いくつもの職業を経験し、それぞれに得ることがありながら30代後半を迎えたUさん。
そろそろ身を固めたいと腰を据えて挑んだのが、やはり介護業界の仕事でした。
その天賦の営業力と人に対する思いの深さや真摯な向かい方が、介護の仕事には最適。
だからこそ、本部の職員となり、千葉地域のエリアマネージャーとなりえたのでしょう。
介護職として「何を大切にしたら認められるのか」と考える人も多いかもしれません。
ですがUさんは、「認められること」を意識せず、介護に一心に立ち向かいました。
その姿勢があれば、おのずと周りも認めてくれるのかもしれません。
最終回の今回は、Uさんの生き方や介護の理念について、詳しくお伝えします。
*U・Hさんの「私が転職した理由」…1回目、2回目、3回目、4回目(最終回)はこちら
U・Hさん(40歳)のプロフィール・転職経験
●介護業界歴…16年
●介護の仕事に就く前…ファミレス副店長、運送会社運転手、営業職
●介護業界での転職回数…6回
●いままでの勤務先…訪問入浴・訪問介護事業所、介護老人保健施設、大手介護関連企業
●保有資格…介護福祉士
介護の現場も本部職員も「利用者さん第一」が鉄則
誘われた介護事業所では3カ月で訪問介護事業所の所長になりました。
1年半で関東の本部の職員として、千葉地域のエリアマネージャーとなり、今は引き続き、本社勤務で各地のエリアマネージャーをしています。
本社から出張で地方のエリアに出ていき、それぞれの訪問介護事業所の営業支援や経営アドバイスをして、本社に戻って報告する形をとっています。
出張はかなり多いのですが、もともと旅行が好きなので、苦になりません。
むしろ、さまざまな土地を訪ねることができ、旅気分にもなれますし、個人的にも楽しい仕事ですよ。
本部の勤務ですと現場職よりも給料の点でもだいぶいいです。
結婚をし、我が家は妻が専業主婦、今では子どもが3人いますが、なんとか養えています。
ただ、自分の担当エリアでの実績を出すことがミッションですから、そこは厳しいです。
もちろん目標があり、クリアできないと肩身が狭いですし、責任をとるべきときもあるでしょう。
ただ、本部の職員も介護現場の職員も、心構えは同じだと思っています。
利用者さんに喜んでいただけなければ、サービスは伸びません。
売り上げも上がらない。
サービスの質を上げることで、経営がうまくいく。
経営努力とは、まずお客様のことをお客様の立場で考えるということです。
私の場合は運よくそれがうまくハマった。
一生懸命にやったことが認められました。
ただ、失敗もたくさんあります。
大きな失敗をし、迷惑をかけたこともありました。
そういうときは、隠そうとしないで正直に伝え、解決策を考えて必死にリカバーします。
失敗を隠さないことは、現場の介護職も本部職員も鉄則だと思っています。
正直に言ったほうが、気持ちがラクですし、正直に言ってあやまり、対策を考える者には、上司は寛容です。
また、きちんと周囲に自分の失敗を伝えたほうが、次の提案も早くでき、結局は傷が浅くてすむのです。
利用者さんの好みを知り、否定しないこと
教科書にのっていないことを勉強するのが介護です。
こういう場合はこう、というセオリーはありません。
それぞれの利用者さんをよく見てよく理解し、それぞれの方のセオリーに合わせた介護をオーダーメイドで作っていきます。
それが介護の醍醐味です。
訪問介護なら、ご自宅にお伺いするわけですから、その方のお好みがよくわかります。
庭がおきれいなら、庭にこだわりがおありでしょうし、家の中を見ても、その方が大事にしていることが節々に見えます。
写真、本棚、いろんなところを見て、少しお話したりして、その方らしさを少しでも多く知り、介護につなげていきます。
とってつけたような美辞麗句は言わなくていいです。
その方を否定せずに興味を持つこと。
また、下世話な興味は持たないことが大事です。
ピアノがあれば、「ピアノを弾くのですか?」と伺い、昔話を語っていただければうれしいですし、ご家族が弾くというお話を伺うのもいいかと思います。
最初に気難しいと思う方ほど、仲良くなればとても親しい関係になれることは、経験上多くありました。
どんな方とも心を開いてお付き合いできるようになれれば、おのずと仕事は楽しくなります。
そして、きちんと挨拶をすることや、身だしなみを整えることも、訪問するときの利用者さんへの敬意です。
そうした常識を備え、利用者さんを思う気持ちを育てていけば、介護の世界できっと一人前になれるのではないでしょうか。
野心を持つことより、基本に立ち返ることだと思っています。
この世界は、「常識」と「思い」が大事だと思います。
介護の世界に転職を考える方、現在介護職の方は、それを心にとめてくださるといいですね。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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