介護業界で転職を検討している人にとって、事業者がどんな人材を求めていて、採用ではどんな点を重視しているのか、ぜひ事前に知っておきたいところです。そこで今回は、グループホームや都市型軽費老人ホーム(ケアハウス)など幅広い介護サービスを展開する株式会社ココチケアの人財開発室 室長・黒永雄樹さんにお話を伺いました。
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ココチケアの研修機関「認知症ケア研究所」で毎月行われている研修の様子。写真中央が、所長の福島富和さん。認知症ケアのアドバイザーとして多方面で活躍中だ。
○●○ インフォメーション ○●○
株式会社ココチケア
グループホーム/都市型軽費老人ホーム/サービス付き高齢者向け住宅/小規模多機能型居宅介護/訪問介護・看護/デイサービス/居宅介護支援事業所 等
東京都千代田区神田淡路町2−105 ワテラスアネックス12階
TEL:03-5298-2681
株式会社ココチケア公式サイト
スキルを高め、豊かな人間性をつくる認知症ケア研究所
最も重要な資産は「人」という考え方から、スタッフを「人財」と考えているココチケア。
「介護というのは、人の手を通してサービスを提供するもの。しかも母体である明正会グループの理事長が、教師として人を育てるところからスタートしていることもあり、人財を大切にという思いが強い会社ですね」
そのなかで大事にしていることが、人財のスキルをどう高めていくかという点です。
その具体的な取り組みが、研修制度です。ココチケアでは、認知症ケア研究所という研修機関を立ち上げ、独自の研修システムを導入しています。入社3年未満のスタッフから中堅、リーダー、ユニット長、施設長と、それぞれの段階ごとに月1~2回、研修を実施。実例をもとに認知症について徹底して学びます。
「介護職というのは、身体介助だけでなく、ご高齢者の精神的、身体的機能回復に務める専門家。そのため、認知症の方の機能の維持、向上のために、どのようなコミュニケーションや接遇をすれば良いかを学ぶことに重点を置いています」
また、ココチケアが人財の育成で大事にしていることがあるそうです。それが、「豊かな人間性」というキーワード。人を資産と考えるからこそ、技術だけでなく、豊かな人間性を育てていく姿勢を大事にしたい。そのためにどう支援していくかを考えて取り組んでいると言います。
「認知症ケア研究所の特徴は、心理学の側面からコミュニケーションについて学ぶこと。単に認知症の知識や認知症の方に対してのコミュニケーションを学ぶだけでなく、いろいろな人と隔たりなくコミュニケーションがとれる人間へとステップアップできる。それが豊かな人間性につながると考えています」
人財を大切にする姿勢が、スタッフの定着率の高さに反映
認知症ケア研究所は、研修を行う機関というだけでなく、困ったことがあったらいつでも相談できる場でもあります。
「認知症の博士号を取得している専門の講師が常駐しているので、対応がわからない事例があれば、直接どんどん電話できる。まさにホットラインですね。こういう場合はどうするかといった具体的なアドバイスをもらい、対応した結果を今度はスタッフが研修の場などで発表します。インプットだけでなく、アウトプットする作業によって、知識がしっかり自分の身についていくという良い循環ができています」
また、認知症についてだけでなく、中堅者向けには介護福祉士の試験対策のフォローアップ研修も実施。専用の研修テキストも用意し、高い合格率につなげています。
研修がきちんと体系化され、自分のレベルにあったコースを選んで学ぶことができるので、目標も立てやすく、自分のキャリアプランを描きやすい。そうした点がスタッフにも非常に好評とのこと。もっと学びたい、スキルを高めたいという意欲的な人を後押ししようというココチケアの姿勢が伝わってきます。人財を大切にする姿勢はスタッフの定着率の高さにも反映され、実際に離職率のデータをみると、介護業界の平均に比べ大きく下回っているとか。
「介護の仕事を始めてみたものの、認知症の方とのコミュニケーションに難しさを感じて途中であきらめてしまった方もいるのではないでしょうか。認知症ケア研究所のように、認知症のことやコミュニケーションの実例について学ぶ場があれば、途中で辞めてしまった方がリスタートできる受け皿としても役立てるのではないかと考えています」
次回はいよいよ本題となる「採用」についてお話を伺っていきます。
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