作業療法士は、医療機関のほか介護業界でも需要のある専門職です。作業療法士は介護業界において、どのような役割があるのでしょうか?この記事では、介護業界での作業療法士の役割や具体的な仕事内容、介護業界で働く魅力を紹介します。
1 介護業界での作業療法士の役割とは?
2 作業療法士が働く介護施設
3 介護業界で働く作業療法士の仕事内容
4 作業療法士が介護業界で働く魅力
5 作業療法士は介護業界で重要な役割を担います
作業療法士が働く場所は、主に病院・クリニックや介護施設などがあります。
介護施設とは、高齢者が日常生活を送るための介護サービスを受ける施設。
介護施設では、作業療法士はリハビリテーションの専門家として、利用者である高齢者が望む生活が送れるよう身体機能の維持・改善に努める役割を担っています。
介護業界では、利用者さんの自立した生活を支援するための機能訓練を行う「機能訓練指導員」という職種の配置が義務付けられている施設があります。作業療法士のほか、理学療法士・言語聴覚士・看護師・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・一定の実務経験をもつはり師およびきゅう師も、機能訓練指導員として従事できます。
病院のリハビリとどう違う?機能訓練指導員について詳しくはこちら
また、高齢者介護では、食事や入浴など身体的な支援だけでなく、家族や社会との関係に目を向けた支援も重要になってきます。高齢者が社会から孤立しないよう、趣味やレクリエーションなど仲間作りの場を提供するなど、心のリハビリテーションを行うのも作業療法士の大切な役割です。
介護福祉士も介護業界で活躍する国家資格のひとつです。作業療法士も介護福祉士も高齢者が望む生活が送れるよう、寄り添いながら日常生活を支援します。
作業療法士と介護福祉士の大きな違いは、対象者を支援する手段です。作業療法士は利用者ができるだけ自立した生活ができるよう、身体機能を改善するためのリハビリテーションを行います。例えば着替えやトイレなどが自分自身でできるようになるよう、対象者の身体状況に合わせてリハビリテーションを実施します。
一方で、介護福祉士は利用者が不自由なく生活できるよう、生活そのものを支援します。着替えや入浴、食事の介助などが、介護福祉士の主な業務です。
作業療法士は、リハビリテーションや機能訓練を提供する介護施設で活躍しています。
作業療法士が働く介護施設には下記があります。
ここでは、作業療法士が働く介護施設の例と、各施設における作業療法士の役割を解説します。
デイサービスとは、食事や入浴の介助など日常生活における介護サービスや機能訓練などを受けられる、日帰りで通う介護施設です。通所介護とも呼ばれ、利用者の社会参加や利用者同士の交流も図れます。
作業療法士は、機能訓練指導員として配置されるのが一般的です。利用者さんが望むことをできるようになるにはどの機能訓練が適しているか、個別機能訓練計画を立てて実施します。またレクリエーションなどさまざまな活動を提供して、心のリハビリテーションを行う役割も担っています。
有料老人ホームとは民間が経営する高齢者向けの住まいのひとつです。介護サービスのついた「介護型」・生活支援サービスのついた「住居型」・介護サービスは提供せず自立した高齢者のみが入居できる「健康型」の3タイプに分けられ、受け入れている利用者さんの介護度や提供しているサービスは施設によって様々です。
作業療法士は、介護型有料老人ホームにおいて一人ひとりの機能訓練からレクリエーションまで幅広く対応します。認知症の方が入居している有料老人ホームでは、作業療法士は作業療法を通じて認知機能の維持に努めることもあります。
介護老人保健施設とは、医療的ケアやリハビリを受けながら在宅復帰を目指す高齢者が入所する施設です。可能な限り自立した日常生活を送れるよう、リハビリテーションや医療・介護サービスなどを提供します。介護老人保健施設には、作業療法士・理学療法士・言語聴覚士のいずれかを配置することが義務付けられています。
