する相手がどのような病気を抱え、どんな薬を服用しているのかを当然知っているだろう。
しかし、その病気や薬についての本当に正しい知識は持ち合わせているだろうか？
超高齢社会となった現在、医療依存度の高い高齢者も、病院ではなく、在宅や地域で生活するようになってきている。これまで以上に医療に近い形でのケアを行うことになり、突然容体が急変することも多くなるだろう。
そのような場合に冷静に対処するためにも、病気や薬についての知識はより詳しく得ておく必要がある。
＜介護職が身につけていなければならない知識は、高齢者の病気と症状、観察ポイントなどです。これらの知識を持っているからこそ、早めに病気の予測や、緊急性の判断ができ、治療へつなげることができるのです。＞
本書には介護職に求められる知識である
『病気の症状』『よく使う薬』『観察ポイント』『医療へつなぐタイミング』などが、実にコンパクトにまとめられている。
本書は以下の2章で構成されている。
第1章 介護職に必要な高齢者の病気と薬の基礎知識
第2章 疾患ごとの観察とケアのポイント、よく使う薬
第1章「介護職に必要な高齢者の病気と薬の基礎知識」は概論編で、高齢者によくある病気とその症状、それらの病状を見極めるための観察ポイント、薬全般についての
基礎知識がまとめられている。
頭部、眼、運動器官、消化器官など、
身体の器官ごとによくある病名をあげ、その特徴が簡単にまとめられている。
また、病状を判断するための観察ポイントも、口や皮膚、便・尿、姿勢・歩き方などの項目に分けて説明。
各項目の見出しや文中に出てくる病名には数字がついており、それが第2章の個々の病気の項目と一致していて、すぐに参照できるよう工夫がされている。
続く第2章「疾患ごとの観察とケアのポイント、よく使う薬」では、高血圧、心不全、認知症、てんかん、褥瘡（じょくそう）、便秘、白内障など、
高齢者がよくかかる34の病気があげられている。
それぞれの病気について、
「どんな病気？」
「症状」
「観察とケアのポイント」
「予防と治療」
「よく使われる薬と服薬時の注意点」
「かかわりの好事例」の6項目で詳しく説明がされている。必要に応じて図や表も掲載されていて理解しやすい。
また、「かかわりの好事例」では、実際に介護現場で病気になった高齢者との様子が語られている。
どのような“かかわり方”がどのような結果につながったのか具体的にわかるようになっているので、介護の現場で参考になる。
高齢者は発病しても、わかりやすい症状がすぐに出なかったり、自覚症状があってもうまく説明できなかったりする。そのために重症化してしまうこともあり、周囲の人がいかに早く状態の変化に気づくかがカギとなる。
人の命と向き合う職業である介護職にとって、病気や薬の知識は大きな助けになるものだ。本書を手元に置いて役立てていただきたい。
著者プロフィール（引用）
播本 高志（はりもと・たかし）さん
ファーマ・ケア研究所所長。薬剤師。1966年、京都大学薬学部卒業。大手製薬会社に入社し、国際本部学術部長などを経て、2000年4月ファーマ・ケア研究所を設立。高齢者介護と薬に関する啓発および経営の指導、人材の育成などに取り組む。2011年から2014年、神戸薬科大学非常勤講師、2015年から神戸あゆ調剤薬局勤務。
矢部 裕之（やべ・ひろゆき）さん
医療法人社団英佑会矢部医院院長。医学博士。1982年、東京慈恵会医科大学卒業。卒後、東京慈恵会医科大学青戸病院内科勤務。1989年、国立東京第二病院循環器科を経て、1994年より東京都杉並区で矢部医院を継承。内科・小児科・循環器科の外来診療のかたわら在宅診療に力を入れている。認知症サポート医として地域の認知症患者のサポート業務を行っている。所属学会は日本内科学会、日本循環器学会、日本心身医学会、日本緩和医療学会、日本認知症予防学会など。
大澤 智恵子（おおさわ・ちえこ）さん
清泉女学院大学看護学部基盤老年看護学助教。一般社団法人日本プラウドケア教育協会代表。看護師、救急救命士、ケアマネジャー。1981年、順天堂看護専門学校卒業。1998年、オーストラリア公立グリフィス大学卒業。2016年、国際医療福祉大学大学院修士課程修了。内科・外来看護を経験後、ホテルに勤務。その後、介護・看護事業所を起業し、訪問看護師・ケアマネジャーとして20年以上従事。併せて、医療・福祉従事者の卒後教育を企画・運営する会社を設立し研修事業を行っている。さらに株式会社ソラストと共同で、介護職のスキルアップE-ラーニングを作成・運用し、身体観察介護士の資格取得コースの講師をしている。
