ホームヘルパーなどの介護職が在宅介護をしている家庭を訪問し、その家庭に合わせた介護の仕方を家族介護者に教える――。そんな取り組みが、2015年の10月から千葉県千葉市で始まっています(*)。
介護職が自宅で介護方法を指導
教えるのは、家族介護者への対応方法についての研修を受けた介護福祉士、ホームヘルパーなどの有資格者。現在約180人が登録していて、市民からの要請があると1回1時間派遣されます。
10月の1ヶ月間で5件の訪問指導が行われたとのこと。「これまでは自己流介護だったが見てもらえてよかった」「おむつ交換のやり方を習ったが、教えてほしいことはたくさんある」など、指導を受けた家族介護者には好評なようです。
確かに、介護は個別性が高いですから、家の間取りや状況、介護者の力、体力などに合う介護方法を自宅で教えてもらえるのは魅力ですね。教える側にとっても、臨機応変な対応力が求められ、いろいろな家庭を訪問して短時間で的確なアドバイスをできるよう努めたら、スキルアップにつながるのではないでしょうか。
ただ、1回1時間はいかにも短い。年度内に1回しか受けられないそうで、これも厳しいですね。1回1時間でも3回くらいは受けられるといいのではと思います。
介護職も副業で収入アップを考えても
ところで、この事業の目的はあくまでも介護者支援であり、在宅介護負担の軽減。そのため、介護者がアドバイスを受けるレッスン料は無料です。しかし、金額は明らかにされていませんが、指導のために訪問した介護職には市から謝礼が支払われるとのこと。
訪問指導の要望が増えていくと、副業が可能な介護職なら、ちょっとしたお小遣い稼ぎができるかもしれません。
介護職の給与は徐々に上昇傾向とはいえ、いっきに大きく上がるめどは立ちません。そう考えると、介護職は介護の技術を生かして収入を得る方法を考えてみるのもいいかもしれません。
研修講師、夜間帯の訪問介護で副収入
ある企業では、新人介護職向けの研修を企画。その講師を務める介護職に講師料を支払っています。施設介護職などの本業はそのままに、月数回の講師を務めることで数万円の講師料を得る。そうして月収を高めてもらおうという介護職支援の取り組みです。この企業では、介護職向けの情報発信をしているインターネットのサイトの記事を、介護職に書いてもらって原稿料を支払っていくことも検討していると言います。
また、別の企業では、夜間帯の随時対応訪問介護ニーズに対応する、夜勤専門アルバイトを雇用しています。こちらもデイサービスなどの本業はそのままでOK。夜1回の勤務で1万円程度のアルバイト料を得られることから、副業とする介護職が少なくないそうです。
夜間帯の随時対応訪問介護は、イメージとは異なり、コールがかかることは少ないとのこと。勤務時間が待機で終わることもあり、人気のアルバイトだと言います。
本業の介護職の収入だけに頼らず、上手に介護の技術や知識を生かしたアルバイトで稼ぐのもいいかもしれませんね。ただし、くれぐれも本業に差し支えないようにしたいものです。
<文:宮下公美子 (社会福祉士・介護福祉ライター)>
*家族介護者支援事業~家族介護者へ介護方法のコツをお伝えします!~ (2015年10月1日千葉市役所)