介護業界では一般企業のように名刺交換をする機会はあまり多くありません。
けれど、事業所の施設長や管理者、リーダー職、
ケアマネジャーなどは、名刺を持つ場合がありますよね。
名刺を扱う機会が少ないと、いざ目上の方や、他事業所や行政の担当者などと名刺交換をするとなると、緊張してしまいます。
また、利用者さんや利用者家族に名刺を渡すこともあり、マナーも一律でなく、戸惑うことも多いのでは?
そこで今回は、「名刺」の一般的なマナーから、介護現場に即した交換の工夫まで、お伝えします。
【名刺交換の基本!】とにかく名前と役職をはっきり告げる
名刺は、その人がその法人の所属であることを証明してくれる道具。
大事に保管し、不足がないように、少なくなったら補充するように心がけます。
名刺入れを用意し、外出するときは名刺入れに多めに名刺を入れておきます。
また、事業所にデスクがある人は、デスクの出し入れしやすい場にも名刺を入れておきましょう。
名刺交換の手順は通常、以下のとおりです。
■名刺を自分だけが差し出すとき
・名刺入れから名刺を出し、名刺入れの上に名刺を乗せて両手で名刺を持つ。
・名刺を両手で差し出し、「○○事業所○○の鈴木一夫と申します」のように、会社名・肩書・フルネームを略さず明瞭に述べる。
・名刺を両手で差し出し、一礼する。
■名刺を自分も相手も差し出すとき
名刺の差し出し方は上記と同じですが、以下に留意します。
・
相手よりも低い位置で名刺と名刺入れを持ち、左手で名刺入れを持って右手で名刺を差し出す。
・左手の
名刺入れの上で相手の名刺を受け取ります。相手に自分の名刺を渡した後、いただいた名刺を両手で持ち直します。
このときに「ちょうだいいたします、ありがとうございます」と一礼する。
*会議のときなどは、受け取った名刺を机の上に置いて話をする。
■名刺を自分は渡さず相手からいただくとき
・相手にまっすぐに向き、一礼して名刺を受け取り、「ちょうだいします、ありがとうございます」と言って受け取る。
*自分の名刺を持っていない場合は「私は名刺を持っておりませんので、失礼します、○○事業所○○の鈴木一夫と申します」と告げる。
*名刺を忘れた場合は「名刺を切らしておりまして、申し訳ありません。○○事業所○○の鈴木一夫と申します。のちほどお送りします」と伝える。(気の置けない相手なら「メールなどでご挨拶させていただきます」も可)
【やっちゃいけない名刺の取り扱い】ぞんざいな扱い、汚れているなどはNG!
名刺交換をする相手には、好意を持って職員としての自分を受け入れてもらいたいですよね。また、事業所にも好感をもってほしいのは当然です。
ですから、ていねいな態度、相手を大事にする態度を見せることは基本中の基本です。
以下を心がけましょう。
・名刺を交換する際はテーブル越しなどに行わない。相手にまっすぐに向き合い、礼をすること。
・ポケットや財布から取り出すのはNG。名刺入れは必ず用意する。
・しわや折れのある名刺はNG。名刺入れも汚れていないものを使う。
【おすすめの名刺活用法】なくさないでもらうための工夫など
ケアマネジャーや施設の管理者などは、利用者さんやその家族に名刺を渡すことも多いでしょう。
日頃感じていることだと思いますが、渡す相手が名刺にあまり興味がない、どこにいったかわからなくなる、ということが頻発します。けれど、何か起こったときに、「連絡しようと思ったのに連絡先がわからなかった!」と怒られることも。
ぜひ次のことを実践してみましょう。
■名刺を渡した人がなくしても腹を立てない
・事業所が名刺をたくさん使うことがOKなら、なくしたら同じ人でも何度も渡してしまいましょう。利用者さんとご家族、両方に渡すと安心です。
・「ここに貼ってよいでしょうか?」と許可を得て、目立つところに貼っておく。訪ねるたびに名前を言い、「ここに貼ってあります、必要なら電話してください」と伝えて思い出してもらう。貼る場所は利用者さんの自宅のホワイトボードや壁、冷蔵庫など。
・保険証などが入っているポーチに入れてもらう。これも、訪問のたびに「ここに私の名刺が入っています」と伝える。
■大きな文字で名前とふりがなを。事業者番号や資格名、特技、似顔絵を入れるのもよい
・老眼の利用者さんが多いため、多くの事業所では
介護士・ヘルパーや
ケアマネジャーの名前はかなり大きな文字で表示している。もし、文字が小さいと感じたら、大きな文字で裏に書き足す、おおきな文字でふりがなを振るなど工夫を。
・事業者番号を入れておくと、あとあと相手が便利。
・
介護士・ヘルパーとしての肩書きのほかに、看護師、調理師などほかの資格を持っていたら書き足すと、そこから話題が広がり、覚えてもらえることも多い。「柔道2段」「特技・入浴介助」なども入れておけば、営業にもつながる。
・似顔絵のシールなどを貼るのも、営業に役立つ。
*ただしこれらの記載は、事業所の許可をとってからにしましょう。
■もらった名刺は名刺保管ケースや名刺アプリで管理
・いただいた名刺は、名刺入れに入れておくとパンパンにふくれ、事務机に無造作に入れるとなくなってしまう恐れが。あいうえお順や職種別などに分けて名刺保管ケースに整理しておくと探しやすい。
・スマホやPCで名刺アプリにスキャンして保存しておく人もいる。名刺自体をなくしても管理をしてくれているので安心。アプリによっては実際に面談した人だけでなく、世界中の人とつながることもできるので、地域や地方の同じ職種同士が知り合うこともできる。
【自分で名刺を作る場合】相手にとって必要な情報を入れ、個性も示す
現場の
介護士・ヘルパーの場合、法人から名刺を支給されない場合もあります。
でも、必要と感じたら、自分で名刺を作ることもできます。
内容に法人名や法人の連絡先を入れる場合は、法人の許可が必要。
自分の情報だけの個人的な名刺なら、特に許可なく作れます。その場合は、法人の情報は入れないようにします。
昨今はネット印刷で、名刺は安価に作ることができます。デザイン見本も豊富。
自分らしく見栄えのする名刺を作るのも楽しいものです。
■記載事項については個人情報の取り扱いに注意
個人名刺を作るときには、自宅の住所は入れないほうが懸命です。万が一ですが、犯罪につながることも考えておきましょう。
LINEのアカウントなども、記載するとSNSの乗っ取りなどに使われてしまうことも。
名前、役職、メールアドレスだけ、あるいはこれに携帯電話のみ、を基本にするとよいでしょう。
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