■書名:ACP入門 人生会議の始め方ガイド
■著者:西川 満則・大城 京子
■出版社:日経メディカル
■発行年月:2020年4月
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アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を実践するための現場の工夫が満載!
人間は誰でも死ぬものだ。しかもその時はいつやってくるかわからない。
無用な延命治療はしてほしくない、自宅で逝きたい、家族には迷惑をかけたくない……。
人生終わりの時をどのように過ごしたいかは人それぞれ。そうした想いを事前に家族や介護・看護スタッフに伝えておこうというのが、
「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」だ。
最期までその人らしく生きることを重視する考えが広く浸透しつつある現在、「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」は大切であるとわかってはいるが、いざ実践するとなると、どうしてよいのかわからないという人も多いことだろう。
そんなときに役立つのが本書だ。
著者の西川さんは、厚労省の委託事業「意思決定支援教育プログラム(E-FILED)」の作成に関わり、その後も、さまざまなアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の推進活動に参加されてきた医師だ。
もう一人の著者・大城さんは、在宅介護の現場で働くケアマネジャーで、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)を利用者のお宅でお茶を飲み、世間話をしながらという気楽な感覚で進めることをめざしている。
そんな2人による本書は、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは何かという
基本理念から
実践に至るまでの内容をコンパクトにまとめている。
構成は以下のとおり。
理論編 ACPを頭とハートで理解する
・ACPって何ですか?
・ACPの理論は分かった、でもどうやるの?
・本人にとっての最善の考え方
・本人にとっての最善をどう実現する?
・意思決定能力って何だろう
・代弁者の決め方
・情報をつないでACPの実現を
実践編 ACPをやってみる(ロールプレー付き)
・ACPの進め方
・コミュニケーションの基本
・「もしものとき」について一緒に考える
・代弁者を尋ねて、どこまで委ねたいかを確認する
・代弁者と医療選択について話し合う
『理論編』では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の概論から始まり、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とはどのようなものかイメージができたところで、事例を紹介しながら、自分だったらどうしていくかを考えながら読み進め、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)への理解が深められるようになっている。
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)に不可欠な意思決定は、過去・現在・未来の3つの時間軸で表明されていること、「理」だけではなく「情」も大切であることなどのポイントを提示。
いろいろな留意点が挙げられる中で最も基本となることは、本人の人生を尊重し、本人の話から想いを汲み取り、それをつなぎ合わせていくことでアドバンス・ケア・プランニング(ACP)が出来上がっていくということだという。
<ACPは、もちろん、アドバンス・ケア・プランニングの略ですが、我々は、ACPの本質を以下のように考えています。
We are always collecting and connecting the pieces of your life stories.
訳すと、「私はどんな時もあなたの人生の物語の中にあるピース(想い)を集め、つなぎとめます」
ACPの実現において、この「つなぐ」という部分が、今、大きな課題となっています。とはいえ、できないことではありません。地域で、様々な医療介護職が連携し、ちょっとした工夫も組み入れることで、この「つなぐ」という作業が普通にできるようになるでしょう。>
『実践編』では、丁寧な言葉遣い、相手が話したいことを優先させる、表情・動作・視線に注意する等のコミュニケーションの大原則をおさらいした後、「反復」と「沈黙」の基本スキルについても説明。
多くの事例を紹介しながら、どのような対応が望ましいかを解説し、実際の会話(ロール・プレイング)も掲載されており、会話の進め方のヒントになりそうだ。
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)をやってみたいという方は、本書を参考に実践してみてはいかがだろうか。
著者プロフィール(引用)
西川 満則(にしかわ・みつのり)さん
国立長寿医療研究センター病院緩和ケア診療部/エンド・オブ・ライフ(EOL)ケアチーム医師。1989年岐阜薬科大卒。1995年島根医大卒。愛知国際病院ホスピス、名古屋大学呼吸器内科を経て、2000年国立長寿医療研究センター着任。2011年より現職。
大城 京子(おおしろ・きょうこ)さん
株式会社Old-Rookie 快護相談所和び咲び副所長・介護支援専門員。2000年愛知総合看護福祉専門学校卒。介護老人保健施設・米国滞在などを経て、2019年より現職。