作業療法士は利用者の在宅復帰に向け、できるようになりたいことなどを利用者や家族と相談しながら、リハビリテーションや機能訓練を行います。車いすや歩行用つえなど、福祉用具選びへ携わる機会もあるでしょう。
介護老人保健施設のなかには、訪問リハビリテーションを提供する施設もあります。訪問リハビリテーションでは作業療法士は利用者の自宅を訪問し、入浴やトイレなどの動作練習や手すり設置を助言するなど自宅で安全に暮らすための支援をします。リハビリテーションをしながら、家族がもつ介護への不安や疑問に寄り添うのも作業療法士ならではの重要な役割です。
作業療法士が携わる介護業界ならではの仕事としては、下記があります。
ここでは、介護業界で働く作業療法士の具体的な仕事内容について詳しく解説します。
個別機能訓練計画書とは、介護施設などにおいて個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定する際に必要な書類のひとつです。個別機能訓練加算は機能訓練指導員が対象者ごとに個別機能訓練計画書を作成し、計画にもとづいて実施・評価に取り組むことで算定できます。
機能訓練指導員として配置された作業療法士は、個別機能訓練計画書を作成し、対象者一人ひとりの心身状況・ニーズに合わせた目標やプログラムを立案します。リハビリテーションの専門家である作業療法士は、個別機能訓練加算の算定をめざす施設にとって需要の高い存在です。
介護施設は認知症の高齢者も利用しています。作業療法士は認知症に関する知識や作業療法を通じ、認知機能の維持に努めます。
認知症のリハビリテーションのための作業療法には、次のようなものがあります。
機能訓練とは、日常生活に必要な機能を可能なかぎり保つための訓練です。作業療法士は利用者の心身状態・ニーズに合わせて、さまざまな機能訓練を行います。
具体的には関節可動域訓練や筋力トレーニング・歩行訓練など。また、要介護者のなかには摂食嚥下障害をもつ方が多いため、食事前の口腔・嚥下体操など摂食嚥下訓練にも関わることがあります。
介護業界に関わるうえで、やりがいはとても重要です。
ここでは作業療法士が介護業界で働く魅力について紹介します。
病院など医療機関に比べて、介護施設では多くの方が長期間サービスを利用します。そのため、高齢者一人ひとりとじっくり向き合い、症状に寄り添ったリハビリテーションや機能訓練を行えるのがメリットです。
老年期のリハビリテーションには根気が必要なケースも少なくありませんが、長期的な取り組みにより機能が向上する様子を間近で見られると、大きなやりがいを感じられるでしょう。
作業療法士は対象者と直接関わりながら、リハビリテーションや機能訓練を行います。治療の話だけでなく日常会話をかわす機会も多いでしょう。
対象者との距離が近いため、機能の向上がみられたときは直接感謝の言葉をもらえることがあります。訪問リハビリテーションなど自宅を訪問する際は、家族からも感謝の言葉をもらえるでしょう。対象者の喜びを共有できると、モチベーションの向上や充実感にもつながります。
医療機関では主に急性期・回復期のリハビリテーションに関わるのに対し、介護業界では日常における身体機能の維持・向上を目的とする「維持期」に深く関わることができます。
回復期をすぎた維持期の方には、身体機能の維持・向上はもちろん、家族や社会との関係など幅広い要素に目を向ける必要があります。維持期特有の症例に関わることで、作業療法士としてさらなるスキルアップを目指せるでしょう。
作業療法士は介護業界で活躍できる職業です。リハビリテーションのプロフェッショナルとして高齢者が望む生活が送れるよう、身体機能の維持・改善に努める役割があります。
介護業界では身体のリハビリテーションだけでなく、利用者さんの生活環境や社会との関係作りも仕事のひとつ。やりがいを感じられるのはもちろん、維持期に関わる経験をつんでスキルアップも目指せるでしょう。
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