厚労省は7月22日、「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」を自治体などへ通達した。自治体や医療・介護関係者が地域連携を進め、ポリファーマシー対策を始める際の手法が示されている。
ポリファーマシーとは、単に多剤内服を指すだけでなく、▽それに伴う薬物有害事象のリスク増加▽服薬過誤▽服薬アドヒアランス(医師の処方通りに服薬できている状態)の低下――などの問題が発生する状態を指す。
高齢者では、加齢による生理的変化などにより安全性の問題が生じやすく、国の高齢者医薬品適正使用検討会で対策が議論されていた。
今回の通知では、ポリファーマシー対策には多職種連携が必須で、医師や薬剤師などの医療従事者が、患者や介護関係者と顔の見える関係を築くことが重要だとした。
中核病院の地域連携室に所属する医療従事者や地域の薬剤師会に所属する薬剤師などから、地域のポリファーマシー対策を推進する「地域ポリファーマシーコーディネーター」を定めることが効果的とされた。
また、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師などから患者の薬剤を一元的に把握するキーマンとして、薬剤調整を支援する者(薬剤調整支援者)を患者と相談して決めることが有効とされた。
連携の場としては、地域の医療・介護関係者が参加する地域ケア会議の活用が挙げられた。
ポリファーマシーの患者を発見する具体的な機会としては、介護施設や利用者の居宅などが挙げられ、関係する職種にはケアマネや介護職員なども含まれており、介護関係者への期待も伺える。
老健施設では、入所者が比較的長期間にわたり医師の管理下にあるため、ポリファーマシー対策が行いやすい環境にある。ここでの入所者への薬剤調整は、地域での対策を推進する上でも重要だとしている。
「薬物療法の適正化のためのフローチャート」ポリファーマシーに関連する問題がある場合に中止、変更、継続の判断をする
グラフ
<シルバー産業新聞 2024年8月10日号>
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